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894話 合流

バチバチバチ。


倒れた魔物にホッとして、周りを見る。

周りにいた魔物は、ほとんど倒せたみたい。


「良かった」


「にゃうん」


私を守るように戦っていたシエルの頭を撫でる。


「ありがとう。シエルがいてくれたから、しっかり狙って雷球を投げられたよ」


「にゃうん」


シエルがスッと何処かを見ると、さっと木から下りて駆けだしてしまう。


「シエル?」


シエルの姿を追うが、木々で見えなくなる。


どうしたんだろう?


「アイビー、大丈夫か?」


お父さんが、私がいる木の下に来る。


「大丈夫。お父さん達は?」


「大丈夫よ」


ロティスさんの声に笑顔になる。


「下りるね」


お父さんの傍に下りるとポンと私の頭を撫でた。


「ありがとう。援護してくれたから、本当に助かったよ」


お父さんの言葉に、ロティスさんとガガトさんが笑顔で頷いてくれた。

そんな3人に、ホッとした気持ちと嬉しい気持ちがこみ上げる。


「あれ? フィロさんは?」


周りを見回してもフィロさんが見当たらない。

何かあったのだろうか?

それにしてはロティスさんが焦っていないけど。


「あぁ、魔物の事を調べているわ」


ロティスさんがある方向を見るので視線を向けるが、木々が邪魔でフィロさんの姿が見えなかった。


「一人で?」


この辺りにいる魔物はほとんど倒せいたと思うけど、まだいなくなったわけでは無いと思う。

フィロさんが1人でいて、大丈夫だろうか?


「シエルが行ってくれたから、問題ないだろう」


「ポポラも一緒よ」


お父さんの言葉に、何かを見つけて駆けて行ったシエルを思い出す。

あれは、フィロさんとポポラを見つけたからだったのかな?


ぞわっとした魔力を感じ、研究所の方に視線を向ける。


「今の何?」


ロティスさんが慌てた様子で武器を構える。

お父さんとガガトさんも、すぐに攻撃できる体制になった。


「研究所からだよな?」


「たぶんそうよ」


ガガトさんとロティスさんの会話に、雷球をぐっと握る。


「おかしいわね。研究所から魔物でも出て来るのかと思ったけど、何も起こらないわ」


ロティスさんが少し首を傾げる。


「そうだな」


ガガトさんが、警戒をしながらゆっくりと研究所に近付く。

その後に続くロティスさん。


「2人からは少し離れて歩こうか」


お父さんの言葉に頷くと、警戒しながら研究所に向かう。


「変な魔力だったね」


「そうだな」


さっきの魔力を思い出すだけで、体がフルっと震える。

それほど、何か得体の知れない物を感じる魔力だった。


バン。


研究所の扉の開く音に、ガガトさんとロティスさんの足が止まる。


「なんだ、ヌーガか」


ガガトさんの言葉に、少し足早に研究所に近付く。


良かった、無事だったんだ。


研究所の出入り口が見える場所に来ると、ヌーガさんの後ろにラットルアさんとシファルの姿もあった。


「うわっ、外も凄かったんだな」


森のあちこちに転がっている魔物を見て、ラットルアさんが顔を歪める。


「アイビー、大丈夫だったか?」


シファルさんが私を見ると、心配そうな表情を見せる。


「うん、大丈夫」


私の返事に、ホッとした様子を見せるシファルさんとラットルアさん。


「みんなは、大丈夫だった?」


私の質問に、ラットルアさんがニコッと笑う。


「問題無し。あぁ……ちょっとあったかな」


彼の返事に首を傾げる。

何かあったんだろうか?


サーペントさんの姿が見え、その次にセイゼルクさんとジナルさんが研究所から出てきた。


「無事だったのね、良かったわ」


ロティスさんの言葉に、ジナルさんが笑う。


「あぁ、皆に助けられたよ」


ジナルさんは研究所から出ると、扉を閉めた。

その行動に首を傾げる。


周りを見ても、木の魔物はいない。

まだ、研究所内にいるのかな?

でも扉はジナルさんの手で閉められた。


木の魔物だったら、あれぐらいの扉だったら壊して出て来るだろう。

でもジナルさんが、木の魔物がまだ研究所内にいると分かっていて扉を閉めるだろうか?

