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14話

「さぁ文字の勉強をしようか」


 コウはハイドの部屋にある机の前で座らされていた。


 机の上には一冊の本があり、表紙には絵もないただの茶色の本だ。


 中を開くと見たこともない様な形の字ばかりでついつい窓の外へ目を逸らしたくなる。


 唯一救いはそこまでページ数も多くはなく、大体20ページぐらいだったがコウにとっては嫌なものは嫌なのだ。


「今見てもらってるのは共通語って言ってね基本的に使われる文字で47種あるんだ」


 コウは47種と言われどこかで聞いたなと思う。


(47種って日本語と同じじゃねーか...異世界どうなってんだ)


 とりあえず日本語と同じならば覚えるのもまだ簡単だと少し安心する。


「私が一応この本を教科書として作ったんだ。表があるだろう?右上からあ、い、う、え、お、と言った感じになっているから覚えやすいと思うんだけどどうかな?残りのページは文章を書いてある」


 耳についているイヤリングの魔道具のおかげで日本語で聞こえるため、後は形を覚えるだけであり、保育園児でも出来るレベルであったためほんの少し安心する。


 英語のように単語を覚えてくような感じだったらコウは諦めて勉強を放り出していただろう。


「漢字もカタカナも無いなら日本語より楽かもな...」


 コウは小さくまだ楽と呟きつつも一つ一つ文字の形を覚えるためハイドが用意してくれた羽ペンと真っ白な紙では無いが何も書いていない紙に文字を書き、保育園児がやるような練習方法で勉強をしていく。


 中身は高校生なのでこの様な勉強方法はなんだか恥ずかしさを覚えてしまう。


「そういえばこの世界の識字率ってどうなってるんだ?」


 これだけ簡単で文字も少なかったら識字率も高いのでは?と思いハイドに聞く。


「うーんアルトマード王国や周辺の領地で栄えている所はそれなりに識字率は高いね。ただそれ以外の小さな村とかではあんまり文字を使ってる人は居ないから識字率は低いよ」


 中世ヨーロッパよりは識字率が高いことがわかり、アルトマード王国内や周辺地域では学ぶ場所があるのではないかと思われる。


 ハイドに学ぶ場所があるのかを聞くとどうやら学校があるらしく魔法課程と一般課程の二種類に分かれているらしい。


 魔法課程は一般教養と魔法について勉強する主に貴族や魔法の素質がある者などが行き、一般課程はある程度裕福な平民や魔法が使えないものが行くことになっている。


「そういえば文字を覚えたらどうするんだ?」


 コウは何気なくハイドに聞く。


 自分の戦闘面に関してはもう既にある程度まで鍛えてあるし、常識も覚えた。


 次にこの世界の文字さえ覚えればコウはこの世界で一人で生きていけるくらい余裕なのだ。


「そうだねぇ~私も色々とやることがあるしコウは独り立ちしても良いと思うよ。ここに住んでるだけじゃ何も始まらないし世界を見て回るのも良い」


 ハイドは少し寂しそうにそんなことを言う。


 独り立ちと言われコウは少し悩む。


 既に3ヶ月はハイドと過ごし最初はハイドに対して嫌悪をしていたが、本当の息子の様に接する愛情を日頃から貰っているとハイドに対する気持ちはいつの間にか嫌悪から親しみへと変わっていた。


 もしかしたらその親しみは転生したこの世界では天涯孤独の身なので自身の寂しさを埋めるための感情かもしれない。


「ここを離れるのか...もしよかったらハイドも一緒に行かないか?」


 ここで一生を過ごすのはキツイのだが、かといって一人で暮らすのも少し寂しい。


 一緒に外の世界を見て回らないかと聞くとハイドは残念そうに首を横に振る。


「私はずっとここにいるよ。先程言ったように色々とやることあるしさ。外の世界を知ってほしいし外に出てどうしても無理だってときはここに戻ってくると良い」


 ハイドはどうやらコウがここにずっといるのはあまり良くはないと思っており、外の世界を知ってほしいらしい。


 可愛い子には旅をさせよ。親であるハイドとしては自身の子供には様々な経験をしてもらいたいのだ。


「わかった...文字を覚えたら外の世界を色々と見てくるよ。たまに戻ってくるからな!」


 コウはハイドの意思を汲み取り外の世界に出ることを決意する。


 この世界を見て回り色々な経験をしたらここにまた戻ってきてハイドとのんびり暮らすのも悪くないとコウは思う。


 そして自身の経験をハイドに武勇伝のように聞かせるのだ。


「まぁ外を出る前にまずは文字を覚えてからだけどね」


 ニコニコと笑いながらハイドはそんな事を言い確かにと思いつつ、コウは文字の勉強を再開するのであった...。

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