表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
414/1142

398話 ちょっと休憩

契約を交わし、説明はお父さんとジナルさんにお願いした。

ジナルさんたちとの出会いから、術から解放した事。

そしてナルガスさんの術による傷を癒した方法も。


「そのスライムが?」


ナルガスさんにじっと見られて、胸を張ったソラ。

可愛いなっと見ていると、フィーシェさんも同じ感覚を持っていたらしく気に入ったようだ。


「すごくかわいいな。アイビー、後でソラたちをちょっとでいいから撫でてもいいか?」


「皆が許可を出したらいいですよ。そっと撫でてあげてくださいね」


私の返答に少し驚きの表情をするフィーシェさん。

それに首を傾げる。


「皆って、あの子たちの事?」


「そうですよ?」


「いや、テイマーが命令しないと撫でられないだろう? 俺が触ろうとすると逃げるだろう」


フィーシェさんの言葉に、普通のスライムの事を思い出す。

確か、人見知りだったな。


「ソラたちは大丈夫ですよ。皆、ちょっと集まって」


私の掛け声に、皆が私の元に集まる。

そう言えば、机の上を自由に飛び跳ねているけどいいのかな?

ジナルさんやガリットさんをそっと窺うが、特に嫌そうな表情ではない。

問題なさそうだな。


「フィーシェさん、どうぞ?」


「本気?」


かなり戸惑っているフィーシェさん。

こういうのは説明するより、試してもらう方が早いと経験上知っている。


「はい。大丈夫ですって」


「う~ん。えっと、撫でたいんだけどいいかな?」


ちょっと困った表情でソラたちに話しかけるフィーシェさん。

なんだか見ていると面白い。


「ぷっぷぷ~」


「てっりゅりゅ~」


「にゃうん」


「ぺふっ」


ソラたちの鳴き声に、不思議そうに私を見るフィーシェさん。


「その鳴き方は、大丈夫と言っているんです」


「そうなんだ。意思の疎通までしっかり出来るんだな。じゃぁ、撫でるな」


フィーシェさんがそっとソルに手を伸ばす。

ゆっくり撫でると、プルプルと揺れて目を細める。


「あれ? なあ、アイビー。この子、テイムの印が無いんじゃないか?」


「はい。ソルだけテイムしていないので」


「「「はっ?」」」


あれ?

言い忘れていたっけ?

ん~、色々な事がありすぎて何を言って、何を言っていないのか覚えてないよ。

でも、この反応という事は言ってないって事だよね。


「えっと、ソルはテイムしていいかと聞いたら、拒否されたのでしていません。でも、ずっと私の事を助けてくれている優しい子なんですよ」


「そうなんだ。まぁ、俺でも触れていたりするからな。うん、そういう事もあるかな」


フィーシェさんがちょっと困った表情でソルを見て、そっと撫でる。

何だろう、さっきより少しだけぎこちない。


「あっ、テイムしていないスライムって攻撃を仕掛けてくるんでしたっけ?」


「はははっ、そう。……そのはずなんだけど」


「してこないな」


ガリットさんが私の横に来て、そっとソルを窺う。


「ソルはそんな事しませんよ。ねっ!」


「ぺふっ」


「アイビー、訊いていいか?」


「なんですか?」


横に立っているガリットさんを見上げる。


「鳴き方なんだが、なんでこうなんだ?」


鳴き方?

なんでこうとはどういう意味だろう?


