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239話

 会場内への入口から一歩出るとそこは目の前に観客席がずらりと何席も並び、席に座っていた観客達からは一気に注目の眼差しを浴びせられる。


 今まで会場内に出てきた参加者はそれなりに衣装は凝ったものが多いというのにもかかわらずコウの衣装は口元辺りまですっぽりとフードが付き、足先まで隠すことが出来る長さの外套となっている。


 そして顔や体型が隠れているため男性なのか女性なのか分かりづらい衣装のということで観客達からはこれからどんな衣装が出てくるのだろうかという期待している者達が多い。


(とりあえず言われた通りにやるしか無い)


 コウは胸に装飾品として添えられえている真っ赤なブローチに手を添えて魔力を込めると黒い外套が薄っすらと白く発光しだす。


 用意された衣装についてはエルフィーから普通の衣装とは聞いているが、詳しい内容までは聞いていないため、これから何が起こるのか予想ができず、流れのままに身を任せると黒い外套はひらひらと動き出し、衣装は変化していった。


 まず最初に大きく変化したのは口元まで隠すことが出来たフードの部分であり、ヴェールのように白く透き通るぐらいの薄さになっていき、コウの表情がうっすらと分かる程度になった。


「え?あれってコウさんじゃないですか?」


「本当ですね〜コウさんも参加してるなら教えてくれればいいのに~」


 顔が晒されると出番が終わり左右の列に並んでいたイザベルとライラはまさかコウが参加しているとは思っていなかったようで口を大きく開いて驚いていた。


 そして少し動くだけで演出効果のように白く発光してる部分からきらきらと鱗粉(りんぷん)のように光る粉が宙を舞い、それが反射しているおかげでコウの周りは輝くスポットライトに照らされているように見える。


 また黒い布地だったのが徐々に白く塗りつぶされていくよう全身の布地が真っ白へ色が変わっていき、腰辺りから足先まで隠していた部分はスカートのようにふわりと広がる。


 この衣装はまるで最優秀賞であるウェディングドレスに似たようなものとなっており、エルフィーからは普通の衣装だと最初に聞いていたためにすっかり男性物の衣装だと思わされていた。


(あの詐欺エルフめ...!)


 しかしエルフィーが言っていた"普通"とは別にコウにとっての"普通"とは言っていないため、言葉の受け取り方の問題ということになる。


 確かにエルフィーは女性であるのでドレスだとしても普通の衣装ということに当てはまるのだが...。


 まぁここまで来てしまってはこの際、特別審査賞を狙うしかないので寧ろ堂々とした態度で挑むことにした。


 元々顔の作りが良く中性的なのと体型的に線が細いというのが合わさっているためか女性物の衣装だとしてもかなり似合っており、薄らと化粧されているので多少むすっとした表情でも人形のように可愛らしい。


 ただしアピールすると言っても男であるコウは何をアピールすれば良いのか分からないし、可愛らしいポーズを取ったりするのは流石に羞恥心が邪魔をして出来る訳もない。


 とりあえず何も言うこともないのでペコリと軽く一礼を済ませると観客席から1人の拍手が聞こえるとともにその拍手は連鎖反応のように広がっていく。


「はい!素晴らしい衣装でした!では次の57番の方どうぞー!」


 そして短い時間であったが司会進行役が次の参加者を呼び出すとコウはその場からそそくさと逃げるように他の参加者が並んでいる列へ向かうとそこには待機時間の時に話しかけてきた全身を真っ赤な衣装で身を包んだ男がパチパチと拍手をしながら待っているではないか。


「流石僕の好敵手だね。素晴らしい衣装だったよ」


 彼の中でコウは勝手に好敵手と認定されているようであるが、そもそも好敵手になったつもりは一切(いっさい)ないし、女性物の衣装を褒められた所であまり嬉しくはない。


 そしてその後は順調に司会は進んでいき、最後の参加者が衣装を見せ終わると次は観客が投票をする時間となる。


 コウ達はそのまま観客の正面に横一列で順番通りに再整列されると1人1人の参加者に投票するための箱を手に持たされた。


 観客は1人づつ席から立つと自身の気に入った衣装を着ている参加者の元へと向かい手に持っている箱に次々と投票の紙を入られていく。


 意外にも観客の投票が偏らず幅広くの参加者に散っており、誰が最優秀賞などを取れるのかわからない。


 ちらりとイザベルの投票層を見るとやはり貴族でありながら白薔薇騎士団という女性のみで構成されたクランをまとめあげているため、投票している観客については殆どが女性層をメインとして票を集めているようだ。


 それに対してライラの投票層を見ると明らかに男性が多く、初参加で知名度こそ無いもののそこらの貴族の参加者よりも票を集めているのが分かる。


 肝心なコウの投票についてはイザベルやライラには劣るもののそれなりにしてくれており、そこまで男女の層にもばらつきがなかったが、年齢層は大体がコウよりも歳上であったりした。


 そして観客からの投票も終わり集計結果がどうなったのかというと...知名度が高くそれを上手いこと利用できたイザベルが初参加ながらも最優秀賞を掻かっ攫さらうことが出来、ライラは良い線をいったものの他の参加者よりも投票数が少なかったために惜しくも入賞は出来なかったみたいである。


 ちなみにコウはというとエルフィーの見立て通りというと何とも言えないが、特別審査賞を貰えたということで王都で有名なスイーツ店が作る限定のお菓子を手渡されており、これにてルガルで行われる年に1回のファッションショーは幕を閉じるのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は9月18日になりますのでよろしくお願いします。

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