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彼女が言った。
「助ける条件は三つ。この件について口外しないこと。私の言うことを疑わないこと。私に関心を持たないこと、……現象が終結したら二度と私に声をかけてはいけない」
僕は意外に思った。
条件というからには交換条件のような、僕が何らかの犠牲を強いられるようなものだと思ったからだ。
しかし彼女が提示した条件はいずれも直接的には僕の不利益になる類のものではない。こんなに簡単な条件で助けてもらうなんて、虫がよすぎるんじゃないのか?
「あなたから何かを得ようとは思わない。ただ、このままで騒ぎになると困る」
ははあ、なるほど。
これまでの様子を伺ったところ、天津眼にはこのような事例に対する経験が豊富にあるように思われる。だとすると、この学園での幽居生活もそこら辺に理由があると推察出来るのではないか?
つまりこの一件は大事の前の小事ってことなのかもしれない。
念のために聞いてみる。
「もし、その条件を拒否したら?」
「この件には関わらない。ただしあなたを排除する依頼が別ルートであるかもしれない」
は、排除って何だよ?
別ルートって誰の意思によるものだよ?
詳しく聞こうと思ったが、聞くと後悔することになりそうだと僕の本能が訴えていた。藪を突けば出てくるのは蛇と相場は決まっているもんな。
「じゃあ、問題が解決してから約束を反故にしたら?」
「排除する」
即答かよ。
しかしまあ考えるまでも無いことなのだ。
これが種も仕掛けも無いというのなら、僕に選択肢など有り得ない。どんな条件であれ彼女を頼るしか無いのである。
でもなあ……さっきも言ったように僕は科学大好き少年なんだぜ。
どうせフィクションっぽくなるんだったら、宇宙旅行かタイムマシンの話にしてくれれば良かったのに。
もちろん、そんな了簡は彼女の預かり知らぬことである。




