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159話

 次の日の朝早くからコウ達一行は小規模な盗賊団に襲われたという噂のクルツ村へと馬車にガタガタと大きく揺られながら向かっていた。


 今回はそこまで高い馬車でなかった為、お尻が痛くならないように対策としてクッションを噛ましながらである。


 時間帯としてはもう太陽が真上に近づいているぐらいなので、もうすぐクルツ村へ到着する頃合いだろうか。


「おっ見えてきたな」


 窓の外を眺めていたコウは目を細めるとクルツ村の木で出来た門が見えてきており、門自体は元々建て付けが悪く斜めに傾いていたのだが、前よりも状態は悪化していて周りの柵も倒れていたり破損していたりした。


 馬車はそのまま走り続け、暫くすると馬車は速度を落とし御者がクルツ村へと到着した旨を伝えてくれたので馬車から降りると、どうやら門や柵の復旧作業中なのか村の男達がゴーレム達と共に協力して近くにある木を切り倒して運び、職人の村人が木を加工して直そうとしている。


「ゴッ!」


 コウ達が来たことに気がついたのか村人の手伝いをしていた1体のゴーレムが近づいてきて敬礼をして挨拶をしてきた。


 一応、魔道具として起動させた本人なので主従関係としてはコウが上ということを理解しての行動だろう。


「村を守ったんだってな。よくやったぞ」


「ゴッゴッ〜」


 ゴーレムはコウに褒められるとモジモジと身体を動かし、照れている様で見ていると面白い。


 照れている様な動きをしているという事はゴーレムにも感情や自分の意思があるのかもしれない。


「やることはやってるし何か褒美でもやるかな?」


「ゴッ?」


 コウは収納の指輪の中に何があるかを確認しつつ、村を守ったゴーレムに何を褒美としてあげるか考える。


(ん〜何がいいんだろうか)


 人が使用する武器や防具などを渡しても小さな身体では扱えないだろうし、装飾品などの光り物を渡してもゴーレム達にとって価値はないだろう。


(あぁそういえば魔石でいいか)


 ゴーレムの姿を見ていると身体の中心部に魔石が埋め込まれているのが見えて1つだけ褒美として相応しいものを頭の中に思い浮かんだ。


 それは魔石である。


 魔石ならばゴーレム達も自身へと吸収してエネルギーに変えたりする事が出来る筈だ。


 そういえば以前ダンジョンに行った際、2階層である大森林ロートスの中層で大量のキラーホーネットと戦って倒していたのを思い出す。


 ただ問題としてまだキラーホーネットは解体をしていない為、死骸の中から魔石を取り出す必要があった。


 キラーホーネットとクイーンはローランへ帰ってきた際、早めに依頼しておけばよかったなと少しだけ後悔するが、あの時は長旅から帰ってきたばかりでそこまでの考えに至らなかったし、クルツ村へまた来るとは思ってもいなかったのでしょうがない。


「まぁいっか。とりあえず全員集まってくれ」


「ゴッ!」


 考えるのが多少面倒になったのでキラーホーネットの死骸さえ渡せば勝手に魔石を取るだろうとコウは判断し、ゴーレムを集める様に指示を出すと敬礼をしてクルツ村の人達を手伝っているゴーレム達へ声をかけているようだ。


 暫くするとあちらこちらで手伝いをしていた合計8体のゴーレム達がコウの目の前へ続々と集まってきており、指示をしていないのに横へ均等に整列して並ぶ。


 全員が集まって並んだところでコウは収納の指輪の中からキラーホーネットの死骸を8体自身の隣に山積みにして出すが、ゴーレム達には状況が飲み込めないようである。


「ちゃんと村を守ってくれたしご褒美として魔石をとっても良いぞ」


 コウがキラーホーネットの死骸に向かって指をさして魔石をとってもいいと一言ゴーレム達に伝えると理解できたのか飛びつくようにキラーホーネットの死骸に張り付き、中から魔石を掘り当てようと硬い甲殻部分をいともたやすく剥がしていく。


「意外と力あるな」


「小さいのに凄いですね~」


 ゴーレム達は中から上手く取り出せたようだが、その後のゴーレム達の行動が各々違っていた。


 魔石を持ってクルツ村の中へと入っていったり、その場で気にせず魔石を吸収したり、中には木の陰に隠れて地面へ埋めていたりしているゴーレムもいたのだ。


「個性もあるのか。魔道具なのに面白いな」


 ゴーレム達の様子を見ながらコウは魔石が抜かれたキラーホーネットの死骸を再び収納の指輪の中へと仕舞い込んでいく。


 魔石が無いとはいえ、ゴーレム達によって剥がされた甲殻部分は素材として多少なりとも売れるだろう。


 この数日でゴーレム達に個性が現れたということならば魔道具なのに成長しているということになるのでこれからどうなっていくのか楽しみである。


「そろそろ行きますか~?」


「あ~そうだな。行くか」


 クルツ村へ入る前に復旧作業中の村人へ軽く挨拶を交わすと、殆どの村人がにこやかな表情で手を振ってくれたり頭を下げてくれたので盗賊に襲われたという割に村全体の雰囲気は暗くなさそうである。


 盗賊達が捕まっているのは昨日話してくれた中年の男性冒険者の通りクルツ村の何処かにある倉庫の中だろうか。


 とはいえその場所についてコウは詳しく知らないので取り敢えず知っているであろう村長がいるはずの家へと向かうのであった...。

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