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118話

「こいつは大当たりだな!滅多に見られねぇ上玉の女が2人に珍しい魔物が2匹だ!」


 馬に跨った先頭にいる頭目のような男が言っていることから察するにやはりというか盗賊だった。


 何故こんなにも盗賊の遭遇率が高いのかとコウはため息を付いてしまう。


 もしかしたら神様がトラブルメーカーというものでも転生する際に付けてくれたのではないのだろうか?


 そうだとしたらはた迷惑な話である。


 まぁ実際のところコウの見た目はまだ幼い為、道盗賊達から見たら鴨にしか見えないのだろう。


 それ故に道中で待ち伏せしている盗賊達からは襲われやすくなっているので仕方ないのだ。


「オメェら!ガキと御者は売り物にならねぇから殺しておけ!」


 頭目の様な見た目の男が自分の部下達へ号令を掛けると馬から全員が降り、一部の盗賊は手入れが行き届いていない粗悪な斧やナイフなどを構えこちらへ向かってくる。


 別に盗賊達を殺してしまっても良いのだが、この場所は一夜を過ごすには適したところなので盗賊達の血で周囲を汚したくはない。


「ライラ!イザベル!盗賊を殺さず無力化するぞ!」


「じゃあ気絶させていきますね~!」


「確かにここを汚したくないですからね!」


 ライラやイザベルに向かってくる盗賊は素手であり、特にライラは手にグローブをしているだけなのでかなり舐められているのか、じわりじわりといやらしい目で迫っていた。


 ただ残念ながら綺麗な薔薇には棘がある。


 ライラは1人の盗賊が手を伸ばしてきたので、そのまま腕を掴むと人の腕の回るであろう可動域の限界を超えるまで一気に捻りゴキッ!と音を鳴らす。


 するとその盗賊が痛みで叫びだし、残りの盗賊2人はいきなり目の前のライラが行った行為に動揺しているようだ。


 その隙きを逃すまいとライラは動揺している盗賊2人に一気に近づき鳩尾の部分へ拳を振るう。


 2人の盗賊はグェッ!っと絞り出したカエルのような声を出しながら鳩尾部分を抑え、前のめり地面へ倒れ込みピクリとも動かなくなってしまった。


 そしてイザベルへ近づいていた盗賊達もいつの間にか地面へと伏しており、気絶しているようだ。


「なっ!」


 盗賊の頭目はまさか女に反撃されると思っていなかったのか絶句し目を丸くする。


「まずは3人です~」


「私は2人ですね」


 2人は手をパッパと払い呑気にそんな事を言っているのだが、盗賊達の目の色は変わり舐めてかかってはいけない相手だと判断したようだ。


 とはいえ現状警戒されているのはライラとイザベルだけであり、どうやらコウは蚊帳の外らしい。


「女2人はそこそこ出来るようだが俺らは少し油断しただけだ!なんとか取り押さえろ!」


 既に盗賊は5人倒されており、残りの人数は頭目を含めると半分である5人なのにまだこちらへ仕掛けてくるつもりのようである。


 しかし盗賊はそこそこのやり手なのか、頭目の号令でライラとイザベルを囲むように頭目を含む盗賊達は陣形をすぐに変えてきた。


「なんだか放置されてて暇だな」


 御者を守るために水辺の近くに避難していたのだが、一切近寄ってこない盗賊達にコウは暇を持て余していた。


「彼女達を助けなくてよろしいんですか?」


「う~ん...ライラもイザベルも強いしなぁ。まぁ少しだけちょっかいを掛けるか」


 御者の言葉を聞き流石に何もしないというのもイザベルやライラに申し訳ないので近くにある水辺へと自身の魔力を流していく。


 するとゆらりゆらりと揺らいでいた水は意思があるかのように動き出し草むらの地面を薄く這うように盗賊の方向へと向かう。


 盗賊達は足元へ近づいてくる水は草むらに隠れているためか一切気がついておらず、ライラとイザベルへジリジリと迫っていた。


「こんなもんか...氷縛!」


 盗賊達を1人1人を円で囲むように水を配置させ唱えると水は再び形を変え、今度は盗賊達を閉じ込めるような檻へと変化した途端凍っていく。


「なんだこりゃぁ!」


 いきなり足元から水が吹き出したと思ったら形を変えて檻のようになった事に盗賊達は驚き慌てふためくがすぐに檻に攻撃をする。


 しかしコウの氷は魔力を込めているため生半可な攻撃では壊れることはなく、寧ろ盗賊側の手入れが行き届いていない武器のほうが壊れていく。


「くそっ!出しやがれ!」


「襲ってきた相手を出すわけ無いだろ」


「クソガキ!てめぇの仕業か!」


 頭目はコウを氷の檻を作った本人だと理解し、懐にあるナイフを出すとコウに向かって投げつけるが軌道が一直線なため簡単に避けられてしまう。


「閉じ込めても攻撃してくるのは鬱陶しいな。だったら...」


 コウは氷の檻の形を更に変化させ、今度は四角のランタンの様な形へと変化させる。


 こうすれば檻の隙間のような場所は無く、盗賊側は投擲物などを使って攻撃はできない。


 一応、息はできるように上部には小さな穴がいくつも出来ており、窒息死することはないように作っていた。


 盗賊達は氷で出来たガラスを叩くがひび割れる様な事はなく一部の盗賊は諦めているようだ。


 こうして盗賊達を無力化することには成功したが、気絶していない盗賊達の扱いをどうするかコウ達は頭を抱えて悩むのであった。

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