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番外編 フォロンダ領主と組織2

―フォロンダ領主視点―


コンコン。


扉を叩く音に視線を上げる。


「どうぞ」


予定では誰も来ないはずだけど。


「失礼します」


あぁ、スイナスか。

護衛のわりに傍にいないよな。

まぁ俺が、仕事を回しているせいなんだけど。


王城の執務室前に護衛はいるけど、アマリにバレたら怒られるだろうな。

でも、信用できる部下が少ないからしょうがないんだよな。


「お疲れ様。どうした?」


「ドルイドとアイビーが、無事にカシム町に到着したとジナルから報告が来ました」


「そうか」


アイビーに関する不穏な情報を掴んだから心配したが、無事にカシム町に着いたか。

まぁ、カシム町の現状を考えると、完全に安心は出来ないが森の中にいるより安全だろう。


「全員、無事だな?」


セイゼルク達は強いから大丈夫だと思うが。


「はい。ジナルからの報告によると……木の魔物とサーペントの協力があった様です」


「そうか」


木の魔物とサーペントか。

マーチュ村があの程度の被害で済んだのも、その魔物達が守ってくれたからだったな。

木の魔物には、かなり被害が出たようだが。


「なぜあの魔物達は、マーチュ村やジナル達を守るために動いたと思う?」


本から得た知識では、全く分からない。

だいたい木の魔物は、人を襲う魔物だとしか書かれていないからな。


「俺には分かりません。フォロンダ様は何か思いつかないんですか? 文献とか」


「俺にもさっぱりだ。文献は調べてみたが、何も出なかった」


村や町にある古い文献までは調べられていない。

だが、魔物が人に協力する内容の文献なら王都に情報か噂が届くはずだ。


「あっ、ラフィースについて報告があります」


ジナルに刺客を送ったラフィースか。

奴がジナルを狙う理由が分からなかったから、詳しく調べさせていたんだったな。


「何か出たか? というか、ラフィースを調べているのは……」


アマリだったはずだか?


「はい、彼女です。此処に来る前に、彼女から報告が来ました」


どうして俺ではなく、スイナスに報告するんだ?


