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639話 さぁ、食べよう!

「「「うまそう」」」


トトムさんとガルスさん、エバスさんがテーブルに並んだ料理を見て嬉しそうに笑う。

それを見て、笑みが浮かぶ。

やっぱり、喜んで貰うと嬉しくなるよね。


「これ、美味しそう」


アルスさんが、ある料理をこっそり自分の前に移動するのが見えた。

どうやら、葉野菜を薄く切ったお肉で包んで焼いた物が気になるらしい。

あれ?

お肉と根野菜を煮込んだ料理も、移動させようとしてる?

大丈夫かな?

零さないかな?

あっ、エバスさんに怒られた。


「それじゃ、食べようか」


全員が、ウルさんを見て頷く。


「「「「「いただきます」」」」」


トトムさんが炊いたこめを食べる。

エバスさんが、蓋を開けようとするトトムさんを止めてくれて本当に良かった。

美味しく炊けている。


それにしても、トトムさんは面白い。

いつも食べているご飯について聞くと、10年ほど同じソースで味付けをしている事が分かった。

それには、かなり驚いてしまった。

他のソースは使わないのかと聞いたら、好みのソースを探すのが面倒くさいらしい。

確かに、他の村や町のソースなども入れると相当な数がある。

トトムさんのお店にも、沢山のソースが置いてあるのを見た。

とはいえ、同じ味を10年。

「私は飽きそう」と言ったら、トトムさんに「飽きるぞ」としみじみ言われた。

探す手間より飽きる方を選んでいるトトムさんに、思わず笑ってしまった。


「これ、旨いな」


「気に入ってもらってよかったです」


トトムさんがいつも使っているソースに少し他のソースを足して味を変える方法を教えた。

基本がいつものソースなので、トトムさん好みの味からはかけ離れていないはず。


「追加するソースの入れ過ぎには、注意してくださいね」


「おう」


トトムさんの返事に「大丈夫かな?」と不安がよぎるが、後は彼に任せるしかない。

きっと大丈夫だろう。


「アルス、食べ過ぎ。というか、もうないじゃないか」


ガルスさんの声に視線を向けると、アルスさんの前にあった野菜の肉巻きが綺麗に食べつくされていた。


「美味しくって、食べすぎちゃった」


その言葉は嬉しいけど、他の人は食べられなかったのかな?

2つのお皿に分けておけば良かったかも。


「トトム、今日は閉めるのが早くないか? あれ?」


「今日は用事があるから来るなって、言っただろうが」


裏の扉から、男性が1人入ってくると私たちを見て動きを止めた。

かなり不思議そうな表情で、私達を見る。


「協力者では、ないよな?」


協力者?

それって、教会関連の事かな?


「違う。彼らは、こめの炊き方を教えてくれた人の家族と仲間だ」


トトムさんの説明に男性が私達を見る。


「こめ? ちょうどいい、こめの炊き方でちょっと聞きたい事があるんだが」


えっ?

男性の言葉に、少し驚く。

申し訳ないが、見た目が強面だから料理をするようには一切見えなかったのだ。


「えっと、何でしょうか?」


「君が?」


男性も私を見て驚いている。

子供だからね。


「はい。私です」


「そうか。こめの炊き方なんだが、火を止めた後は蓋を取ってもいいのか? トトムの奴が紙を濡らしてしまって、最後が読めなかったんだよ。途中も部分的に読めない所があったし」


そうだったんだ。


「蓋は取らないで下さい。えっと最初から説明しますね。こめの準備の方は大丈夫ですか?」


「あぁ、そこは読めたから問題ない」


「では、コンロに蓋を閉めたお鍋をセットしたら中火にかけて、沸騰したらそのまま2分。少し火を弱めて3分、最後に出来るだけ弱火にして6分ぐらい炊きます。炊き終わったら、ちょっとだけ蓋をずらして、お鍋に水が残っていないか確かめてください。水が無くなっていたら蓋を閉めて10秒ほど火にかけます。火を止めたら蓋を閉めたまま蒸らします。時間は10分ぐらいです」


