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523話 村へ行こう

「よしっ、行こう」


サーペントさんに乗ったジナルさんを先頭に、登ってきた崖の反対側を下る。

下りはなだらかな坂が続いているので、上りのような怖さは一切ない。

穏やかな気持ちで、サーペントさんの上から景色を楽しむことができた。

私は、やっぱりこっちの方がいい。


「それにしても、この子達はアイビーを追いかけてるみたいに移動してるな」


私を追いかけて?

フィーシェさんの言葉に首を傾げる。


「確かによく会いますね」


私の言葉に、乗せてくれているサーペントさんが体を左右に揺らす。

ちょっと意味が理解できないけど、楽しそうなので会えたことを喜んでくれているのかもしれないな。


「ここはかなり森の奥だから、人の気配が一切ないのが残念だ」


「残念ですか?」


ジナルさんの言っている意味が分からず、背中をじっと見ていると振り返ってニコリと笑う。


「今の状態を遠くから見られたら、新種のサーペントが増えたと噂が立つだろう?」


新種のサーペントが増えた?

ジナルさんやお父さんを見る。

……あっ、そう言えば私が初めてサーペントさんに乗せてもらった時に、新種が現れたって噂が立ったっけ。


「そうですね。増えたと噂されますね」


「だろ? せっかくだからちょっと人目があるとこまで行って、噂を立ててみるか?」


ジナルさんの言葉に、フィーシェさんがため息を吐く。


「馬鹿な事はするなよ」


フィーシェさんに怒られても、肩を竦めてみせるジナルさん。

本当にいい性格をしているな。


崖から森に入ると、遠くに魔物の気配を感じた。

シエルは既に感じていたのか、周りを威嚇するように気配と魔力を少し濃くしたようだ。

しばらくすると、遠くにいた魔物の気配が遠ざかっていったのが分かった。


「さすがシエル。完璧」


ジナルさんの言葉に頷いてシエルを見ると、満足そうに尻尾を揺らしている。


「そろそろ、村を囲んでいる森の近くだ」


お父さんの言葉に、サーペントさんが速度を落とす。

木々の間を調べながら、道の痕跡を探す。

近くから見れば、見つかる可能性があるらしい。


「無いな」


ジナルさんの言葉に、フィーシェさんがサーペントさんから降りて1本の木を仰ぎ見る。


「隠れ村で間違いないようだな」


フィーシェさんの言葉にジナルさんが頷く。


「少し周辺を調べるか。本当に犯罪者がいたら、危険だからな。まぁ、その可能性は少ないだろうが」


ジナルさんの言葉に頷く。

犯罪者たちがいる村なら、近付く私たちを警戒するはず。

そうなれば、気配や魔力が動くからここまで近付けば気付くはずだ。


「村には、まだ誰かいるんでしょうか?」


道の痕跡を探しながら、人の動いた痕跡を探したけど見つからない。

村の中だけで過ごすのは無理がある。

だから人が動けば確実に何かしらの痕跡があるはず。

それが見つからないとなると、村に人がいる可能性も少ないような気がする。


「アイビーの言う通りだな。痕跡が無さすぎる」


お父さんの言葉にジナルさんたちも頷く。


「すでに滅んだ村かもな。まぁ、周辺を調べながら村へ行ってみよう」


村を囲っていた木々の間を、シエルを先頭にして歩く。

サーペントさんたちも、一緒に来てくれた。

ある程度歩いた時、すっと何かが通り抜ける感覚がした。

お父さんたちも感じたのか、立ち止まって周りを見ている。


「何かあったな」


ジナルさんの言葉に、フィーシェさんが剣に手を掛ける。

お父さんは既に剣を持っていた。


「にゃうん」


警戒している中、シエルの声がする。

視線を向けると、いつも通りのシエルの姿が目に入る。


「いつもと変わらないな」


お父さんの言葉に、ジナルさんたちが少し警戒を解く。

シエルは、お父さんたちの様子を見てからまた歩き出す。

