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150話

「もうすぐ王都に到着だな」


 あれから黒い蝙蝠達に襲われて以降は特に何事もなく、馬車の旅は順調に進み既に王都は目と鼻の先であり、予定よりも少しだけ早く王都へと到着しようとしていた。


 長いようで短かった3人と1匹の旅はここで終わってしまい、イザベルは元の白薔薇騎士団へと戻ってしまう事に少しだけ寂しさを感じてしまう。


 とはいえこれが最後の別れという訳では無い。


 白薔薇騎士団が拠点としている所は普通の人ならば用がない限り入れないのだが、幸いにもコウとフェニはそれなりに出入りしていたお陰で受け入れられているので何時でも入れたりする。


「久々に楽しい旅でした。またジュディに任せていこうかしら?」


 イザベルはこの旅が新鮮で楽しかったのか、ふふっと笑うがジュディからしたら心労が絶えなさそうだなと思いコウは苦笑いをしてしまう。


 朝方なのに王都に入ろうとしている長蛇の列の横を走り続けると馬車の走るスピードは落ちていき、王都へ入るための大きな門へとたどり着く。


 勿論イザベルがいるため特別口の前であり、他に入っていくような人物もなかなか居ないので一般口と比べるとガラガラである。


「そういえば王都は寄っていくんですか?」


 馬車はイザベルは降りながら王都に寄っていくのか聞いてくるがコウは首を横に振る。


「んーいやちょっとだけ寄る場所があるしやめとく」


「そうですか残念です」


「悪いなまた会いに来るよ。御者さんすまんが次はクルツ村に頼む」


 コウは御者にクルツへ向かって欲しいことを伝えると御者は周囲に人が居ないことを確認し、馬車を反転させて今度はクルツ村に向かって走り出す。


 馬車がクルツ村に向かう中、後ろに付いている小窓から王都側を確認するとイザベルが手を振り見送ってくれていたのでこちらも手を振り返し、距離が離れていくにつれて小さく見えなくなってしまう。


「なんだか寂しくなりますね~」


「また会えるだろ。その日まで少しのお別れだ」


 イザベルを王都へ無事に返し、馬車に残ったのはコウとライラとフェニだけである。


 先程までイザベルが座っていた席が空き、少しだけ広くなった馬車の中はほんのりと寂しさが包み込むような気がした。


 イザベルと王都で別れた後、コウ達はライラの育った場所であるクルツ村へと向かっていた。


 何故、クルツ村へと向かっていたかというとコウにとって少しだけやりたいことがあったのだ。


「そういえばなんでクルツ村にいくんですか~?」


「あぁ話してなかったな。ほらダンジョンでゴーレムの魔道具手に入れただろ?あれを使えば村は安全じゃないかなって」


 現状、クルツ村は外敵の防衛面に関しては皆無と言っていい。


 過去ワイルボアに村の畑を荒らされたり、近くの森にはフォレストウルフやレイジーベアといった危険な魔物が闊歩していたりする。


 そして盗賊などもこの世界には存在し、こんなにも無防備な村が大規模な盗賊団などに見つかってしまえばすぐにも襲われてしまうので対策する必要があった。


 また冒険者や護衛の人を雇うにしても相当のお金が必要であり、ゴーレムならばお金もそこまでかからず魔石によって性能が変わるものなので定期的に自身が魔物を狩って魔石を入れたり村の人達が魔石を狩って補充すればそこまで費用もかからないだろう。


 とりあえずとして手持ちの余っているワイバーンの魔石さえゴーレムに入れてしまえばかなりの活躍が見込めるはずだ。


 コウにとって前々からなんとかしようと思っており、偶々このような魔道具が手に入ったのは運がいいと言える。


「良いんですか~?私の村にわざわざ貴重な魔道具を使ってくれるなんて~」


「まぁ世話になった村だしな。ライラもそっちのがいいだろ」


「村が安全になるのは嬉しいです~ありがとうございます~!」


 ライラはコウの目の前に座っており、かなり嬉しかったのか感謝の言葉を述べながら席を立ちこちらに抱きつこうとしてくるがすぐに頭を片手で抑え元の席に座らせる。


 少しだけ不満そうにしていたが思春期であるコウにとってライラの豊満なハグは中々に刺激が強いのでこうするしかほかない。


 暫くライラと雑談をしながら馬車の旅をしていると太陽は真上へと移動し、昼頃となっていてお腹が鳴り空腹を訴えかけてくる。


 コウは収納の指輪から買いためていた串焼きを取り出し食べているとライラとフェニが物欲しそうな目をしていたので追加で取り出し手渡すと喜んで頬張りだす。


 なんだか餌付けをしているような感覚である。


 食事をしていると小窓からコンコンとノックが鳴ると御者からクルツ村に到着する旨を伝えられるので窓の外を見ると木で作られた小さな門が見えてきた。


「ライラ到着するみたいだぞ」


「んぐっ...ぷはぁ〜!美味しかったです〜」


 ライラは手に持っていた串焼きを一気に食べ切ると同時に馬車はゆっくりと停止し、クルツ村の入口である木で作られた小さな門の前へと到着したので馬車を降りて外に出る。


 肺に空気を入れ深呼吸すると木々や土の匂いがしてなんだか癒やされた気持ちになる。


「ここで待っていたほうがよろしいでしょうか?」


 馬車から降りて深呼吸をしていると御者から話しかけられこの場所に待っていたほうが良いのかどうかを聞かれた。


「用事もすぐ終わるから悪いけど待っててもらってもいいか?またローランへと向かうだろうし」


「畏まりました。ここでお待ちしていますね」


 とりあえずはゴーレムをクルツ村に防衛として置くとしても流石に村の人達や村長に一言も無しに置くのは良くないだろし、許可を取る必要があるのでコウは御者を村の入り口近くに待機させてライラとフェニを連れ村長の家へと向かうのであった...。

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