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827話 持ち物

「「「「「ひっ」」」」」


捕まっていた刺客達が、サーペントさんの登場に倒れた。

全員が同じ反応だったので、少し驚いた。


そんなに怖いかな?

サーペントさんと見ると、首を傾げて私を見た。

凄く、可愛いのに。


「えっ、サーペント? どうしてここに?」


ジナルさんも少し驚いた表情をしたが、倒れるような事は無くサーペントの傍に寄る。


「さっき、会ったんだ。奴の召喚したかった魔物が、何か分かったぞ」


お父さんの言葉に、ジナルさん達がサーペントさんを見る。

それにお父さんは、首を横に振る。


「違う。この子は、捕まっていた仲間を助けに来たんだ」


お父さんが、森の奥で亡くなったサーペントの話をする。


「そうか」


険しい表情で頷くジナルさん。

サーペントさんを見ると、ポンと顔を撫でた。


「悪かったな。俺達がもっと早く対応していれば、仲間をあんな姿にしなくて済んだかもしれない」


教会の事を言っているんだろうな。


「ククククッ」


サーペントさんは鳴くと、ジナルさんにそっと顔を寄せる。

まるで気にするなって言っているみたいだな。


「ジナル、協力を頼む」


お父さんの言葉に、ジナルさんが首を傾げる。


「協力?」


「あぁ。亡くなったサーペントを弔いたいんだ」


「分かった。もちろん協力する」


ジナルさんが、チラッと倒れている刺客達を見る。

少し思案すると、マジックバッグから何かを取り出すと彼等の首に着けていった。


「奴隷の輪?」


罪が確定するまでは、使用が禁止されていたはずだけど大丈夫かな?


「こいつについては、例外的に認められているんだ。そして、協力者にもな」


なるほど。

さすが、全ギルドから『殺さずに捕獲』と命令を下された人物だけはあるね。

対応が特別仕様だ。


「それにしても、まさか召喚するマジックアイテムを使用していたとはな」


「あぁ。奴を追い詰めた上位冒険者の亡くなった原因が、これで分かったな」


セイゼルクさんの言葉に、ジナルさんが眉間に皺を寄せる。


「こいつに協力している貴族は、かなり金を持っているな。しかも冒険者ギルドに、顔が利くらしい」


「そうだな」


2人の会話に首を傾げる。

お金を持っているのは、召喚するマジックアイテムが高額だからだろう。

でも、冒険者ギルドに顔が利くとは、どういう事だろう?


「よしっ、準備完了。魔物除けをこんな奴等に使いたくはないが、死なれると困るからな」


本当に嫌そうに魔物除けを、刺客達の周りに置くジナルさん。


「まぁ、落ち着け。冒険者ギルドに顔の利く貴族の話を、しっかりしてもらわないと駄目なんだから。な?」


シファルさんの言葉に、ジナルさんが肩を竦める。


「そうだな」


「それで提案があるんだけど」


シファルさんの楽しそうな表情に、ジナルさんが少し体を引く。

そして何かを感じ取ったのか、警戒するようにシファルさんを見た。


「なんだ?」


「ここには、彼等の意識が飛ぶほど怖いサーペントがいる」


倒れている刺客を見て、サーペントさんを見る。

何かするのかな?


「仲間に引き渡す前に、彼に協力してもらって色々と話を聞いてもいいと思わないか?」


「そいつに関わっても、いい事は無い。貴族も付いているしな。それより、さっさと引き渡してしまった方が、面倒ごとに巻き込まれずに済む」


面倒事は嫌だな。


「その通りなんだけど、こいつのマジックバッグから……こんな物を見つけてしまったんだよな」


シファルさんが、ジナルさん達にある紙を見せる。


「あっ、私だ」


まさか私の絵姿だとは、驚きだな。


「ククククッ」


なぜかサーペントさんが、不満そうに鳴く。


「よしっ、サーペント。協力を頼む。そうだ、ソラも」


ジナルさんがソラを見る。


「ぷぷ~?」


「もしかしたら奴等が怪我をするかもしれないから、協力してくれないか? さすがに死なれては、困るから」


「えっ? 怪我をするかも?」


それは駄目でしょう。


「ちょっとサーペントさん、駄目だよ」


どうして楽しそうに刺客を見ているの?