「不服そうな顔をしないで下さい。ずっと王城に詰めていたので報告が出来なかったんです。今日は俺が王城に行くと知って、報告しに来たんです」


「あぁ、そうだったな」


アマリは、あくまで俺の侍女だ。

王城なんて、誰が何を聞いているか分からない場所で侍女から聞く報告では無いな。


「彼女の調べた結果ですが、王の周りで利権をむさぼっていた屑……貴族と会っている事が分かりました」


屑っといったのは、きっとアマリだな。

それにしても、あいつ等か。


「はぁ」


歴史というのもおこがましい、ただ古くから続いているだけの貴族。

昔のように功績をあげる事も無く、ただそこにいるだけ。

邪魔はするがな。


「あいつ等と繋がるとは。ラフィースは思ったより頭が悪かったんだな」


そろそろラフィースもあいつ等も目障りだな。

証拠も揃っているし、消えてもらう時機かもしれないな。


「そろそろ、王のお披露目がある。その前に、大掃除をするか」


王家の血は、王が皇太子だった時に婚約者が身ごもっていたため途絶えてはいない。

ずっと王が隠し守ってきたため知っている者は限られているが、正当な血筋は残っているのだ。

その血を引き継いだ者が、あと少しで王として姿を見せる事になっている。


前王が姿を変え消えた皇太子の子として戻って来た時は、子を残せる状態では無かったから、婚約者が子を産んでいてくれて本当に助かった。

正当な血筋が残っていなければ、貴族達の争いが続いた事だろう。

まぁ前王は、王家が無くなっても問題ないと考えていたが、この世界にはまだ王が必要だ。


「分かりました。すぐに動けるように準備をしておきます」


スイナスの言葉に頷く。


「頼む。そうだ、あの少女について情報が無いか報告は来ていないか?」


アイビーの絵姿が、教会の重要拠点から見つかった。

すぐに仲間に回収を指示したが。


「絵姿を見た者が、情報を集めている貴族に売った事が確認できました」


重要拠点を調査する者達は、かなり選んだつもりだが裏切者は出てしまったか。


「情報を買った貴族についての情報は?」


俺の言葉にスイナスが首を横に振る。


「かなり用心深い人物ですね。会った場所までは突き止めましたが、それ以上は全く分かりませんでした。情報を売った者は、少し目を離したすきに殺されました」


証人は消されたか。


「ジナルに警戒するように言ってくれ。あとは、カシス町についてはロティスが問題を解決するだろうから、俺が手を貸す必要は無いだろう。ジナルも一緒だし」


貴族達のせいで少しややこしい事になっているみたいだが、ロティスならきっと大丈夫だろう。


コンコン。


扉を叩く音に、スイナスが腰に差さっている剣に手を掛ける。


「誰だ」


「ローザスです」


王都にいる貴族を調べるように言っていたな。

スイナスが小さく息を吐くと剣から手を放したのが見えた。


「どうぞ」


部屋に入って来たのは、見た目が可愛らしい女性。

小柄で目元がぱっちりしているため、男性達から「可愛い、守ってあげたい」と人気だ。


ただローザスは、俺の部下でスイナスとは同期。

見た目に騙されると、痛い目に合う。


「貴族達の動きについて、報告があります」


「ありがとう。どうだった?」


俺の言葉にローザスが報告を始める。

全ての報告を聞き終わると、どっと疲れに襲われた。


「ここ数週間の行動を調べただけなのに、どうして貴族達の罪が倍増しているんだ?」


しかも、裏切が横行していて貴族同士の繋がりが読みにくいなんて。

今日の同士が明日には敵。

本当に救いが無いな。


まぁ、数は少ないが真面な貴族もいる。

それには、ホッとしたよ。


「しばらく落ち着くのを待ってから、もう一度貴族達の繋がりは調べます」


ローザスの言葉に「頼む」と頷く。


「あと貴族達の情報は、ジナルにも送っておきました。動いている貴族が分れば、何をしてくるか予測できるでしょうから」


相変わらず仕事が速いな。


「ありがとう」


「それと……」


ローザスが途中で言葉を切ったので、視線を向ける。

ジッと見ると、小さく頷くのが分かった。

それに首を傾げる。

言いにくい事なのか?


「少女の情報が、貴族内で広まっています」


「はっ?」


彼女の報告に、つい殺気を送ってしまう。

それに気付き抑えるために何度か深呼吸する。


「悪い。どこまで広がっている?」


殺気は抑えたが、眉間に皺が寄るのを感じた。


「特に気にしているのがバッファ伯爵。次にオローガス子爵。ルッチ伯爵も調べているのですが、前の2人とは温度差があります」


バッファ伯爵か。


教会と共に戦って来た仲間だったはずなのにな。

数年前に、お前が裏切っている事を知ってどれほど衝撃を受けたか。


「バッファの所に人を送り込んでくれ。動きを知りたい」


奴が一番要注意だろう。


「はい」


スイナスが俺を見て頷く。


「ルッチは……」


アイビーについて探っている残りの2人についてはどうするべきか。

人手が足りないのは、やはり痛いな。


「ルッチもオローガスも監視を強化してくれ」


まずは、アイビーを探っている理由が知りたい。


「貴族関連だから、ローザスが指揮を執ってもらえるか?」


「分かりました」


「仕事が多くなるが、頼む」


これ以上アイビーの情報が広がらなければいいが。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 全王が姿を変え消えた皇太子の 全王?
[気になる点] 一部前王ではなく全王になっていますよ? 宇宙を破壊しちゃうんですか?w
[気になる点] アイビーはまた貴族の悪意に翻弄されるのかー? ドロドロ話ばかりでつまらんよ。 わざわざフォロンダ領主に会いに王都に行かせるなよー ドルイドの故郷でお話し合いしろよなー
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