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136話

「おっ...終わったみたいだな」


「キュイ?」


 コウは近くに地面から生え出ていた木の根っこに寄り掛かって休憩していると、急に大きな振動で地面が揺れたのでイザベルとライラの2人が女王を倒したということを感じた。


 実際、コウの言ったことは正しかった様で、暫く待っているとイザベルとライラの2人がこちらへ戻ってくるのが見える。


「あ〜疲れました〜!休憩しましょう休憩〜!」


「お疲れ様です。コウさんの体調は大丈夫ですか?」


「あぁ問題ないけど魔力が回復するにはちょっとだけ時間かかりそうだ」


 ある程度は魔力が回復したとはいえ、まだ完全に回復するには少しだけ時間がかかるので休憩することとなるだろう。


 とはいえ周りにはキラーホーネットの死骸などが大量に散乱している中、休憩するのは流石に不快なため倒したキラーホーネットや女王を回収しつつ場所を移すことにした。


 左腕に寄生させている魔向草を頼りに暫く枝垂柳の中を進んでいくとそこそこ広い湖へと辿り着く。


 湖の上には木が広がっていないのでぽっかりと穴が空いており、移動していたらいつの間にか夜となっていて、月明かりが湖を照らし中心部の水面には鏡のように月がゆらゆらと浮いている。


 そして暗くて見づらいが奥には先程まで進んでいた中層とは風景が変わって枝垂柳の木ではなく、普通の前層と同じ様な気なのだが、木の幹の部分や葉の部分が鮮血のように赤く染まっていてこれまでと違ってかなり異質である。


 きっとこの先が第2階層の深層ということなのだろう。


「ここで休憩するか」


「そうしましょうか。ここから先は深層でしょうし」


「や~っと休憩です~!」


 この先が深層ということならば、ここで英気を養い万全な状態で進むのが良いはずだ。


 コウはいつものごとく収納の指輪の中から休憩に必要なテントなどを取り出し周りに配置していく。


 そして既に時間帯は夜となっているため、コウ達は疲れた身体を癒すために早々と食事を取り、各々夜を過ごしていくのであった...。


◾️

 月は空になく、代わりに太陽が交代するように空へと登り湖の水を光が照らしてキラキラと輝く。


 夜だからわからなかったが、水はかなり透明度があって小魚が優雅に泳いでいるのが見えた。


 コウは自身の身体の調子を確かめるためサンクチュアリをヒュンヒュンと風を切る様な音を鳴らし軽く振るっていた。


 地面すれすれをサンクチュアリが通り過ぎる度に地面に生えている草が細切れにされて宙を舞い時折、吹くそよ風に飛ばされて何処かへ消えていく。


 魔力に関しては寝て起きれば完全に回復しているのか昨日のキラーホーネットをまとめて相手し終わった時の倦怠感は無い。


「よし...問題無さそうだな」


 テントなどを片付けも終わって出発する準備は整っており、ライラやイザベルも身体をほぐすようにストレッチや自身の持っている武器の手入れなどをしているのが見える。


「待たせたな。俺は準備ができたけど皆はどうだ?」


「私は問題ないです」


「ん~私も大丈夫ですよ~」


 全員出発する準備はいつでも出来ているようなので今日からは深層を進んでいくこととなる。


 昨日の内に深層についての情報はイザベルから聞き出していて生息している魔物なども前層、中層よりも凶暴な魔物が増えてくる。


 例えばライラと共闘して倒したレイジーベアやオーガなどが生息しているようだ。


 そして木の幹の部分や葉の部分が鮮血のように赤く染まっていることについて一説によれば、この2階層で死んでいった者達の血が集まり赤く染まっていると言われているらしい。


 とはいえその話の最後にイザベルからは「ちょっとした冗談で噂話です!」と舌をぺろっと少し出して笑っていた。


「出発だな」


 コウの一言で全員は頷くと足を進めて湖を沿うようにぐるりと歩き赤く染まった木と枝垂柳との境界へと到着する。


 どうやら少し前にここで戦闘の形跡があったようで木の幹の部分に大きな爪痕が何箇所にも残っており、近くにはそこそこ大きいレイジーベアが横に倒れ物言わぬ肉の塊になっていた。


 そしてそのレイジーベアの死骸をあまり見たことのない鳥の魔物が肉を啄み食事中のようでこちらに見向きもしない。


 まぁこちらを無視してくれるならわざわざ戦わずに済むので有り難いことではある。


 しかしレイジーベアを相手にして勝利を収める事のできる魔物が存在するのならば注意して進んでいかないといけないだろう。


 ゴクリと音を鳴らすようにコウの喉元を生唾が通り抜け、少しだけ冷や汗が皮膚の上を伝うが3層目を目指すならばここを通っていくしか無いのだ。


 コウはその場で目を閉じると何回か深く息を吸って吐き出すのを繰り返して気持ちを整える。


「よし。気をつけて進んでいこう」


 これから進むのは深層だ。


 基本的にCランクの冒険者が入っていくのは危険な領域だ。


 とはいえイザベルの見立てではコウとライラはCランクであるのだが、4階層まで降りることができると言っていたのでここで躓いていている暇はない。


 ここから先に何が待ち受けているのかは分からないが、コウ達は一段と気を引き締めて進んでいくことにするのであった...。

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