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671話 2本目!

瓶の中身が、勢いよく無くなっていくのを見る。

もしかして、全部食べる……この場合は吸収?

どっちでもいいか。

あっ、瓶の中身が無くなった。

凄い、食べきった。


「ぎゃっ!」


ん?

トロンが瓶から枝を出すと、私の方に伸ばしてくる。

これはもしかして、お替わり?


「まだ、食べられるの?」


「ぎゃっ!」


「そう。食べる量が増えてくれたんだね」


ソラ達に比べると、トロンの食べる量が少なすぎてずっと心配だった。

それが今日は、2本目!

まだまだソラ達には追い付けないけど、食べる量が増えてくれて嬉しい。


沢山食べるようになれば、きっと成長も見られるだろう。

最近は、成長も止まっていたからね。

まぁ成長したら、それはそれで問題も出てくるんだけど。


「はい、どうぞ」


紫のポーションは、残りが3本。

トロンの食べる量が少なかったから、それほど多くは拾って来ていない。

足りるかな?


「ぎゃっぎゃっ」


嬉しそうにポーションを受け取るトロンは、瓶を枝で器用に支えると空いている方の枝で食事を始めた。

ポーションを渡す時に、瓶の蓋を開けておいて良かった。


それにしても、器用に枝を動かせるようになったよね。

根は器用に動いていたけど、枝の方は大きな動きしか出来なかったのに。

凄い成長だ。


「ぎゃ~」


2本目のポーションを飲み切ると、トロンが満足気に鳴く。

その姿を見ていると、つい笑みが浮かぶ。


「ぎゃっふ」


えっ?

今のまさか……げっぷ?

いや、それは無いか。

飲んだわけじゃないのだから。


「満足できた?」


「ぎゃっ」


小さく頷いたトロンの葉っぱを、そっと撫でると気持ちがいいのか目を細めた。

今も葉っぱを撫でられると、気持ちがいいらしい。

あっ、気持ちがいいと寝ちゃうかな?

少し不安を感じたので、トロンの葉っぱから手を離す。

その態度を不思議に感じたのか、トロンが私を見た。

だって、寝てしまったら次はいつ起きてくれるのか分からないんだもん。

もう少し、起きているトロンと遊びたい。


「ただいま。あれ? どうしたんだ? 何かあったのか?」


えっ?

部屋に戻って来たお父さんの慌てた様子に、不思議に思いながら振り向く。


「気分でも悪いのか?」


傍に来たお父さんは、私のおでこに手を当てる。

そんなお父さんを見上げて、首を傾げる。

私の気分が悪そうに見えるの?

