107話
スタンピードの防衛に成功し、ライラを小鳥の止り木に泊めた次の日の朝、コウのいる部屋から出る為の扉から何回ものノックの音がコンコンと響いていた。
「コウさん~朝ですよ~起きて下さい~!」
最初は宿の人から朝食の事だと思ったのだが、声を聞くと一瞬で部屋の扉をノックしていた人物が分かる。
眠たい目を擦りながら扉の前へ重い足取りで移動し、扉を開けるとそこにはニコニコとしたライラが立っていた。
「何だライラか」
「何だとは何ですか~!コウさん一緒に今日依頼を受けましょうよ~」
コウの反応があまり良くなかったためか、膨れっ面になるライラ。
どうやら朝早くコウの部屋へ来たのは一緒に冒険者ギルドの依頼を受けたかったらしい。
別に断る理由もないので了承するとライラは膨れっ面から笑顔へと表情が変化していくので少しだけ面白かったりする。
「じゃあちょっと着替えるから待っててくれ」
そう言いながら部屋の扉を閉めようとするとライラが足を前に出し、扉を閉めれなくなってしまう。
「あの扉を閉めたいんだけど...」
「か弱い女の子1人を外で立たせたままにするのはどうかと思います~」
か弱いという言葉に疑問を思いつつ、ライラは足をどける気がないようなので仕方なしに扉を開け部屋の中へと通す。
ニコニコ笑顔で部屋の中へ入ってくるライラへと「変なことするなよ」と一応釘を刺しておくが既に部屋を物色し始めているので諦めながらも外へ出るために着替えるのであった...。
■
「それにしてもどんな依頼を受けるんだ?」
依頼にも種類があるのだ。例えばコウがいつも受けている討伐系の依頼があるが、それ以外にも採取系の依頼やいろいろな種類の依頼がある。
「ん~特には決まってないですね~」
2人と1匹は冒険者ギルドへ向かう道を歩きながら今日の依頼について話し合っていた。
といってもライラの受ける依頼は決まっていないみたいで掲示板を見て決めるらしい。
そうこう話している内に冒険者ギルドへ到着し木製の扉を開け中に入ると、いつもの様に依頼が貼ってある掲示板には多くの冒険者が群がっていた。
「おぉ~流石は冒険者ギルド。多くの人がいますね~」
「ほら、そんなこと言ってないで依頼を見に行くぞ」
ライラの手を引き依頼が貼ってある掲示板まで人混みをかき分け進み、数人の冒険者にぶつかって舌打ちされるが無視をして更に進むと掲示板の前へようやく辿り着く。
「どれにするんだ?」
「ん~これとか良さそうです~」
多くの依頼書が貼ってある掲示板から1枚の紙をライラは取ったので確認してみるとそこにはフォレストウルフの討伐と書かれていた。
しかし依頼書を隅々まで見ていると問題が発生したのだ。
別にフォレストウルフの討伐はいいのだが依頼主が問題である。
依頼主の欄にはクルツ村の村長と書かれていた――。
何故、クルツ村が問題かと言うとコウは1度クルツ村を助けているのだが、色々と噂が大きく膨れ上がり今ではクルツ村の英雄とまで噂は広がっているそうだ。
英雄のことはライラも知っているらしいがコウが助けたということを知らないので、もしクルツ村を助けたということがバレるのは正直なところかなり恥ずかしい。
「ライラ。もう少し他の依頼を見るという選択肢はないか?」
「え~でもクルツ村って私の居た村ですから助けたいです~それにコウさんにも村を見てもらいですし~」
そこを言われると流石にコウも否定はしづらいのだ。
頭を悩ませていると既にライラは受付まで行って依頼を受けており、もう逃げられない。
「さぁ~行きますよ~!」
ライラは諦めかけているコウの手を取ると冒険者ギルドを出て街の門へと向かう。
門へと到着すると思わぬ人物に出会い話しかけられる。
「あら?コウさんとライラさんではないですか?」
その人物は昨日別れたばかりのイザベルであり、スタンピートから街を守るために連れてきた白薔薇騎士団を引き連れていた。
「イザベルさん昨日ぶりですね~!これから王都に帰る感じなのですか~?」
「えぇ、そうなりますね。ところでライラさんは先程見た聖騎士の方々と一緒に帰られなくてもよかったのですか?」
「あぁ~イザベルさんには言ってなかったですね~。私はこの街に住もうと思っているんですよ~」
ライラの話を聞いたイザベルは驚くと、すぐにこちらへと聞いていたのか?という視線が飛んでくるが首を横に振り否定する。
「むむむ...確かに聞いていないですね。では私も王都からこちらに移住を...」
イザベルは王都から移住という言葉を口に出すと白薔薇騎士団の副団長であるジュディから「駄目です」と厳しく言われしょんぼりしており、Aランクのためか特別口へとジュディに引きずられ連れて行かれいく。
引きずられ連れて行かれるイザベルから「また王都に来て下さいねー!」と声が聞こえたので軽く手を振り合図をすると手を振り返される。
「さて~私達も並びますか~」
イザベル達が門を抜けて見えなくなると、コウ達も外に出るための列へと並んでいくのであった...。
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