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114話

 外に出ると先程の男が大きな声で今から女を賭けて決闘だ!などと言いながら観客を集めており、内心では自身を舐めきったコウを捻り潰し、晒し者にしようと目論見を企てているのだろう。


 とはいえ殆どの冒険者達はコウの姿を見るや否やコウの実力を知っているためか哀れみの目を男に向けては去ってゆく。


 残っている者は最近、ローランに来たばかりのコウのことを知らない冒険者達であろうか。


「よぉし...なかなか集まったな」


 男は観客がそれなりに集まったことにより、満足そうに顔をにやりと歪ませる。


 手にはメリケンサックの様なものを装着すると拳を前に突き出したりしてキレもスピードも無い素振りをし、こちらに威嚇している様だ。


「あ〜もういいからさっさと来い」


 武器すら出していないコウの挑発的な言葉が癇に障ったのか、男の額に青い血管が浮かび上がると同時にこちらに向かって走り出し殴りかかってきた。


 とはいえ酔っている相手の攻撃など当たるわけもなくコウに避けられてしまい虚しくも拳が空を切る。


 子供の様な見た目のコウへ必死に拳を振るうが一切当たる気配のないので周りの観客笑っており、男の方はイライラが増しているようだ。


「なんで当たんねぇんだ!クソが!」


 これ以上、男は自身の醜態を晒すのに我慢ができず焦っているらしく振るう拳の軌道は更に単調なものになっていく。


「コウさ~ん料理来ましたよ~」


 ライラから料理が運ばれてきたという声を聞き、コウはさっさと終わらして食事にしようとほんの少し隙きを男にチラつかせる。


 するとチャンスだと思ったのか男が拳を両手を握り大きく振りかぶり振り下ろそうとしてきたので、がら空きとなった胴体が見えた瞬間コウは思いっきり蹴りを打ち込む。


「がぁっ!」


 蹴りを打ち込こまれた男は苦悶の声を上げ吹き飛び、そのまま近くに置いてあった木箱へと直撃し大きな音を立て土埃が舞い木箱は崩れ去った。


「ふぅ...さぁご飯だ」


 吹き飛ばされる男を見て観客が口を開き静寂が訪れる中、身体についたホコリを払いながらコウは振り返りライラと一緒に店の中へと入っていく。


 土埃が晴れると意識を失った男が倒れていたらしく、外からは観客の湧き上がると喜びの声や悲しみの声などが聞こえてくるのできっと賭けか何かをしていたのだろう。


 この世界には娯楽などが少ないためかこういった賭け行為が人気ではある。


 自分の席にはライラの言った通り出来たての料理が用意されており、香りもよく食欲がそそり口の中に唾液がどんどんと生成されていく。


「こっちがオーク肉のステーキで~こっちがホーンラビットのシチューだそうです~!」


「どれも美味そうだな」


 フェニは主人のコウよりも先に用意された果物を啄み満足そうに食事を堪能していた。


 コウも席に座り、オークのステーキを切り分けて口に頬張ると熱々の肉汁が噛む度に滲み出て1日分の疲れが癒やされていくのが分かる。


 果実酒を飲むと口の中にあったオークのステーキの脂が洗い流されたので、次にホーンラビットのシチューを口へと運んでいく。


 野菜の甘味とホーンラビットの肉の甘味が口の中に広がり優しい口当たりとなっていて目の前の席に座っているライラも満足そうに食事をしているのが見えた。


「それにしても...これからライラはどうするんだ?」


 のんびりと食事をしながらライラの今後の方針を聞いていく。


 独り立ちする数日ぐらいまでならコウは支援するということだったのだが正直今回の依頼でライラは十分やっていけるとコウは思っていたのだが1つの提案を出される。


「そうですね~もしよかったらなんですけど私とパーティーを組みませんか~?」 


 それは一緒にパーティーを組まないかという提案だった。


「パーティーか...」


「駄目ですか~?」


 別に駄目というわけではない。


 今までパーティーを誰とも組まなかった理由も特にはないのだが何となくで断ってきたのだ。


 ただライラならば別に断る必要もないのではないのだろうか?


 実力もそれなりにあるし、他の変な冒険者達と組むよりかは今まで一緒に戦い慣れ親しんだライラと組むことのが良いのではと...。


 暫く考えながら食事をしていると目の前のライラは不安そうな表情へと変わっていく。


「まぁいいか。これからよろしくライラ」


「良かったです~!あっ...そういえばこれをサーラさんからコウさんに渡してと言ってましたね」


 ライラはパーティを組むことに成立をすると不安そうな表情から笑顔になると思い出したように自分のポケットを弄ると1枚の封筒を出し手渡される。


 何処かで見たことのある封筒で記憶を辿るように思い出すとイザベルから前に貰った手紙の封筒だと思い出す。


 封筒を開けて中身を確認するとやはり手紙であり、内容に目を通していく。


 手紙の内容は簡単に説明すると、とあるダンジョンへと行かないかという誘いの内容で詳しい詳細は白薔薇騎士団の拠点としている王都に来て欲しいとのことだった...。

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