表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。  作者: ほのぼのる500
オカンコ村と記憶の欠片

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

767/1221

710話 のんびりと

マーチュ村へ向かって、森の中を歩き出して5日目。

なぜかソラ達が川で水遊びを始めてしまった。

既に季節は秋。

少し涼しくなってきている。

と言うか、水はかなり冷たくなっている。


「皆、大丈夫? 寒くない? 風邪を引かないでね?」


「アイビー。スライムが風邪を引くなんて聞いた事が無いから、大丈夫だと思うぞ」


そうなの?

でも、冷たい水に長時間浸かれば、冷えるでしょう?

そもそもシエルはスライムではないし。


「アダンダラも風邪を引かないの?」


「どうだろう? アダンダラの事ではないけど、テイムした魔物が風邪を引いたという話は聞いた事が無いから、魔物は風邪を引かないんじゃないか?」


「そうかな? それだったらいいんだけど」


「まぁ、実際のところは分からないけどな」


ん~、やっぱり心配だ。


「にゃうん」


ん?

鳴き声に視線を向けると、ソラ達を背中に乗せたシエルが川から上がって来た。


「皆、寒くなかった?」


「ぷぅ?」


私の質問に首を傾げるソラ達。

首を傾げるのは、質問が分からない時か答えづらい時だよね。


「えっと、体は冷えてない?」


「……」


皆、反応なし。

つまりあれだけ冷たい水に浸かっていたのに、冷えてないのか。

魔物の体って、凄いなぁ。


「いっぱい遊んで疲れただろう。休憩場所を作ったからこっちにおいで。体も拭こうか」


お父さんの言葉に、シエルから下りたソラ達は用意しておいた布の上に乗った。

お父さんが、順番に濡れたソラ達を拭いていく。


「つるんとしているから、そんなに濡れないよな」


「水滴は落ちるからね。汚れは残ったりするけど」


「ははっ」


ソラとフレムは綺麗に拭かれると、まだ遊び足りないのかお父さんの周りで飛び跳ねだした。

ソルは、疲れたのか拭かれた時には既にウトウトとしていた。


「寝たな」


お父さんの言葉に、ソルを見る。


「本当だ」


ソルは既に夢の中みたい。

頭をそっと撫でても、起きる気配はない。

そうとう疲れたんだね。


「お休み、ソル」


「にゃん!」


シエルのちょっと興奮した鳴き声に、慌ててシエルを探す。

シエルは、川の中を覗き込んだ状態で、尻尾を激しく揺らしていた。


「シエル、どうしたの?」


「何かあるのか?」


お父さんと私が立ち上がった次の瞬間。


パシャン。


えっ!


「シエル!」


シエルが、勢いよく川の中に飛び込んでしまう。

急いでシエルの下へ走ると、ちょうど川から出て来るところだった。


「あっ、魚?」


「そう、みたいだな。と言うか、大きいな」


川から出て来たシエルは、口に魚を銜えていた。


パシャパシャ、パシャパシャ。


「大きすぎない?」


川から引きずり出されている魚は、ほぼシエルと同じ大きさをしている。

よくこんな魚を捕まえられたね。

川から完全に魚を引きずり出すと、魚の隣にちょこんと座って私とお父さんを見るシエル。


「なんだか、自慢されているみたいだな」


「ははっ、本当だね」


シエルの様子からまるで「どう? 凄いでしょ?」と言われているような気がする。


「にゃ」


少し澄ましたような表情のシエルに、つい笑ってしまう。

本当に、行動が可愛い。


「シエル。こんなに大きな魚を捕まえてきて、凄いね」


魚に近付くと、大人しかった魚がバタバタと少し暴れ出したのでちょっと驚く。

すぐにシエルが、前脚で魚の頭を押さえつけてくれた。


「ありがとう、シエル」


大人しくなった魚を見る。


「お父さん、この魚は食べられるの?」


「にゃうん!」


えっと、お父さんに聞いたんだけど。

なぜかシエルが、嬉しそうに尻尾を揺らす。


「もしかしてシエル、この魚を食べたいの?」


あっ、尻尾の揺れが激しくなった。


「分かった。頑張ってその魚をさばくね」


大きいからちょっと大変だろうけど、シエルが食べたいみたいだし。

頑張ろう。


「手伝うよ」


「ありがとう」


お父さんの言葉にホッとする。

さすがにここまで大きな魚をさばいた事が無い。

だから少し不安を感じていた。


「ちなみに、この魚は食べられると思うぞ」


それは、やる気が出るね。

えっと、まずは包丁で。

ん?