「出会った時からこうですけど、何かおかしいですか?」


「おかしいというか、いやそのだな……俺たちが知らないだけっていう事だろうか?」


ガリットさんが隣でぶつぶつと何か言っている。

隣にいるのに声が小さすぎる。

じっと見るが、彼の中だけで何か答えが出たらしい。

何度か頷いた。


「まぁ、ありえるかもな」


よく分からない。


「鳴き方は、ちょっと独特だけどいいとして。シエルという名前のあの子、変わった柄だよな」


「だってシエルはアダンダラですから。やっぱりスライムとは少し違うんだと思います」


シエルの鳴き方はアダンダラの時と同じだからね。


「そうなん……ん? えっと?」


「今、何かおかしな事が聞こえなかったか?」


フィーシェさんとガリットさんがシエルをじっと見つめる。

どんなに見ても、今はアダンダラの要素は柄と鳴き方ぐらいだけどな。


「アダンダラ?」


「2人とも、話し合いを始めるぞ。それと、その件については全てが終わってからだ」


ジナルさんがガリットさんたちを呼ぶ。

ようやく一通り納得のいく話が出来たみたいだ。


「はぁ、了解。気になるからとっとと解決するか」


「そうだな」


フィーシェさんは最後にみんなの頭をゆっくり撫でると、満足そうな表情をした。

ガリットさんは撫でることなく、見ているだけ。

スライムが苦手なんだろうか?


「よし、揃ったな。アイビー、ナルガスからお願いがあるんだ」


ナルガスさんから?

きっと仲間の事だろうな。

それだったら、ソラとソルが許可を出せば私は応援するぐらいだけど。


「俺の仲間を助けてほしい。手を貸してください」


ナルガスさんが緊張の面持ちで頭を下げる。


「ソル、ソラ。ナルガスさんの仲間を助けたいんだけど。手を貸してくれる?」


「ぷっぷぷ~」


「ぺふっ」


良かった、助けてくれるみたい。


「大丈夫みたいです」


「ありがとう。ソラ、ソルもありがとう」


心配そうにソラたちを見ていたナルガスさんが、ホッとした表情をする。

断られると思っていたのかな?


「ソラたちは大丈夫か? 術の傷を癒すのに、そうとう魔力を使うだろう。ナルガスの仲間は3人いる。彼ら全員を助けられなくても仕方ないと思っている」


ん?

ジナルさんが心配そうに訊いてくれるけど、術の傷を癒すのに魔力が必要なの?

ソラのポーションでは無く?

そう言えば、魔力について勉強しようと思っただけでしてないや。


「ソル、ソラ。3人、全員を助けられる?」


「ぷっぷぷ~」


「ぺふっ」


「大丈夫みたいです」


「本当に? もしかして途中でアイビーがソラたちに魔力を譲渡でもするのか? だったらアイビーも無理はしなくてもいい」


「それは無理です。私は魔力をほとんど持っていないので」


「そうか……ん? 魔力をほとんど持っていない? いや、レアスライムをテイムするのはどうやって?」


ジナルさんが首を傾げる。

ここは簡単に説明したらいいか。


「私は星なしなので人より魔力は少ないです。ソラは崩れスライムだったのでテイム出来ました。フレムはソラから生まれて、その時からすでにテイムの印がありました。シエルはいつの間にかです。ソルはテイムしていないのでこれについては関係ないですね」


「「「「…………」」」」


部屋の中が静かになる。

お父さんがお茶を飲む音が部屋に響く。

ちょっと失敗したという顔をするお父さん。


「ごほっ。まぁ、アイビーには色々あるから、でもアイビーだから」


「そうか」


えっ、今のどんな説明なのお父さん?

それになんでジナルさんが、その説明で納得するの?

驚いて2人を見比べる。

なんだかすごく仲良くなっている気がする。

不思議だな。


「ドルイドのいう事がよく分かったよ」


「そうだろ?」


「あぁ」


本当に何?

話に耳を傾けても、意味が分からない。

私が不審気にジナルさんを見ると、彼は苦笑した。


「悪い。3人の事を頼むな」


ジナルさんの言葉にしっかりと頷く。

ソラとソルが自信を持っているから、私も自信をもって頷く。


「だったら、あいつらをどうやって大人しくさせるかだな」


フィーシェさんが思案する。


「とりあえず睡眠薬で眠らせます。無理なら殴って眠らせるので大丈夫です」


あっ、ナルガスさんは間違いなくジナルさんの息子だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
思考回路は完全親子で草
[良い点] 解決方法が親子だわぁ
[一言] ???「オハナシ        肉体言語しようよ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