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 不可思議な名刺だった。社名も無ければ住所の記載も無く、書かれてあるのは肩書きと名前、それに携帯電話の番号だ。

 名字が彼女と同じということはやっぱり家族か親類なのだろう。

 父親にしては若い。

 叔父か年の離れた兄といった所だろうか。

 しかし「鶇」という字が読めない。

 ぬえは「鵺」だし、かもめは「鴎」だし。

 当て字も含めると鳥を含む漢字ってすごい多いんだよな。ここは恥を忍んで聞くしかないな。

「お名前は何とお読みすれば……」

つぐみだよ。時々、はとと間違う失礼な輩もいるけどね。あんな欲深な鳥と一緒にしないで欲しいよね」

 鳩と間違われるのがそんなに嫌なのだろうか?

 むしろ僕なんかは、鳩のバイタリティに尊敬の念を抱く方なのだが。もっとも、だからと言って名前を間違えて良い理由にはならない。

「凪さんのご家族なんですよね?」

「アレの実兄さ、年が十五も離れているんだけどね」

 そういって鶫と名乗った男は自嘲気味に笑う。

 どうして笑ったのかは分からない。

 兄妹であることを笑ったのか?

 年が離れていることを笑ったのか?

 ともあれ彼女の家族ということであれば、級友としてきちんと自己紹介はしておくべきだろう。こういう場合はやはり「お世話になっています」とか、そういう慣用句を入れた方がいいのだろうか?

「えっと、僕は……」

「知ってるよ。一度見るとちょっとやそっとじゃ忘れそうにない珍しい名前だからね」

 僕の言葉を遮る鶫。

「七五三と書いて(しのしめ)、名前はわたる。昨年、市内の公立高校から四稜ヶ原学園に編入。編入時の成績はトップクラスだったのにここ最近は劣ランクだね。成績が落ちた理由は不明。兄弟はいない。父上は十年前に事故で他界されている。母君は美術家で現代アートを専門に数年前からは主に欧州の画壇で活動されている。お母様の渡欧に合わせて君は一人で生活中。賞罰は特に無し」

 まるで書かれてあるメモを読み上げたかのように、スラスラとそらんじる。

 おいおい個人情報がダダ漏れだじゃないか。

 一体どこでそんなものを調べたのだろう?

 いや、これくらいは調べようと思えば調べられる範疇はんちゅうなのか?

 しかし成績までもが漏洩ろうえいしているのは由々しき問題である。学校の資料からの抜き出されたとしか考えられない。

 つまりこの男は学校の関係者なのか?

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