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606話 信じたい

「分かった。とりあえずガルス達を信じる。ただ、知っている事は全て教えてくれ」


ウルさんの言葉に頷くガルスさん達。


あっ、この気配はジナルさんだ。

ウルさんも気付いたのか、玄関の方へちらりと視線を向けた。


「ジナルが戻ってきたな。ガルス、ジナルも交えて話をしていいか?」


「はい」


ガルスさんが頷くと、玄関の方で音がした。


「ただいまぁ。集まってどうしたんだ?」


気配で分かっていたのか、特に驚く事もなく部屋に入ってくるジナルさん。

なんだか嬉しそうな表情をしている。


「ジナル。帰って来て早々に悪いが、ガルス達の話を聞いてくれ」


ジナルさんが、ガルスさん達3人をちらりと見る。


「分かった。教会が探している事と関係がありそうだな」


えっ、知ってたの?

ジナルさんの言葉に驚いて見上げると、ガルスさん達も驚いているのが視界の隅に入った。


「なんだ、知ってたのか?」


ウルさんも少し呆気に取られているようだ。


「知ってたというか、ほんの数時間前に聞いた。教会に潜り込んでいたから」


「はっ?」


ジナルさんが、ウルさんの前のコップに新しいお茶を入れて一気に飲み干す。


「ふぅ、ようやく一息つけるな」


「ジナル、教会に行ってたのか? あれ? そんな予定だったか?」


困惑した表情のウルさんにジナルさんが笑う。


「誰かさん達のお蔭で、色々と予定が変わってな。今頃フィーシェが、喜々として情報操作をしてるだろう」


「フィーシェが、それはまた……」


この話は聞いていていいのかな?

それにフィーシェさんが情報操作すると何かあるの?

ウルさんが、一瞬なんとも言えない表情をしたんだけど。


「詳しい事は後で話すよ。先にガルス達の話を聞こう」


ジナルさんが空いている席に座ると、ウルさんがガルスさん達に見張りが付いていた事や教会から逃げていると話してくれた事、アルスさんがスキルのせいで追われている事を説明した。


「なるほど。オダト司祭が見張りをつけろと言っていたのは、アルスの事だったのか。アルス」


「はい」


アルスさんが緊張した面持ちでジナルさんを見る。


「教会が、なぜ占い師スキルを持つ者を集めているのか知ってるのか?」


「少しだけ、逃がしてくれた占い師に聞きました。でも、彼女は『教会と契約しているせいで、詳しくは話すことが出来ない』と言ってました。『聞いた者にも被害が及ぶ契約だから』と」


聞いた者にも被害?

そういう契約があるんだ。

怖いな。


そういえば、私が皆と交わした時に使った紙。

あれは特別な物だと言っていたな。

……まさか、私の話をして死ぬような事は無いよね?


「彼女は、『教会は目的達成に必要な物を探している』と言っていました」


目的達成に必要な物?

なんだろう。


「探してる物が何か分かるか?」


「それは、話せないようでした。ただ、『教会が見つけたら、未来が変わる』と恐れてました」


未来が変わってしまう?


「昔から、占い師スキルを持つ者を見つけたら、頼れる存在を全て殺して教会に来るように仕向けてたみたいです。彼女に私の事を話すと『その方法はまだ続いていたのね』と言っていたので」


占い師スキルを持つ者は、昔から教会の被害者だったんだ。


「教会をずっと調べているが、占い師が集められている事は知らなかったな。王都に全員が集められているのか?」


ジナルさんの言葉にアルスさんが首を横に振る。


「ずっと教会にいるわけではないみたいです。彼女は『生まれた村で占い師をしていた』と言ってました。王都の教会にいた理由を訊いたら『教会を批判したら、洗脳が解けていると思われたようで、連れ戻されちゃったのよ。本当は契約の方が緩んだんだけどね』と言っていました」


洗脳?

契約をして洗脳までされてたの?

