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751話 手入れと整備

「行こうか」


「うん」


カゴが完全に乾燥するまでやる事が無くなったので、お父さんと村の探索をする事になった。

今日は、昨日見つけた道具屋通りを中心に見て回る予定になっている。


お父さんは、私の冬服を見たかったみたいだけど、去年の終わりに買った服がまだ着られるので問題なし。

と言う事で、道具屋が中心となった。


「帰りに自警団によって、ふぁっくすが届いていないか聞こうか?」


「うん、そうしよう。皆からの返事が、届いているといいね」


皆、元気かな?

魔物の討伐で、怪我とかしていないといいけど。

帰りが楽しみだな。


大通りから左に曲がり横道に入ると、マジックアイテムを専門に扱う道具屋が並んでいるのが見えた。

それに少しわくわくしてしまう。


「本当に、楽しそうだよな」


「うん。だって、不思議なんだもん」


普通に見える鍋を振ったら、水が鍋に溜まるんだよ?

当たり前の事なんだけど、私は不思議に思うんだよね。

そして、この通りはそんな不思議なものがギュッと集まっているんだから、楽しくないわけがない!


「まずは、マジックボックスとマジックバッグの整備を頼みに行くか」


「分かった」


長くマジックアイテムを使うには、整備を専門家にお願いするのが一番。

特にマジックボックスは、いろいろと秘密な物が入っているので整備をしっかりしておかないと。


「整備を頼める店は……どこかな?」


通りに出ている看板の中から整備の絵を探す。


「お父さん、あそこにお店があるみたい」


少し先にある看板に、整備の絵を見つけた。

その隣の店の看板も整備の絵なので、あの2店舗には整備スキルを持っている人がいるのだろう。

他の店は……見つからないから、あの2店だけなのかな?


「どっちがいいんだろうな?」


「そうだね?」


二つのお店の間に立って、それぞれ中を覗き込む。

それぞれの店にある棚には、マジックアイテムが並んでいる。


「置いてある物が、全く違うね」


「そうだな」


右の店には、生活に関わるマジックアイテムが多いみたい。

特に、料理を作る道具が豊富なのが外からでも分かる。

どんな道具があるのか確認したいけど、まずはどっちの店に入るのか選ばないと駄目だよね。


左の店は、武器が多いな。

その中でも、目立っているのが盾だ。

と言うか、壁一面に盾が飾ってあるので独特の雰囲気を醸し出している。


「お父さん。盾の数が異様に多くない?」


「あぁ、これはちょっと多すぎるな」


お父さんと店の前で首を傾げていると、後ろに気配を感じた。


「『いらっしゃいませ』で、いいのかな?」


振り返ると、若い女性がお父さんと私を見て笑顔を見せる。


「あっ、すみません。マジックボックスとマジックバッグの整備を頼みたいのですが、どちらに頼めばいいのか分からなかったので」


「その2つなら、右の店の方がいいわ。私よりルルリガの方が、生活道具は上手く整備出来るから」


となると、この女性は左の店の方なのかな?


「私は、盾が一番得意なんだけど剣や弓なども得意よ。整備する武器があったらどうぞ?」


お父さんを見る。

整備する人を見てから、剣を整備に出すか決めると言っていたけど、どうするのかな?

ソラが反応しないので、悪い人ではないようだけど。


「剣の整備を頼みたいのだが、整備を終えた武器を見せてもらう事は出来るだろうか?」


「もちろんよ。整備の仕方で、付与された魔法が駄目になってしまう事があるものね」


女性に案内されて、左の店に入る。

入る前に女性は、隣の店に声を掛けていた。

奥から男性の声が聞こえたので、ルルリガさんかな?


「棚にある物は、全て整備が済んで売っている商品よ。今ある中で一番の自信作はこれ! この大剣は、ここ最近で一番整備が上手くいった武器よ」


嬉しそうな表情で、テーブルの上にある大剣を指す女性。


「どうぞ」


女性はそう言うと、大剣をスッと持ち上げた。

えっ?

大剣は大きさだけでなくその重さも特徴なのに、どうしてそんなに軽く持ち上げられるのだろう?


「ふふっ、不思議そうね」


「はい」


私の様子に気付いた女性が、楽しそうな表情を見せる。


「この大剣には軽量の魔法が付与されているのよ」


あぁ、だから女性でも軽く持ち上げられたんだ。


「本当にいい大剣なのよ。それなのに!」


えっ、急に何?


