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110話

 1匹だけ大きなフォレストウルフが遠吠えが森の中に響き渡ると他のフォレストウルフも同じ様に遠吠えをする。


 すると一斉フォレストウルフ達の目つきが鋭く変わり、獲物を見つけたかのようにコウ達へ牙を剥きながら襲いかかってきた。


「あぶなっ!」


 正確にコウの首元を噛みちぎろうと1匹のフォレストウルフが飛びかかってくるので身体を捻り噛みちぎられないように回避に成功する。


 しかしフォレストウルフは上手いこと連携し、タイミングを合わせてコウの避ける位置へ攻撃を次々と仕掛けてくるのでかなり厄介だ。


 それもそうだ。フォレストウルフは単体ではDランク程度の魔物なのだが、群れを成すとCランクになるという魔物である。


 コウへ襲ってくるフォレストウルフの数は3匹であり、残りはライラやフェニを相手に襲っていた。


 ライラとフェニもフォレストウルフは素早く、更には連携しながら襲ってくるためかなり苦戦しているようだ。


「厄介だな!」


 サンクチュアリを横薙ぎに振り、連携しながら襲ってくるフォレストウルフを振り払うと後ろへバックステップをして距離を取りながら水球を連続で放っていく。


 だがフォレストウルフはひらりと躱しながらコウへと近づき、再び人体の急所である首や動きを封じるための足などを狙って噛みつこうとしてくる。


 更にサンクチュアリを振るってもコウの振るう速度が遅いためか簡単に避けられてしまう。


 このままではジリ貧であり、何か打開策はないかを戦いの中で思考を巡らせていく。


 前にもフォレストウルフに襲われた事があるのだが、あの時は馬車に乗っていたため周囲に水をばら撒く事ができ、地面を凍らせフォレストウルフの動きを封じる事ができたのだ。


 ただ今回はそう簡単に周囲の地面に水をばら撒き地面を凍らせるのは難しいだろう。


 理由としては雨のようなものをごく一部に降らせることもコウは出来るのだが、流石に素早い相手の攻撃を回避しながら大量の魔力をコントロールするのは難しい。


 かといって水球を周囲にランダムにばら撒いて凍らせると間違ってライラの動きを封じてしまい、もしフォレストウルフの動きを封じる事ができなかった場合は身動きの取れないライラは食い殺されてしまうだろう。


 だとするならばフォレストウルフよりもコウは速く動き倒すしか無いのだ。


 サンクチュアリへと追加の魔力を込めると3つの刃の真ん中には穴が空いており、その穴から水が少しづつ溢れてくる。


「はぁっ!」


 フォレストウルフは足や首を狙って攻撃してくるのでコウはサンクチュアリを攻撃してくる位置に向かって振るうと、先程の振りよりも速度が上がっていたためか1匹が避けきれず頭から尻尾まで半分に割れるように両断されていく。


 切れた身体の断面からはどろりと内蔵や血などが出てくるが気にしている暇など無い。


 やられた仲間を見て一瞬怯んでおり、その隙きをコウが見逃すわけもなく追撃のためフォレストウルフに向かってサンクチュアリを腕めいっぱい伸ばし横薙ぎへと振りきる。


 地面に生えている草を刈り取りながらサンクチュアリは怯んでいる2匹のフォレストウルフへと迫っていく。


 狩るか狩られるか――。


 一瞬の隙きが命取りとなる世界で残り2匹のフォレストウルフの命は儚くも横薙ぎに切られ散ってゆく。


 仲間が次々とやられていくのでライラ達を襲っていたフォレストウルフ達は離れ動きを止め遠吠えをすると、これ以上の戦いは無事では済まないと判断したのか脱兎の如く森の中へと逃げていく。


「フェニ追うなよ!」


「キュイ!」


 森の中を逃げるフォレストウルフに追いつけるわけもないのでコウ達は追撃をする必要がないと考えフェニに伝えると理解したのか定位置であるコウの肩へと戻ってくる。


「コウさんよく倒せましたね~それにしても何でこんなところにフォレストウルフが居たんでしょうか~?」


 ライラも無事に戦闘が終わったのでコウの元へと戻ってくると何故フォレストウルフがこんな場所に居たのか気になっているようだ。


 詳しく聞くとこの辺りにはフォレストウルフなどの危険な魔物はおらず、たまにワイルドボアがいるぐらいらしい。


 もしかしたらこの森に何か異変が起こっているかもしれないとコウは考える。


 例えばフォレストウルフにとって普段、生活していた森の奥で何か都合の悪いことがあったのではないかと。


「考えてもわからんな。少し森の奥を調べる必要があるかもしれない」


 コウは地面に転がっているフォレストウルフの死体を回収していると、近くにある大きな草むらがバキバキと大きく音を立てる。


 何か大きな生き物が出て来るのかもしれないと予想しコウとライラは身構えると、大きな草むらから熊の魔物が1匹のフォレストウルフを咥えながら這い出てきた。


 コウ達を見るや否や口に加えているフォレストウルフを地面に捨て、新たな獲物を見つけたかのように大きな咆哮を周囲へ響き渡るように叫ぶ。


「こいつか!フォレストウルフが森の奥から出てきた原因は!」


 フォレストウルフを咥えていたということはこの熊が原因に違いないとコウは理解し、この熊が居なくなれば全ては丸く収まるだろう。


 そして目の前の大きな草むらから這い出てきた熊の魔物との戦いである2ラウンド目が始まるのであった...。

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