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857話 あと少し

休憩が終わると、ロアンさんとドットさんにお礼を言って捨て場を離れる。

ロティスさんとロアンさんの喧嘩の意味を知ったのでちょっとすっきり。

いや、ロティスさんが何者なのか、新たな疑問は生まれたな。


宿に戻ると、ロティスさんが待っていた。

ガガトさんも知らなかったのか、驚いた表情をしている。


「おかえり。どうだった? 問題は無かったかしら?」


「あぁ、何も問題は無かった。ロティスはどうしてここにいるんだ?」


ロティスさんは、ガガトさんの返答に嬉しそうに頷くと、セイゼルクさんに視線を向けた。


「旅の準備は順調なのか、確認に来たの。そろそろ出発する日を決めたいし」


「俺達の準備は終わっているが、料理がまだだったな」


セイゼルクさんが私を見るので、頷く。


「うん」


とりあえず、作る料理を決めて必要な材料は紙に書きだした。

ロティスさんの食べる量を見て計算したんだけど、その材料の多さにちょっと驚いたんだよね。

それでも足りるか、ちょっと心配。


「そうなのね。あっ! 私の分は必要ないからね」


「えっ?」


いらない?


「さすがに自分の食べる量が多い事は分かっているから、あれを用意させるなんて出来ないわ」


「あぁ。そうなんだ」


確かに大量の材料と作る料理の量を考えて大変だなって思ったけど、楽しみだったんだけどな。

そっか、必要ないんだ。


「あれ?」


私の反応にロティスさんが、少し困惑した表情をする。


「えっと、もしかして作ろうと思ってたの?」


「うん」


だって、本当に凄い量なんだよ?

あの量を作る事なんて、これからは無いかもしれないのに。


「えっと……」


んっ?

ロティスさんが困った表情でお父さんを見る。

どうしたんだろう?


「アイビーは料理作りが好きなんだよ。大量に作ると分かって「大変だ」と言っていたけど、作るのを凄く楽しみにしていたんだ」


やっぱり、お父さんにはバレているよね。


「もし良かったら。今回はアイビーに作らせてくれないか?」


「えっ、でも本当に凄い量になるのよ。まぁ、途中で魔物を狩って食べる事もあるから、そこまで多く用意しなくてもいいんだけど」


「いや。この間の食べる量を見て考えていたから、しっかり量はあると思う」


お父さんの言葉に、頷く。

しっかり計算したから、ちょっと不安だけどそれなりに満足してくれる量のはず!


「そうなんだ。アイビー、私の分もお願いできるかしら?」


「うん。任せて」


私の言葉に嬉しそうに笑うロティスさん。


「なら私は、お薦めのお菓子や屋台の料理を買って行くわね」


んっ?

やっぱり彼女も用意するの?


「いつもは大量の料理を準備するのが大変で、お菓子とか諦めていたんだけど。今回の旅は美味しい物も楽しめそうね」


やっぱり、あの大量の料理作りは大変なんだ。

よしっ、さっそく今日中に材料を準備して、明日から料理に取り掛かろう。


「材料なら私が準備しましょうか? 業者価格で買えるから、お得よ」


えっ?


