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12話

 食事も終わり、男とコウの各々は自分の自室へと戻ってゆっくりとしていた。


 しかしコウは男に色々と聞きたいことがあったために自分の部屋のドアを開けて隣にある男の部屋のドアの前まで移動する。


 軽くノックして男の返事を待つと、どうぞという返事が返ってくるのでコウは扉を開くと椅子に座りながら何か手紙のようなものを書いている男の姿が目に入った。


「何か用かな?」


 男は筆を走らせている手を止めコウを見ながらまるで相談をしに来た子供に声をかけるように話しかけてくる。


「聞きたいことがあるんだ教えてくれ。あんたの名前は?何故こんな危険な死の森という場所で生活しているんだ?」


 コウには聞きたいことがあった...男の素性は?死の森で何故生活しているのか?どうしてそこまで強いのか?聞きたいことが多すぎてついついと口から疑問が飛び出す。


「そうだね。自己紹介すらしてなかったからね。私の名前はクルス・ハイドという者だハイドと気軽に呼んでくれ。もしくはお父さんなどでもいいよ」


 この男のは自分をクルス・ハイドと名乗りそして父と呼べと笑いながら言う。


 まだコウとしてはこの世界に来たばかりで見ず知らずの人を父と認めてはいないが一応、父ということになるとしたら自分はクルス・コウにあるのだろうか?そんな事を思う。


「なるほどハイドか覚える」


 コウはお父さんとは呼ばず、ハイドと呼び捨てするとハイドは少ししょんぼりとするが無視を決め込んだ。


「まぁ呼び方は何でも良いんだけどね。ここに居る理由は君を作るのに邪魔をされたくなかったのと実家が継げと煩いから逃げてきたんだよ」


 ハイドは苦笑いしながら何故ここで生活しているのかという次の質問に答える。


 作るのを邪魔されたくなかったということは自分を作るのは良くないことだったのではないのか?もしかしたらこの世界では犯罪なのではないのだろうか?また実家が継げと煩いということはそれなりの家柄が良い生まれなのか?等の聞けば聞くほど追加で疑問が生まれてしまう。


「コウは気にしなくても良い。実家もここまで来ちゃえば関係ないしね」


 気にしなくても良いとコウは言われ疑問には思うが深くは聞かないようにして別の質問に移ることにした。


「何故そこまで強いんだ?」


 コウは今日の朝から夕方の模擬戦でハイドにボコボコにされたのだ、それはもう赤子の手をひねるぐらいに簡単に。


 まぁ実際コウは争いのない世界から呼び出されたのだから戦いに慣れているハイドにボコボコにされるのは当たり前なのだ、しかし現状コウの身体能力はかなり良いものである。


 それこそ前の世界だったら大の大人を張り倒せるぐらいには。


 なのにハイドは手加減しながら身体能力の良いコウをボコボコにしており、模擬戦が終わるまで息切れもなく余裕そうにしていた。


 つまりかなりの実力差があり、体力やスタミナもコウより多くあるということが子供でも分かる。


「う~ん実家で鍛えられたし逃げている時から今に至るまでずっと戦って生き延びてきたからね。それのお陰かな?」


 他にもある程度、質問をした結果このハイドという男は良い生まれの可能性が高く、もしかしたら貴族の人間なのかもしれない。


 コウはある程度の質問ができて疑問が解消されたので満足して自分の部屋に帰ろうと後ろを見ると額縁に入れられた大きな絵が飾ってあるのに気づく。


 どうやら3人組の家族での絵のようであり、ハイドを若くしたような見た目の男と長髪の青髪で瞳も蒼眼で美人な女性、そして女性に抱っこされている青い髪の子供の絵だ。


 全員がにこやかな表情を浮かべているのできっと幸せな家庭なのだろう。


「また何か質問や知りたいことがあったら聞きに来ると良いよ」


「考えておく」


 絵を見ていると後ろから声をかけられたのでコウは適当に返事をしつつ、自分の部屋に戻るのであった...。


 コウが部屋に戻った後にハイドは止めていた筆を走らせて何かを手紙のようなものを書いていた。


 日本語ではなく何語かもわからないがこの世界の言語だろう。


「本当は文字を教えたいけど時間もないしなぁ...なんとか魔道具か何かで補助できる物がないか探さないと...。いろんな注文の手紙を送っておこう」


 どうやらハイドが書いていたのは誰か宛への手紙のようだ。


 手紙を書いている途中に突然コホッ!コホッ!とハイドは手で口を抑えながら乾いた咳をする。


 手のひらには吐血しているためか軽く黒ずんだ血が付いており、ハイドがこの先長くないのが窺える。


「コウがなんとか一人前になって生きていけるようになるまでは生きないとね」


 近くにある布で手のひらに付いた血を近くにあった布切れで拭うがなかなか取れず手のひらを赤黒く汚しながら小さな声で呟く。


 そしてハイドは羽ペンを持ち直し先程、書いていた途中の誰宛かもわからない手紙を再び書き始めるのであった...。

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