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188話

 そもそもこの場所がロックドラゴン1匹いるだけで採掘場の様に広くなっているということ自体が異常なのだ。


 大地が地震のように揺れ出し、転がり埋まっていた筈の大きな岩が次々と大地から盛り上がっていく。


「おいおい...嘘だろ?」


「流石にこれは〜...」


「キュ...」


 その大きな岩の正体は先程、苦労して倒したばかりのロックドラゴンであり、地面から追加として5匹ほど這い出てきたのだ。


 地面から這い出てきたロックドラゴンは口を大きく開けて欠伸をしているのできっと地面に潜って寝ていたのだろう。


 どうにかしてこの状況を突破しなければ...!そう思った瞬間に1匹のロックドラゴンと不意に目が合ってしまった。


「グルァァァァァァァ!」


「気付かれた!」


「最悪です〜!」


 1匹に気付かれると連鎖するかの様に次々とこちらへ他のロックドラゴンも突進しながら向かってくる。


「やるしかないみたいだな!」


「も〜!どうにもなれです〜!」


 コウ達はロックドラゴンの群れと戦うことに覚悟を決めつつ、迎え撃つ態勢を整える。


 とりあえず突進を回避しようとすると突如、何者かが上空から突進してくるロックドラゴンの背中へ飛び降りた。


「獣人!?」


 いきなり現れた獣人に気を取られると盛大な打撃音とともに突進してきた内、1匹のロックドラゴンは膝から崩れ落ち、地面に伏せる。


 そしてその獣人は隣を並走していたロックドラゴンの背に飛び乗り1匹、また1匹と大きな打撃音を鳴らしながら次々と一撃で仕留めていく。


 全てのロックドラゴンが動かなくなるも獣人は敵か味方かわからないため、警戒しながら武器を構えているとコウ達の前へと姿を現す。


「よっ...と!大丈夫かい?」


 大丈夫の一言で助けだと知り、構えていた武器を下ろす。


 助けてくれた人物は軽装の姿をした獣人で全体的に容姿が整った男性というのが第一印象だ。


 ロングヘアの金髪で頭のてっぺんには可愛らしい猫耳がぴこぴこと動いており、お尻の付け根から生えているしなやかな尻尾は触り心地は良さそうだ。


「助かった。ありがとう」


「なぁにロスガニアに帰る途中に偶々見かけたのでね」


「ロスガニア?」


「獣人の国ですね〜」


 ライラの補足で理解し、目の前の獣人はロスガニアという獣人の国へ帰る途中だったらしようである。


「俺はコウ。後ろにいるのがライラで肩にいるのは相棒のフェニだ」


「私の名前はレオンという。よろしくね美少年のコウ君」


 にこりと笑顔を見せるレオンはきらりと歯が輝き、手に嵌めていたメリケンサックに似た物を取り外すと握手を求めてきたのでコウも同じように手を伸ばす。


 握手を交わすとにぎにぎ強弱をつけて握ってくるし、なんだか握手する時間が長い。


 にこにことレオンはしているので獣人なりの挨拶方法なのかもしれない。


「は〜い!おしまいです〜!」


「む?なにをするんだい!」


「会員No.2のコウさんお守り隊です〜!」


 長めの握手を交わしていると強制的に終わらせる剥がしの様にライラが間に割って入ってきたため、握手は強制的に終わりレオンはムッとした表情をする。


 というかお守り隊とはなんなんだ。


 会員No.2とライラは言っているがいつの間にそんなのが出来たのだろうか。


 まぁライラが適当に言っているだけだろうけども握手を離すタイミングが分からなかったので丁度助かった。


「それにしても通りすがりとはいえなんで助けてくれたんだ?」


「美少年が助けを求める声がしたから助けに来たのさー」


「...そうか。うん まぁありがとう」


 キメ顔でレオンは言い放ち、世の中には多種多様の人物がいるが久々に個性強い人物に出会ったなとコウは思いつつ、お礼を口にする。


 そしてライラはそんなレオンに対して顔を引き攣らせドン引きの表情をしていた。


 ライラがそんな表情をするの今まで一緒にいて初めて見たのでレアではある。


「まぁいいや コウ君は暇かい?一緒に食事でも...」


「いや...これからローランに戻るからすまん」


「あーローランか...残念だね」


 近くに擦り寄りながらコウは食事に誘われるが遠回しに数歩後ろに下がりつつ、拒否をしてローランへ帰るというと残念そうに項垂れる。


「じゃあ今度ロスガニアに来た時は是非食事に行こうか」


 しかし食事をどうしても諦めきれないのかレオンは次の約束を取り付けてきた。


「あー...そうだな。ロスガニアに行ったらで」


 流石にロックドラゴンの群から助けて貰ったのに誘いを断るのは失礼だろうと思い、一応だが了承する。


 その時の食事代金は勿論、感謝としてコウ持ちになるだろう。


「レオンさ〜ん私も一緒ですよ〜」


 レオンの耳には都合よく入っていないようでライラの顔を見ると笑顔なのだが、背筋に冷や汗をかくのは何故だろう。


「じゃあ私は行くよ!」


 コウが了承するとレオンは満面の笑顔となり、そのまま倒したはずのロックドラゴンを置き去りにして走り去ろうとしていく。


「あっ!ロックドラゴンはどうするんだよ!」


「そこにあるロックドラゴン達は君との出会いに感謝したプレゼントさー!」


 レオンはその場から走り去っていなくなると、何故かどっと疲れが身体にのし掛かった。


「...回収して帰るか」


「今度会ったら〜1発入れてもいいですかね〜」


「面倒事を増やすのはやめてくれ」


 拳を握るライラの怒りを宥めつつ、レオンが倒して放置していったロックドラゴンをささっと回収していく。


 色々とあったものの何とか無事にコウ達は試験依頼を終えることができ、ローランへ戻るのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は6月5日になりますのでよろしくお願いします。

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