158話
すっかりと暗くなった空だが、ローランの街の大通りは街頭に似た魔道具によって橙色の光が照らされているためか明るく夜でも賑わっている。
「何処にする?」
「ん〜前行ったお店が良いですね〜」
前に行った店とはレイジーベアやフォレストウルフを倒して帰った際に行った大衆食堂のことだろうか。
確かにあそこは料理が美味しく量もそれなりにあるのに値段も高くなかった記憶があって選択肢としては悪くないだろう。
「じゃああそこにするか」
「今回の日替わり夕食が楽しみです〜」
前回の日替わり夕食はオークのステーキとホーンラビットのシチューだったが、日替わりメニューという名前なので今回はまた違う物が出てくる筈であり、少しだけ楽しみである。
大衆食堂は冒険者ギルドへ来た際に通った道にあるのでコウとライラは来た道を戻る様に冒険者達で賑わっている道を歩き出し、目的の場所へのんびりと向かう。
ライラと明日の予定などを話していると目的の大衆食堂が見えてきたのだが、やはりというか前回来た時と同様に繁盛しているようである。
店の中へと入ると前回も厨房に立っていた恰幅の良いおばちゃんが店の中の賑やかな客たちに負けないぐらいの声を張り、奥の席へと案内してくれた。
席に座ってのんびりと机の上に置いてあるメニューを見つつ待っていると恰幅の良いおばちゃんが厨房から出て水が入ったコップを持ち、こちらに向かってくるのが見える。
「水置いとくよ!注文は決まってるかい?」
「あ~...じゃあ日替わり夕食を2つと果実の盛り合わせを1つ頼む」
「今から作るからちょっとだけ待っときな!」
机の上に水の入ったコップをどんっ!と置かれた衝撃で少しだけ水がコップから溢れるが気にせず注文をする。
注文を受けた恰幅の良いおばちゃんはすぐに厨房へと戻ると厨房にいる男達の尻を叩き料理を作らせていくが男達は次から次へと来る注文にへとへとな様である。
料理が出来るのを待っている最中はライラとまったり喋りつつ待ち、がやがやと賑わう店の中では色々な話が飛び交って盗み聞きをしているわけでもないのに耳の中へ深夜流れるラジオの様に自然と入ってくる。
例えば次の依頼はどうするか?新しい武器屋が出来たなどである。
そんな色々な会話が飛び交う中、隣の席に座っている中年の男性冒険者2名の会話内容から少しだけ気になる内容が耳の中へ入ってきた。
それは何処かの小さな村が小規模な盗賊団に襲われたのだが、小さなゴーレム達が村を守って助けて貰ったらしいという噂の様な会話内容だった。
小さなゴーレム達といえばクルツ村に一応警護として置いていったゴーレム達のことが真っ先に思い浮かんだ。
目の前に座っているライラの耳にも先程の会話内容が聞こえていたようで不安そうに眉を潜めている。
自身の生まれ育った場所が小規模な盗賊団に襲われたと聞けば不安になるのは仕方ない。
「ちょっとだけさっきの話を聞きたいんだがいいか?お礼この銀貨2枚で酒でも飲んでくれ」
「おぉ?中々気前がいいな!いいぞ坊主話してやる!」
銀貨2枚を収納の指輪の中から出し、隣の机の上に置きながら中年の男性冒険者の2人へと話しかけると上機嫌になり、詳しく先程の話をしてくれた。
どうやらその噂は商人から聞いた話らしく襲われた村の名前までは知らないようで村の位置や規模、そして小さなゴーレムが盗賊達を返り討ちにしたというのを聞く限りコウがよく知っているクルツ村だと予測できる。
小さなゴーレムに返り討ちにされた盗賊達はローランに引き渡すために両手両足を縄で拘束され倉庫の中に閉じ込められており、被害に関しては村の門や柵などが壊れた程度で幸いにも村人達に死傷者はいなかったらしい。
ただ盗賊のリーダー格の男はまだ捕まっていないようで何処かで隠れ息を潜めているとのことだった。
コウ達がクルツ村から離れて数日も立ってもいないのにそんなことが起きていたなんてつゆ知らず、もし魔道具であるゴーレム達を村の周りに置いていなかったら今頃クルツ村は全てを奪われてなくなっていた可能性が高いだろう。
「詳しく話してくれて助かる」
「おうよ!また聞きたいことがあったら聞いてくれ」
中年の男性冒険者は知りたいことがあったら聞いてくれというが手はお金のジェスチャーをしているので別料金が掛かりそうではある。
まぁある程度欲しい情報は得られたのでコウは自分の席へと戻り、椅子へと座るとライラはコウと中年の男性冒険者との話を聞いていたようで少しだけホッとした表情をしていた。
「まぁそのあれだな。明日にでもクルツ村の様子でも見に行くか」
「ありがとうございます~そう言ってくれると助かります~」
盗賊のリーダー格の男がまだ捕まっていないというのはクルツ村の中で拘束されて捕まっている仲間を取り戻そうと再び来る可能性があり、不安要素でもあるのでコウとしてはなんとかしておきたいという気持ちもある。
「あいよ!待たせたね!今日はフロロフロッグの串焼き盛り合わせとスリープシープのポトフだよ!」
「おぉ...」
「わぁ~美味しそうですね~!」
「キュイ!」
机の上に置かれた木の皿にはカエルの足が串に刺さってこんがりと焼かれた物と野菜がごろりと入ったポトフそして柔らかそうな白いパンであった。
フェニの前には前回来た時と同じフルーツの盛り合わせを置かれて飛びつきフルーツへ啄みだす。
ポトフは美味しそうなのだが、串に刺さったカエルの足は少しだけ見た目がグロく感じてしまう。
「美味しいですね~って...あれ?串焼きは食べないんですか~?代わりに食べましょうか~?」
「いや食べるぞ」
ポトフを先に食べてカエルの足を後回しにしているとライラが疑問に思ったのかコウの前にある串焼きを取ろうとするので手でブロックする。
少しだけ抵抗はあるが男は度胸であり、カエルの足が刺さった串焼きを手に取って一口だけ齧り取り口に入れるとぷりぷりとした食感と鶏肉の様な味で香辛料もふんだんに使われていて臭みもなく、かなり美味しい。
教訓として例え見た目がグロテスクな食べ物であっても一度は口に入れてみるのも悪くはないなとコウは思うのであった...。
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