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130話

 ふいに聞こえてきた声と足音の持ち主は少し前に挨拶し、別れたマリファスであった。


 あの盗人を捕らえた魔法は目の前にいるマリファスの仕業だろう。


「えーっと確かマリファスさんだったか?」


「そうそうさっきぶりだねぇ。ところで2人は逢引かな?」


「ちっ、違います!...って笑ってますね」


 マリファスはイザベルをからかって反応を楽しんでいるようで笑っており、イザベルもからかわれたことにすぐ気がつきジトッとした目をマリファスへと向けるがさらりと躱される。


「いや~やっぱり遠見の塔からの移動は足が棒になるねぇ」


「というかあの魔法って本当にマリファスさんがやったのか?」


「ん?あの土魔法の事かな?それは僕だよ」


 一応、再確認として聞いてみるとやはりマリファスの魔法のようだ。


 とはいえ本当に遠くから見て魔法を使用することが可能らしい。


 全くもってAランクやSランク冒険者は化け物に近いと思ってしまう。


 とはいえその化け物に近い力を持っているのはマリファスだけではなく、もう1人近くにもいるのだけれども。


「全く...最近は治安が良いと思ったらこれだし勘弁してほしいねぇ」


 愚痴をこぼす様にマリファスは呟きつつ、拘束された盗人の元へと近づいていき、警備兵のような格好をした人達へ指示を出していく。


 拘束された盗人は藻掻くが警備兵に何処かへ連れられていってしまった。


 最近は治安が良いと言っていたが治安を維持できているのはマリファスがこの街を見回して抑止力になっているお陰だろう。


「さぁ問題も解消したし、邪魔者は戻るとするかな?2人の邪魔をしても良くないしねぇ」


 クスクスと笑いながらマリファスは遠見の塔の方向へと歩き出していく。


 もしかしたら盗人の件についてはニの次で、実際はイザベルをからかうために来たのでは?と思ってしまう。


「もう...全くあの人は変わらないですね」


「まぁ良いじゃないか。さてライラが怒る前に帰ろう」


 コウとイザベルはこれ以上この場に居てもしょうが無いので、すぐにライラとフェニが待っている場所へと戻ることとする。


 テントを設置した場所へ戻る最中にコウはふと空を見上げるといつの間にか夕方のような茜色に空は染まっていた。


「なぁイザベル...もしかして2層目からは時間感覚が戻るってこういうことか?」


「えぇそうですよ。何故か地上と同じ時間間隔になるので感覚が戻るんです」


「意味がわからん...まぁ有り難いんだけどさ」


 とはいえ時間感覚が狂うよりかは良いし、寧ろ有り難いことではある。


 テントを設置した場所へ到着するとライラが入口付近で膨れっ面をして待っており、かなり暇を持て余していたようだ。


「遅いですよ~!暇だったんですよ~??」


「いや知らん。というかフェニと一緒だったろ...」


「フェニちゃんなら色々な冒険者の人からおやつを貰って満足そうにしてました~ずるいです~私も欲しかったです~...」


「キュイ!」


 ライラの話によると、どうやらフェニは休憩中の冒険者達へ自分の魅力をフル活用しておやつなどを貰っていたようだ。


 鳥にずるいと嫉妬するライラもライラである。


 しかし...一体何処でフェニはそんな技術を会得してしまったのだろうか?


 そういえばイザベルの屋敷へ出入りしていた時、フェニは似たような事をしていたのをコウは思い出す。


「フェニは今日の夕食を少し減らすか...」


「キュイ!?」


「しょうが無いだろ。間食してるんだから」


 夕食を減らすというと驚き不満そうにコウの周りを飛び回って不満をぶつけてくるがこれもフェニの健康のためである。


 ベースキャンプからはダンジョン内に広がる空が木々に遮られていないのでよく見える。


 そして茜色の空から星空が広がり、月明かりが照らすような空へと移り変わっていく。


 夕食はいつもどおり、収納の指輪の中からふわりと良い香りが漂う出来たての料理を取り出して並べ皆で食べていくがフェニは後の宣言通り少なめになっており、不満そうだったのは言うまでもない。


 今回も女性陣を先にお風呂に入ってもらってコウも最後にお風呂へ入り1日の戦闘や移動などの疲れを癒やしていく。


 その後は自分のテントに入り、各々自由時間として過ごし慌ただしい1日を終えるのであった...。


 次の日の朝、コウ達はテントや陣幕を片付けて出発する準備をしていた。


 遠見の塔からコウ達が出発するための準備しているのが見えたらしくマリファスが別れの挨拶に来てくれたりもした。


 マリファスの親切心からか森の中層、深層や3階層から気をつけることなどのアドバイスを貰ったりもしていた。


 まぁ別れの挨拶とアドバイスの話以外はイザベルをからかいにきたようなものだったが...。


 そしてこの場所以降はベースキャンプの様な場所は無く、本格的にダンジョン攻略となるだろう。


 テントや陣幕などを片付け終わり、ようやく出発する準備が整ったのでコウ達はベースキャンプから出るために移動していく。


 そして入口付近に到着するとベースキャンプへと新たな若い冒険者のパーティーがすれ違うように入ってくる。


 きっと彼らも夢を追う者なのだろう。


 勿論、今から向かう先は2階層の中層の攻略であり、準備は万端だ。


 一応、地図はあるがそれでも長い移動にもなるのでコウ達はより一層気を引き締めて目の前の大森林に向かって地を強く踏み締め進むのであった...。

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