食堂から出てきたリミーさんが、私とロティスさんを交互に見る。


「アイビー、どうする?」


安く買えるなら。


「えっと、お願いできますか?」


代金については、今日の夜にでもお父さんに相談するつもりだったんだよね。


「代金は、私の方で支払うわ。業者に今依頼すると、全ての材料が揃うのはいつ頃かしら?」


「えっと、今の時間なら……明日には全て揃うとおもう」


「あっ、それならこれをお願いできますか?」


必要な材料が書かれた紙を、リミーさんに渡す。

彼女はそこに書かれていた量の多さに少し驚いたあと、チラッとロティスさんを見る。

うん、そこに書かれている物のほとんどがロティスさんのお腹の中に消えるだろうな。


「思ったより多いわね。まぁ、でも大丈夫よ。明日のお昼ごろまでに準備が出来るわ」


「分かった。ありがとう」


ロティスさんが、リミーさんに軽く頭を下げる。


「アイビー。明日から料理に取り掛かって、いつ頃になれば全ての料理が完成するかな?」


「えっと……全てが完成するのは、明日か明後日になるとおもう」


丼物の準備は凄く簡単だし、スープは材料を刻んで煮込んでおけばいいし。

パンは発酵に時間がかかるけど、明後日には焼きあがっているはず。

お肉は切って、タレに浸けるだけ。

まぁ、大量のお肉を切る事になるだろうから、それは大変だろうな。


「明後日? 2日で、大丈夫なんだ」


「うん。あのリミーさん。明日と明後日ですが、調理場を借りれますか?」


「もちろんいいわよ。材料や調味料が足りなくなったら、宿の物を使ってもいいし」


「いえ、そんな迷惑はかけられないです」


「えぇ、いいのに」


リミーさんが、残念そうに私を見る。

その顔をされると、悪い事をしている気になるな。


「足りなくなったら、使いますね」


たぶん、紙に書いた材料で足りるはず。

うん、きっと大丈夫。


「ふふふ」


「リミー。アイビーで遊ばない」


えっ、私は遊ばれていたの?

ロティスさんの言葉に、リミーさんが肩を竦める。


「ごめんね。反応が可愛いからつい。でも、野菜や調味料は足りなくなったら、自由に使っていいからね」


「はい」


反応が可愛い?

特に、可愛い反応をした覚えはないんだけど……?


「アイビー、疲れただろう? 部屋に戻って休もうか」


お父さんの言葉に頷く。


「そうだね」


いつものゴミ拾い。

でも今日はその量が多かったから、いつもより確かに疲れている。


「引き留めて悪かったわね。えっと、旅に出る日だけど。4日後にしましょうか」


ロティスさんの言葉に、セイゼルクさんがヌーガさん達仲間の表情を見てから頷いた。


「俺はそれで問題ない。アイビーは?」


お父さんが私を見る。


「私も大丈夫」


「それじゃ、4日後の明け方に門のところで。さてと、それまでに一気に仕事を終わらせるわよ。ガガト行くわよ」


「あぁ。どうして旅に出る前になると、あんなに仕事が集まるんだ」


ガガトさんがぼやきながら宿を出て行く。

その姿を笑って見送ってから、部屋に戻る。


部屋に戻ると、ソラ達をバッグから出す。


「まだ、丸いままだったな」


「そうだね」


「ぷ~!」


お父さんの言葉を批判するように鳴くソラ。

でも、本当に丸いからね。

今もバッグから出て……転がったよね?


ソラを突きながらちょっと転がす。


「ぷ~!」


あっ、怒ってしまった。

ぷるぷる体を震わせて怒っていると見せたいんだろうけど……丸いから震え方がなんだか、


「可愛い」


「ぷぷっ」


私の言葉に少し怒りが収まったのか、鳴き方が変わる。


「アイビー。どうぞ」


お父さんがお茶をテーブルに置く。


「ありがとう」


椅子に座ってお茶を飲む。


「料理は何を作るんだ?」


お父さんに、作る予定の料理名が書かれた紙を渡す。

それを見て、苦笑するお父さん。


「本当に凄い量だな」


「うん」


「明日は俺も手伝うから。焼き加減を見たり、かき混ぜるぐらいなら任せてくれ」


「ありがとう。シファルさん達も手伝ってくれるって」


部屋に入る前に、シファルさんとヌーガさんが言ってくれた。

手先が器用な2人は、凄く戦力になる。


明日は、思う存分作るぞ!

3人が手伝ってくれるなら、サンドイッチに挟む具を増やしてもいいかも。

ふふっ、楽しみだな。


いつも「最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。」を読んで頂きありがとうございます。

本日で2023年度の更新を終了させていただきます。

来年2024年は1月7日より更新予定です。


今年度も、沢山の応援をありがとうございました。

来年も、どうぞよろしくお願いいたします。


ほのぼのる500

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今年一年、楽しみに読ませていただきました。 ありがとうございました。来年もアイビー達の旅を楽しみしています。 良いお年をお迎えください。
[一言] いつも楽しく読んでいます。 来年もよろしくおねがいいたします。 良いお年を!
[一言] よいお年を
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