ソラたちも普段通り、シエルの後を楽しそうに付いて行く。


「問題ないらしい」


ジナルさんが苦笑を浮かべ、剣から手を放して歩き出す。

その様子にホッと体から力が抜ける。


「大丈夫か?」


お父さんの言葉に頷いて、ジナルさんたちの後を追う。

しばらくすると、村の門が見えた。


「こんな場所にある村にしては、門が高いな」


ジナルさんが門に手を当て、上を見上げる。

確かに辺鄙な場所にある村にしては、門が高く作られている。

村を囲っている壁も同様だ。


「危険な魔物でもいるのか?」


ここまで来るまでに魔物はいたが、感じた魔力はそれほど強くはなかった気がする。

あの魔物にここまで高い壁を作るだろうか?


「それにしても、これじゃ入れないな。蔓を外すのは大変そうだ」


門や壁にびっしりと絡みついている蔓を手に取るフィーシェさん。


「ぎゃっ」


トロンがぴょんと、ジナルさんが肩から提げていたカゴから降りた。

いや、降りようとした。


「ぎゃ~」


「まて、落ち着け。カゴに根っこが、いや足か? どっちでもいいか。うごくな。絡まっているのを取るから」


相変わらずトロンの足が、トロンの思うように動かない様子に口を手で覆う。

笑ったらきっと傷つけてしまう。


「あっ」


トロンと視線が合ってる。


「……ぎゃっ!」


「ごめんね。トロンが可愛くて」


ちょっと拗ねたように鳴いたトロンが、私をちらりと見る。

だが、絡まった足がまだ取れていないので、逆さづり状態。

笑っちゃ駄目と口元に力を入れると、口元が引きつった。


「よしっ、取れた。しかしトロンの足は自由だな~。いて、おいっ。葉っぱをぶつけるな!」


ジナルさんの手に、ぱしぱしと体を動かして葉っぱをぶつけるトロン。

何だかいつもより、攻撃力が増しているような気がする。

……もしかして、いつもより恥ずかしかったのだろうか?


「照れ隠し?」


小さく言った言葉が聞こえたのか、トロンの動きがぴたりと止まる。

すぐに動き出したトロンは、ジナルさんの腕から地面に着地すると、そのまま門の前まで行く。

そして足を地面に突き刺した。


「何をするんだ?」


ジナルさんの言葉に、首を横に振る。


「あれはカリョの花畑を枯らした時に見ました。一瞬で花畑が枯れたんです。だから今日も、あっ」


「なるほど、枯れていくな」


フィーシェさんが、すごい勢いで枯れていく蔓を見て唖然としている。


「すごい」


トロンを中心に左右に蔓が枯れていく様子は、見ていて面白い。

トロンを見ると、小刻みにぶるぶると震えていた。

心配になり、トロンの表情をそっと見る。

苦しいのかと不安に思ったが、表情を見るかぎり違うようだ。

何処かうっとりした表情のトロン。


「これだったら開けられるな」


ジナルさんの言葉に視線を門へと向けると、蔓が枯れてボロボロと落下していた。


「ぎゃっ」


トロンは満足したのか、地面から根っこの足を出して……あと少し!

もう少しが引っこ抜けないのか、地面の上でバタバタ暴れるトロン。

笑ったら可哀そうだけど、笑いそう。

そっとトロンを上に持ち上げて、足を地面から抜いてあげる。


「あれ? トロン、根っこがまた伸びた?」


私の言葉に、視線を下げてじっと根っこを見るトロン。

その様子は嬉しそうには見えない。

まぁ、今も持て余しているからね。


「まぁ、何とかなるよ」


どうして、ジト目で見られるんだろう。


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― 新着の感想 ―
やっぱ森の中だとトロン活躍するね
[気になる点] 昔話から、だんだんホラーになってない? ホラー苦手なんだけど…
[一言] ほのぼのトロン癒されます。
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