あっ、トロンの食べるところを見るために、床に座り込んでいたんだった。


「大丈夫。トロンにご飯をあげていただけだから」


「あぁ、何だそうなのか。気分が悪くなって、倒れたのかと……ん? トロン? トロンが目覚めたのか?」


「ぎゃっ!」


トロンの鳴き声にお父さんが、視線を向ける。


「トロンが目覚めている。あ~、よかった。ソラ達の態度で問題ないと分かっていても、全く起きないから心配していたんだよ。元気か?」


「ぎゃっぎゃっ」


「そうか。元気ならいいんだ。食事をしていたのか。あれ? 2本の空瓶?」


お父さんが空になった2本の瓶を手に取る。


「トロンが、一気に2本も食べたんだよ」


「そうなのか? 凄いな、ずっと食べる量が少なかったから心配していたんだ。美味しかったか?」


「ぎゃっ!」


お父さんの問いに、元気に答えるトロン。

そんなトロンの様子に、お父さんは笑みを見せる。


「あれ? 枝の動きが、前とは違うな」


お父さんもトロンを見て気付いたのか、トロンの動く様子をじっと観察しだした。


「アイビー。トロンの動きが」


「凄いでしょ? 前は1つ1つの動作が大きかったんだけど、今日は細かい動きができるようになったんだよ。そのせいなのか、全体的な動きがスムーズになったよね」


私の言葉にお父さんが頷く。


「洞窟で会った、木の魔物を覚えているか?」


洞窟であった木の魔物なら、トロンのお母さんだよね。


「覚えているよ。トロンを渡してくれた木の魔物の事だよね?」


「そう。トロンの枝の動きは、あの木の魔物がしていた枝の動きに似ているみたいだな。まぁ、あっちの枝はかなり長かったが」


あぁ、そうだ。

トロンの枝の動きを何処かで見たと思っていたら、洞窟の中にいたトロンのお母さんと動きが似ているんだ。

親子だから似ているのかな?


「ぷっ!」


「りゅっ、りゅっ!」


「えっ、ソラ? フレム?」


ソラのちょっと苦しそうな鳴き声とフレムの嬉しそうな鳴き声に、2匹を探す。

すぐに、ソラの上で飛び跳ねているフレムをベッドの上で見つけた。


「何をしているんだ?」


「遊んでいるのかな?」


それにしては、ソラがかなり不満そう。

さっきの苦しそうな鳴き声も気になるし。

2匹を見ていると、フレムがソラから飛び降りるとお父さんの傍に来た。


「どうした?」


お父さんがフレムに聞くと、フレムが縦に伸びる。

何かを求めているようだけど、何だろう?


「抱っこ?」


「りゅっ!」


ちょっと強く鳴いたけど、今の鳴き方は「違う」だろうな。


「ぷ~」


ソラの不満そうな鳴き声も気になる。

あれ?

フレムの視線が……お父さんが持っている空瓶?


「もしかしてフレム、空瓶が欲しいの?」


「てっりゅりゅ~」


嬉しそうなフレムに、お父さんが空瓶を1本渡す。

もう1本をソラに渡そうとすると、


「りゅっ!」


不満そうに鳴く。


「ははっ、なるほど。2本ともフレムの物なんだな」


あっ、そういう事か。

あの2本の空瓶をかけて、ソラとフレムは競っていたのか。

トロンに集中していたから、2匹がどうやって勝負したのか見てなかった。

ん~、残念。


「てりゅ~」


「ぶ~」


フレムの嬉しそうな鳴き声に、ソラが不満な鳴き声を出す。

なんというか、可愛い。


「あっ、寝た」


えっ?

お父さんを見ると、腕の中には寝てしまったトロンの姿がある。


「寝ちゃったの?」


「そうみたいだ。せっかく起きたのにな」


お父さんがトロンを、いつも寝ているカゴに入れる。


「そうだね」


もうちょっと、トロンと遊びたかったな。

聞きたい事もあったし。

次はどれくらい寝るんだろう?

今回より、短いといいな。


「そうだ、アイビー。ちょっとお願いがあるんだけど」


「何?」


お父さんに視線を向けると、真剣な表情で私を見ていた。

その姿にちょっと姿勢を正す。


「リーリアの様子を、ちょっと注意深く見ておいてくれないか? 否定し続けてきたスキルだ。使おうとすれば、何か影響があるかもしれない」


「分かった。体調の変化や気持ちに変化が無いか、気を付けておくね」


リーリアさんが大丈夫だと思っても、心が拒否反応を起こすかもしれないもんね。

なるべく、毎日話をして様子を確認しよう。


「注意すべき点とかある?」


私の言葉に、お父さんが考え込む。


「寝ている時に、勝手にスキルが発動すると言っていたよな。それなら、充分な睡眠時間が取れているのかを、確かめて欲しいかな」


寝られているかどうか、か。


「分かった。確認しておくね」


「悪いな」


お父さんのお願いだから、頑張る。

ただ、さりげなく聞くって難しいよね。

どうしよう?


「そんな難しく考える必要はないぞ。いつもより眠そうにしているとか、いつもより反応が鈍いとか、顔色の悪い日が続いているなとか。そんなちょっとした事でいいから」


あっ、それぐらいなら大丈夫。


「分かった。任せて」


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