「整備を全くしてなかったから、効果が無くなりかけていたの。どう思う? 本当に信じられないわ。自分の命を預ける武器よ? その武器を疎かに扱うなんて! まぁ、私がしっかりと整備をしたから今回は大丈夫だったけど。本当に、信じられない!」


……ビックリした。

凄い迫力で叫ぶんだもん!

そうとう、この大剣の持ち主に怒っているんだろうな。


「綺麗な魔力の流れだ、見事だな」


お父さんが大剣を女性に返しながら言うと、女性が嬉しそうに笑った。


「そうでしょ? そうでしょ?」


「あぁ。壊れかけていたとは思えないほどだ」


「分かってくれて、ありがとう」


あれ?

そういえば、剣をどうして整備に出すんだろう?

お父さんは、剣の手入れを欠かしてないよね?

んっ?

手入れと整備?

もしかして別?


「今頼むと、どれくらいで整備が終わる?」


「今は急ぎの仕事もないし、2日で終わるわ。もうすぐ森へ行っている討伐隊が帰って来るから、その前に来て正解よ」


「討伐隊の武器も、整備しているのか?」


「そう。一気に持って来るから、本当に忙しくなるのよ」


自警団に認められた方なんだ。

凄いな。


「では、頼む」


「はい。これを読んで問題が無かったら署名をお願いね」


女性から1枚の紙を受け取ったお父さんは、内容を確認すると署名した。


「これだ」


お父さんが持っていた剣を女性に渡すと、女性が少し驚いた表情を見せた。


「ちょっとこれ、凄いじゃない! えっと付与されているのは……」


そういえば、お父さんの剣はソラが作ったんだよね。

どういう魔法が付与されているのか、全部を聞いた事が無かったかも。


私が知っているのは、火を纏って魔物を倒したので火魔法が付与されているという事。

後は、凄く切れ味が良かったような気がするな。

……他にも何かあるのかな?


「軽量化に火魔法強化。それに殺傷力アップ? えっ、これは、凄く珍しい。他には……剣の強度アップ。うわっ、これを本当に整備していいの? 本当に?」


「あぁ、頼む。剣の手入れは出来るんだが、魔法を発動させる部分の整備が出来ないんだ。下手に整備すると、付与された魔法に影響を及ぼしそうで」


やっぱり手入れと整備は別みたい。

付与されている魔法を発動させるのは、剣に嵌っている魔石だったよね?

と言う事は、魔石が嵌っている辺りを整備するのかな?


「アイビー、どうした?」


お父さんが私の眉間を押しながら、聞いてくる。

どうやら眉間に深い皺を刻みながら、考え込んでいたみたい。


「お父さんの剣なのに、知らない事がいっぱいあるなぁと思って」


「んっ?」


私の言葉に不思議そうに首を傾げるお父さん。


「実は、剣に手入れが必要なのは知っていたけど、整備が必要なのは知らなかったんだ」


「えっ? そうなのか?」


「うん」


あっ、お父さんが驚いている。

もしかして、知っているのが当たり前の事だったのかな?


「えっと剣の整備というのは、魔石から流れる力が綺麗に流れるかを見てもらうのが基本だ。もし滞る場所を見つけたら、綺麗に流れるように整備してもらう。あと、付与した魔法が正しく発動するか、それを確かめるのも整備の1つだな」


手入れは、刃こぼれなどを防ぐため。

整備は、魔法がちゃんと発動するために必要な事なんだ。

なるほど。


いつも読んで頂きありがとうございます。

申し訳ありませんが、更新を1回お休みいたします。

次回の更新は12月1日です。


これからもどうぞよろしくお願いいたします。

ほのぼのる500

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「実は、剣に手入れが必要なのは知っていたけど、整備が必要なおは知らなかったんだ」 →必要なのは知らなかった、の間違いではないかと…
[気になる点] 壁一盾が飾ってあるので独特の雰囲気を醸し出している。 →壁一面に盾が…の方がわかりやすいのでは?
[一言] 剣、特に西洋の物は、おもに重量で叩き割るような使い方をするので軽量化は不要というか、逆に使えなくなるかと思われます。
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