という事は、研究所内に木の魔物はいない?

でも、一緒に行ったよね?


「木の魔物はどうした?」


お父さんの質問に、ドキッとする。

ラットルアさんは「ちょっとあった」と言った。

もしかしてそれは、木の魔物に関係する事なのかな?


「木の魔物は、王都にいる」


ジナルさんの言葉に、息を吞む。


「どうして? 何があったの?」


ロティスさんがジナルさんに詰め寄る。


「大丈夫だ! 緊急連絡で王都に現れた木の魔物が敵では無いと知らせた。その後に、木の魔物は王都で無事だという連絡が来た。だから安心してい。向こうにはフォロンダ様もいる。あの方なら木の魔物に無体な事は絶対にしないから」


フォロンダ領主がいるのか。

それならきっと大丈夫だよね。


「でもどうして木の魔物が王都に転移されてしまったんだ?」


ガガトさんの言葉に、ジナルさんが少し困った表情をした。


「俺達が地下に着いた時には、魔法陣は既に動いていたんだ。そして、魔法陣の中には木の魔物がいた。魔法陣を止めたかったが、近付けなくて。焦っていたら一緒に来た木の魔物が、魔法陣の中にいる木の魔物を追い出してくれた。でも逃げる時間が無くてそのまま王都に。俺達が困っていたから助けてくれたんだと思う」


ジナルさんの説明に、お父さん達が納得したように頷く。


「あれ? フィロとシエル、それにポポラは何処だ?」


ジナルさんの言葉に、ロティスさんが魔物を調べている事とシエルとポポラが共にいる事を話す。


「分かった。とりあえず、フォロ達と合流しよう。あと、ここから離れた方がいい」


「研究所はこのままにしておくのか?」


ジナルさんの言葉に、お父さんが首を傾げる。


確か、研究所は破壊する言っていたよね?

予定を変えたのかな?


「いや、破壊する。マジックアイテムを設置してきたから、あとはボタンを押すだけだ。フィロ達と合流して、ここから離れたら爆破する」


「分かったわ。こっちよ」


ロティスさんがフィロさん達のいる方へ歩き出す。


「ジナル達がいるって事は、終わったのか?」


研究所から少し離れるとフィロさんが前方から姿を見せた。

シエルとポポラも一緒だ。


「あぁ、終わった。フィロと合流したら、研究所を破壊するつもりなんだ。研究所の中に用事は無いか?」


「あぁ、無い」


ジナルさんの言葉に、フィロさんは研究所がある方を見る。

そして、微かに顔を歪めた。


「どうした?」


その様子にジナルさんが首を傾げた。


「なんでも無い。全て破壊してくれ」


「分かった」


大量の魔物に襲われた崖に来ると、ジナルさんがボタンを押した。


ドドーーン。

ドドーーン。

ドドーーン。

ドドーーン。


地響きが森に響くと、森の木々が次々に倒れて行く。

その規模に、目を見開く。


「研究所は大きかったの?」


ポポラを撫でながら、ロティスさんが驚いた様子でジナルさんを見る。


「あぁ、かなり広かった」


少し嫌そうな表情をしたジナルさん。

それに首を傾げる。


ぶるぶる。


腰の辺りに振動を感じて視線を向ける。

ソラ達に入っているバッグが揺れている事に気付いて、蓋を開ける。


魔物と戦う時に、ソラ達にはバッグに入ってもらったんだった。


「ごめん、忘れてた」


「ぷぷっ!」


ちょっと怒った様子のソラに、もう一度謝る。


「ごめんなさい」


「ぷぷ~」


まるで仕方ないなぁと言われているみたいだよね。


「ぷっぷぷ~?」


バッグから出たソラは、森を見て体を傾ける。

大量の木々が横に倒れ、少し異様な雰囲気になっているからだろうな。


あれ?

フレムとソルは?


バッグを覗くと、欠伸をしているフレムとソルがいた。

かなり眠そうだ。


「寝ていてもいいよ」


「「……」」


あっ、本当に寝た。

フレムとソルも安心したのかな。


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[気になる点] 魔物を放したのは誰?見覚えある人は味方だったとか?うーん??
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