「ぷっぷぷ~」


「こら、ソラもやる気にならない。ジナルさん、手荒な事は駄目!」


どうしてソラやサーペントさんから、不満そうに見られるの?


「もう捕まっているんだから、怪我をさせる必要は無いでしょ?」


まぁ、素直に話してくれなかった場合は、少し……適度な脅しは必要かもしれないけど。


「話を聞くのは賛成か?」


シファルさんの言葉に頷く。


「うん。絵姿を持っていた理由は、知りたいから」


「そうだな。それは絶対に知る必要があるな」


ジナルさんの言葉に、全員が頷いている。

という事は、サーペントさんに協力してもらう事は決定だね。


「サーペントさん、よろしくね」


「ククククッ」


「ぷっぷぷ~」


ソラがやる気なのは止めないと。


「ソラは駄目だぞ」


お父さんの言葉に、不服そうな表情を見せるソラ。


「ソラを見られるわけにはいかないからな」


「あっ、そうか。ソラはその姿も見られるわけにはいかないか」


シファルさんが残念そうに言うと、ジナルさんがハッとした表情でソラを見る。


「確かに、そうだな。ソラ、悪い。協力を求めたけど駄目みたいだ」


「ぷっぷ~」


ジナルさん達の言葉にソラは残念そうだけど、私はホッとする。

ジナルさん達がどこまで本気なのか分からないけど、ちょっと不安だったからね。


「さて、奴等を守る準備も出来たし、行こうか」


ジナルさんとサーペントさんが先頭に立ち、森を進む。


「お父さん?」


「どうした?」


亡くなったサーペントの下に向かいながら、お父さんの様子を窺う。

やっぱりかなり不機嫌だ。


「どうしたの? 何かあったの?」


お父さんが私を見る。


「貴族に、アイビーの事を知られた可能性がある。教会と繋がってた貴族もいるから、気になってな」


あぁ、そうか。

教会が追っていた私に、興味を持つ貴族がいるのかもしれないのか。


「町に着いたら、フォロンダ領主にこの事を報告しておこう。同じ貴族だから、アイビーの事を調べている者がいたら、分かるかもしれない」


まだ何も起こっていないけど。


「うん。そうだね」


でも相手は貴族だから、警戒しておかないと。


「その点については、すぐに連絡するつもりだ」


ジナルさんが私達の傍に来る。

彼を見ると、ポンと頭を撫でられた。


「絶対に、貴族に手を出させるつもりは無い。というか、フォロンダ様が知ったら……うん、大丈夫だ」


えっ?

フォロンダ領主が知ったらどうなるんだろう?

対策してくれるという事でいいのかな?


「あれっ、ジナルさん? 顔色が悪くなったけど、大丈夫?」


ジナルさんの顔色がなぜか悪くなったけど、どうしたんだろう?


「ははっ、気にしなくていい。それに大丈夫だから」


傍に来た時は、普通だったよね。

という事は、今の会話が原因?

特におかしな話はしていないよね。


「なるほど、フォロンダ領主はジナルでさえ恐怖を覚える相手か」


えっ?

お父さんを見る。

今、「恐怖」と聞こえたけど、他の部分は聞き取れなかった。


「お父さん、恐怖がどうしたの?」


「フォロンダ領主は、敵にまわしたら駄目って事だよ」


お父さんの言葉に首を傾げる。

フォロンダ領主が敵になる?

いや、駄目だと言っているのだから、敵になる予定は無いって事だよね?


もしかして。

ジナルさんを見る。

フォロンダ領主の事で、ジナルさんは顔色を悪くしたの?


「ジナルさんは、フォロンダ領主が怖いの?」


「えっ? ん~」


あれ?

違った。


「別に怖くはないかな。ただ、恐ろしい人ではある」


怖くは無いけど、恐ろしい人?

……よく分からない。


「味方には優しいけど、敵にはどこまでも非道になれる人だから」


ジナルさんの言葉に頷く。

確かにそんな雰囲気があるよね。


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― 新着の感想 ―
問答無用。サーペントにコロコロされるがいい
あ、うん、お察し… グッパイワルモノのクビ
非情ではなく非道ですか。((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
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