どうしてお父さんは剣を出しているんだろう?


「お父さん、剣で何をするの?」


「普通の包丁では小さいだろう? だからこれで簡単に分けてしまおうかと」


まぁ、確かにいつも使っている包丁では小さすぎる。

でも、剣で魚をさばいて……いいのか?


「えっと、いいの?」


「あとでちゃんと手入をするから問題ないよ」


それでいいのなら、助かるけど。


「内臓はどうする?」


えっと、どうしようかな。

魚自体が大きいから、内臓もきっと大きいよね。

取ったままにしておくと、臭いで魔物を引き寄せてしまうかもしれない。

そうならないためにも、すぐに処理をした方が良いかな?


「燃やすか」


お父さんの言葉に頷く。

一番いい方法だと思う。


「そうと決まれば、まずは内臓を取りだすね」


「俺が切るよ。アイビーはシエルと一緒に、魚を押さえてもらっていいか?」


「分かった」


シエルと私で魚を押さえ、お父さんには私の指示のもと魚を切っていってもらう。

さすが剣に慣れているだけあって、切り口が綺麗だな。

それに、切るのに迷いが無いから、さばくのが速い。


「これだな」


お父さんが、巨大な魚から内臓を取り出し、少しはなれた場所に置く。


「燃やしていいんだな?」


「うん。あっ、ちょっと待って。シエル、魚の内臓はいる?」


「……」


反応なし。


「燃やしちゃっていいよ」


シエルも食べないみたいだし、いらないよね。


「了解」


お父さんが、剣に嵌っている魔石の力を借りて内臓を一瞬で灰にする。


「相変わらず、凄い力だよね」


まだ微かに光っている魔石を見る。

本当に綺麗な魔石だな。


「あとは、適当に切っていくな」


「うん」


適当な大きさに切られた魚を、次々と串を刺して焼いていく。

味付けは、魚の味を際立たせてくれる塩。

こめはマジックバッグに炊いた物があるからいいとして、スープが欲しいな。

お鍋を出して、水と葉野菜と魚を入れて煮込む。

野菜と魚に火が通ったら、ポン酢で味を調えて完成。


「魚、良い感じに焼けてきたぞ」


「うん、凄くいい匂い」


お腹が空く。


「ところでお父さん、これは……お昼は既に終わっているし夕飯には早いし。おやつ?」


おやつにしては、こめまで出しちゃった。

だって魚と言えばこめだよね。


「ん~、早目の夕飯と言う事でいいだろう」


「夜、絶対にお腹空くよね」


やっぱりこめを炊いて、夜食におにぎりでも作ろう。

中身は、もちろん魚で。


「ぷ~」


ん?

ソラもフレムも寝ちゃっているのか。

シエルは……ふふっ。

焼いている魚の番をしてくれているみたい。


「なんだか久々にゆっくりした時間かも」


色々と有って、バタバタしていたからな。

久しぶりに、のんびりしている気がする。


そういえば、何か忘れているような……なんだっけ?

えっと……確か誰か……。


「あっ!」


「どうした、アイビー」


すっかり忘れてた。

確認もしてない。


「アイビー?」


「皆にふぁっくすを送ってない、しかも届いたか確かめても無いよね」


あっ、お父さんが困った表情になった。


「すっかり忘れてたな」


「マーチュ村で、確かめられるかな?」


「どうかな? あまりに小さい村だと、ふぁっくすに対応できないかもしれない」


今、慌てても仕方ない。

だけど、マーチュ村に着いたらふぁっくすが送れるのか確認しよう。


「にゃうん」


「丁度いい焼け具合になったみたいだな」


シエルが、ちょっとソワソワしながら私とお父さんを見る。

そんなにこの魚が食べたいんだね。


「ふぁっくすの事は、マーチュ村に着いてからだな」


「うん」


今は、シエルと魚を楽しもう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
今までバタバタしすぎていたからスッポリと抜け落ちていたんだよね。これまでの2つ?3つ?村を跨いできて一度も確認もしてなかったね、みんなヤキモキしてるんだろうな。フォロンダさんは一度王都の近くで会う機会…
村 町つくたびにふぁっくす思い出しては次のところでって言ってる気がする笑それだけ色んなことに巻き込まれてるから忘れちゃうんだろうけど心配してる人達を思うとアイビーちゃんから次に貰うふぁっくすは凄いこと…
[気になる点] シエル、生肉しか食べないのかと思っていたのに、調理済みの物も大丈夫なんですね。狩りに行けない期間が長すぎて、食わず嫌いを克服した?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