酷い。


「逃げている時の注意として、占い師には近付くなと言われました。『占い師として仕事をしている者は、全員が教会と契約している。洗脳は時間が経つとなぜか緩まるが、契約は強固だ。占い師に見つかったらすぐに逃げろ』と。アルスを連れて逃げて欲しいと頼まれた時に、言われました」


ガルスさんの言葉に、息を飲む。

「全員が教会と契約している」と、聞こえた。

彼の言葉が本当なら……私を助けてくれた占い師は……教会と繋がってた?

でも、そんなそぶりは無かった。

いや、分からない。

あの時は毎日が必死で、ちゃんと占い師の事を見てなかったかもしれない。

もしかして?

いや、あんなに親身に相談に乗ってくれたんだから……。


えっ?

お父さんが座っている方の手に、ぬくもりを感じた。

見ると、ギュッとお父さんの手が私の手を握っている。

視線を上げると、私を心配そうに見つめるお父さんがいた。


「大丈夫か?」


無言で頷くと、優しく頭を撫でてくれた。

うん、大丈夫。


「村にいる占い師が、教会の手伝いをしているという事か。気付かなかったな」


ウルさんが頭を抱える。


「あの! 洗脳は教会に人が集まるようにする程度だったみたいですよ」


えっ?

それだけ?


「教会に人を集める?」


ジナルさんも不思議そうにアルスさんを見る。


「はい。『占い師の下へ来た家族を誘導するように洗脳されていた』と彼女が言っていました。契約の方が危険だと。そちらの話はほとんど聞けませんでした」


洗脳の方が色々出来るのに、契約の方が危険?

一体、どんな契約をしているんだろう?


「契約が強固なのに、その占い師は随分話が出来たんだな」


ウルさんはやはり疑っているのかな?

言葉は少しきつい。


「あっ、それは死を前にすると、契約が緩むそうです」


えっ?

死?


「私を逃がしてくれた占い師は、病気であと僅かしか生きられなかったんです。『死が近付くにつれ、契約が緩んだ』と、言ってました。『彼らはそれを知らないから、必死になって私を調べてる。最後の最後に仕返しが出来た』と嬉しそうでした」


スキルが分かってから不幸が続いて、助けを求めたら契約で縛られて。

どんな思いで生きてきたんだろう。

私を助けてくれた占い師も、そんな人生だったのかな?

契約で縛られて、洗脳で……あれ?

「洗脳は教会に人が集まるようにする」だったよね?

私が家族に捨てられた時、一度も教会に行くように言われた事は無い。

弱っていた時だから、少し背中を押せば行ったかもしれないのに。

なんでだろう?


「そうだったのか。悪い」


ウルさんがアルスさんに頭を下げると、彼女は慌てて首を横に振る。


「それにしても、未来を変えるなんて……。多くの人を犠牲にしてまで、何を探していると思う?」


ウルさんがジナルさんを見るが、彼も分からないようで肩を竦めていた。


未来を変えるか。

どんな物なら未来を変えられるだろう?

レアなマジックアイテムとか?

でも、マジックアイテムなら冒険者に対して教会は動くはず。

教会がやっている事は、占い師を契約で縛って洗脳で教会に人を集める事。


「そうだ、スキルだ」


世界に影響を与えるスキルを探しているのでは?

占い師が私を教会に誘導しなかったのは、私のスキルが既に分かっていたから……。

私のスキルの事は、村で有名だったから占い師も知っていたはず。


「……何を考えているんだろう」


信じたいくせに、どうして……。


最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めましたを読んで頂きありがとうございます。

27日~30日まで更新をお休みいたします。

大変申し訳ありません。

更新を再開しましたら、またよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 占いおねーさんなら兎も角、おばーちゃんなら普通に解けかけだと思うんだけど……。 仮にレアテイマー狙いだとしても、最弱が実は最強とかには気付いてないってだけだと思うよ? ……え、最強モノ…
[一言] 本来であれば家族や村から孤立したアイビーちゃんは教会に囲われるハズだった?するとアイビーちゃんが孤立に至ったスキルは本来であれば教会が欲しいスキルだった? アイビーちゃんの占い師は病気で変…
[気になる点] アイビーを助けた占い師、怪我か病気で瀕死になった事が有り、それがもとで契約が緩んだ、とか? 占い師を集めて教会に都合の良い占い結果を揃えまくると、そちらの方に向かって世の中が動くとでも…
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