「なるほど。あのさ、使っている鍋が問題なのか、中火だと吹きこぼれてしまうんだが」


「それなら火加減は吹きこぼれないぐらい弱めてから3、4分火にかけてください。あとは弱火にして水気が無くなるまで炊いて下さい」


「吹きこぼれないようにか。そうか。ありがとう」


「いえ」


この人、トトムさんより理解してるみたい。


「トトムに教えるのは大変だっただろう。本人は気を付けているみたいだけど、大雑把だから」


「ははっ。まぁ、ちょっとだけ」


うん、大変でした。


「終わったか? 何をしに来たんだ?」


トトムさんの言葉に男性が、ギロッとトトムさんを睨む。


「お前な、書類だよ。内容を確認して署名したら、俺の所に届けてくれと言っておいただろうが」


「えっ? 昨日の夜、届けたぞ?」


男性がトトムさんの言葉に、「えっ」と驚いた表情をする。

トトムさんも不思議そうな表情で男性を見る。


「俺の元には届いてないぞ。何処かに置いたのか?」


「ヌーに会ったから、頼んだんだけど」


トトムさんの言葉に、男性が首を傾げる。


「昨日は、ヌーとは会ってないな。もしかして、またか?」


何か問題が起きたみたいだけど、なぜか2人とも呆れた表情をしてる。

どうしたんだろう?


「ヌーの家に行ってみるよ。悪いな邪魔して」


男性が裏の扉から出ていくと、トトムさんが全員に謝る。


「それはいいが、大丈夫か?」


ウルさんの言葉に、トトムさんが笑う。


「書類を家に持って帰ってしまう奴がいるんだよ。たぶん家にあるから、大丈夫」


あぁ、だから男性はヌーさんの家に行ったのか。


「見事に食べきったなぁ。じゃ、そろそろ片付けるか」


ウルさんの言葉にお皿を確認する。

ちょっと多いかな?と思ったけど、見事にどのお皿も空っぽ。

あの3つの肉の塊も、食べきってしまった。

夕飯は、軽めの物にしよう。


お皿を重ねて、調理場へ持って行く。

既にガルスさんとウルさんが洗ってくれていた。


「アイビーは持って来るだけでいいぞ。あとは任せろ」


ウルさんの言葉に、お礼を言って他のお皿を取りに戻る。


「アルスはこれでいいから」


「これだけ? もう少し持って行けるよ?」


アルスさんの手には使用した人数分のお箸。

確かに、他にも一緒に持って行けそう。


「いや、アルスはこれでいい。頼むから、箸で自分を突くなよ」


さすがにそれは……アルスさんなら、あるかもしれない。

大通りに置いてある大きな植木鉢にぶつかったり、上から提げてある看板で頭をぶつけたり。

こけたはずみで箸が彼女に刺さる事も、無いとは言い切れない。


5枚に重ねた大皿を持って、アルスさんの後ろを歩く。

普通に歩いているんだよね。

足を引きずっているわけでもない。

なのに、どうして躓く回数が多いんだろう。


「うわっ」


あっ、また。

バラバラバラバラバラ。


「大丈夫か? 良かった、箸だけにしておいて。怪我は?」


すぐにエバスさんがアルスさんの下へ行く。


「いった。膝、打った」


お箸を持っていたせいで、膝を床に打ち付けてしまったみたいだ。

大丈夫かな?

とりあえず、大皿を調理場に置きに行こう。

それから箸を拾いに戻って来よう。


急いで調理場に行き、大皿をガルスさん達にお願いすると、アルスさん達の所に戻る。

途中で箸が転がっているのが見えたので、拾っていく。


「大丈夫ですか?」


「大丈夫よ。慣れているから」


アルスさんの言葉に苦笑してしまう。


「慣れても痛いものは痛いから」


「まぁね」


アルスさんの膝を見ると、赤くなっていた。

彼女は慣れた手つきで、エバスさんから青のポーションをもらうと、ちょっとだけ膝に振りかけた。

すぐに赤みが引いたので、打ち身ぐらいだったんだろう。


「良かった。お箸……私が持って行きますね」


次もアルスさんが怪我しそうだからね。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] アルスさんには知的障害か発達障害などの障害があるのでしょうか。 これらは怪我や病気ではないので、ソラやフレムは反応しないでしょうし。 ちょっと私生活に支障を来すレベルだと気になりま…
[気になる点] これはアルスは単なるドジっ子じゃなくて、何か障害があるってことじゃないかと思ってしまいますが、でもソラ達は反応してないようですね。 といってもそういうのにも反応するのかどうか。
[気になる点] 最近のストーリー展開が以前に比べて物凄く遅い気がします。 御荷物3人組が増えた影響なのか…遅々として進んでないイメージですね。 [一言] お疲れ様です。 浄化の方と合わせて読んで居…
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