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160話

「おぉこれはこれは数日ぶりですな!」


「元気そうだな。大丈夫だったか?」


「コウ殿が置いて頂いたゴーレムのおかげで被害はほぼありませんでしたぞ」


「まぁこんなに早く活躍すると思ってなかったけどな」


「でも〜この村には蓄えも無いのになんで襲ってきたんですかね〜」


 ライラの言う事はもっともだ。元々ワイルドボアに畑を荒らされていたせいか食料なとの蓄えが少なく、街へ村人を買い出しに行かせるほどだった。


 そして買い出しに行った村人達も途中で盗賊達に捕まり、持たされたお金などは使い込まれてしまっているのでこのクルツ村襲うをメリットはあまり無いだろう。


 コウが盗賊達から奪った物資を村へ寄付しているがそれでも些細な量であるため、そこまでリスクを犯して略奪しに来るほどではない。


 まぁ盗賊達にその情報が無かったのかもしれないし、村としては小さいのですぐに制圧できると思っていたのだろうか。


「少し盗賊達に話を聞きたいな。捕まえてる場所に案内してもらっていいか?」


「勿論案内するのは良いですがガラが悪いので気をつけてくだされ」


 とりあえず村長の許可を得て、盗賊達が捕らえられている場所へ案内してもらうことにしたが、盗賊達はガラがかなり悪いらしいようだ。


 まぁ今まで冒険者をやってきた経験として、ガラの悪い連中には数多く出会ってきたので、そこらは問題ないだろうし、もうある程度は慣れている。


 捕らえている盗賊達はいちいち騒いでいるようで煩いためか、周りに何もない納屋へ閉じ込められているらしく村長の家から出て少し歩く場所にあるとのこと。


 とりあえず村長の後に付いていきながら軽くここ数日で起きた出来事を聞いていると、徐々に男達が騒いでいる耳障りな声が聞こえてきた。


「おっと...あれが盗賊達のいる納屋ですな」


「本当に騒がしいな。静かにできないのか...」


「では案内も終わりましたので私は一旦失礼しますぞ」


「案内助かった。あぁ1つ聞き忘れてたけど盗賊達は好きにして良いのか?」


「無事にローランへ引き渡しができれば何でも良いですぞ」


 少しひらけた畑の様な場所の中心部にぽつんとした大きな納屋があり、目を凝らすと扉の前には一体の小さなゴーレムが門番の様に立っていた。


 村長と別れを告げて納屋へ近づいていくとゴーレムが気づいたのか歓迎するかの様にぴょんぴょんとその場で飛び跳ねる。


 扉の奥からはここから早く出せだの飯を寄越せだの騒ぐ声が中から聞こえているが、捕まって数日立っているはずなのによく体力が保つなとコウはある意味感心してしまう。


「さっきぶりだな。ちょっと中の奴らに用があるから入るぞ」


「ゴッ!」


 木製で来た扉を開けて納屋の中へ入ると小窓から入っていた太陽の光だけではなく、開けた扉から光が一気に中へと入り込む。


 コウの目の前には盗賊が両手両足をロープで縛られ中心の大きな木で出来た柱へとまとめて括り付けられて捕まっており、急に明るくなったためか全員しかめっ面で目を細めてこちらを見ている。


「あぁ〜?なんだ?ただのガキじゃねぇか」

「飯じゃねぇのか...」

「後ろの女は可愛いなぁ」


 入り込んできた光に目が慣れたのか盗賊達はコウ達の姿を確認できると各々、捕まっている分際だというのに好き勝手言い出す。


 それにしても盗賊達にしては小綺麗な格好をしており、全員首元には特徴的な剣の黒い入れ墨が彫り込まれているが彼らのマークのようなものなのだろうか?


「捕まってるくせに煩い奴らだな。とりあえずお前らはなんでこの村を狙ったんだ?あとはお前らのボスは何処に隠れてる?」


 好き勝手言っている盗賊達に問いかける様に質問すると全員が一瞬だけキョトンとした表情になるが、すぐに大きな声で笑い出す。


「ははっ!聞かれて言うわけないだろ?」


「まぁそうだろうな...じゃあ取引だ。ここから1人だけ村の外に逃してやるから話せ」


「...どうして知りたがるのかわからんが良いだろう取引に乗ってやる」


「じゃあお前は逃がす仲間の見届人であと1人良いぞ」


 コウは魔力を手に込めると氷で出来た鎖を作り出し、今話しているスキンヘッドの盗賊の手足へと繋げていき、元々縛られていたロープをナイフで切って歩けるようにする。


「なるほど魔法使いか...あとでどうせ捕まえられるってか?じゃあラダッツ!さっさと行くぞ」


「俺でいいんですかい?まぁ俺は良いんですけどね」


 スキンヘッドの男はラダッツと呼ぶと呼ばれた男は柱の裏から縛られた両手を上げて気だるそうに返事をする。


 コウは柱の裏へと回り込みラダッツと呼ばれた男へ同じ様に氷で出来た鎖を手足に繋げていき、縛られているロープを切ると暗がりから姿を表す。


 ラダッツと呼ばれた男の風貌は特徴的な赤いバンダナを付けて長めの髪を纏めており、短く綺麗に整えられた顎髭、常に気怠げな表情をしている男なのだが逃げ役を選ばれたということは見た目以上に実力はあるのだろう。


「お前は逃げ足だけはいっちょ前に早いからな」


「へいへい...」


「村人に逃がすとこを見られるのはあんまり良くないからさっさと行くぞ」


 逃げる人物が決まったということなのでコウは盗賊の手足に繋がっている氷で出来た鎖を引っぱって移動することを促し、他の村人達に見つからないようひっそりと村を囲っている木の柵へ向かうのであった...。


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