表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
312/1143

303話 懐かしい

「すみません、『ふぁっくす』を確認しに来ました」


ファックスを送ってから8日。

そろそろ返事が返ってきているかもしれないと、確認をしに来た。

吹雪とかソルの事で忘れていたけど、ちゃんと思い出せたし8日なら大丈夫のはずだ。


「あぁ、あなたは。ちょっと待っていてくださいね」


男性が私の顔を見て、すぐにファックスを取りに行ってくれた。

あれ?

ドルイドさんと首を傾げる。

前の時と対応が違う。

前は確かギルドカードを確かめたはずだけど。

そんなに印象に残る事をした覚えは……喋りながら書いたから?

それが印象に残って?

何だろう、もしそうなら凄く恥ずかしい。


「こちらです」


そう言って男性が持ってきてくれた専用の用紙。


「えっと、これ全部ですか?」


思っていたより枚数が多い。


「えぇ、そうです。この量が届く事ってなかなかないですよ」


「凄いな」


戸惑いながら男性にお礼を言って、紙の束を受け取る。

というか、あれ?

ファックスって誰か代表が1人書くのが常識だよね。

えっと、とりあえず確認しておこう。

オグト隊長と、ヴェリヴェラ副隊長が別々にきてるのか。

それとセイゼルクさんにヌーガさん……全員個別で送ってくれたようだ。

まぁ、代表で書くのはお金がかかる事が理由だから。

彼らにはその辺りは問題ないか。


「嬉しいな。頑張って読もう」


とりあえず量が多いので宿に戻って読むことにした。

ついでにファックス専用の紙を10枚貰った。

足りるかな?


宿に戻ってお茶の用意をする。

間違いなく、時間がかかりそうだからね。

さて、まずはオグト隊長とヴェリヴェラ副隊長から読もう。

2人のファックスを読み終えると、笑みが浮かぶ。

2人とも、ずっと心配していたから連絡があって嬉しかったことと、旅のお供が出来た事を喜んでくれた。

そして手紙を読む限り相変わらずの様だ。

ヴェリヴェラ副隊長は相変わらずオグト隊長に振り回されている。

どうも最近は、逃げ足が速くなって大変らしい。

ロイグルトさんが巻き込まれているらしく、ヴェリヴェラ副隊長が送ってくれたファックスの最後にロイグルトさんの直筆なのだろう不満が書かれてあった。

オグト隊長は、ヴェリヴェラ副隊長が最近仲間を連れて追い掛け回すと嘆いている。

いや、それ仕事を放置するオグト隊長のせいだし。

次のファックスでちょっと叱っておこうかな。

ヴェリヴェラ副隊長からも、オグト隊長を叱ってくださいと書いてあったし。


「あれ? これ……ドルイドさん」


「どうした?」


オグト隊長のファックスの最後の1ページを見て困惑してしまう。

それはドルイドさんへ向けた内容なのだけど。


「えっとオグト隊長とヴェリヴェラ副隊長からドルイドさんに……質問状?」


なんでこんな箇条書きみたいになってるのだろう?


「名前、年齢、職業、職歴、家族構成、恋人の有無? 性癖? えっ、こんなの必要? 収入、それに趣味って。いったいドルイドさんの何が知りたいの? 全部?」


「見せて」


ドルイドさんが、私が手に持っていた紙を受け取って内容を確認する。


「ごめんね。なんだかおかしいよね。それ」


オグト隊長もヴェリヴェラ副隊長も何がしたいのだろう。


「いや、大丈夫。返事を書いておくよ」


「えっ! 書くの?」


「あぁ、大丈夫」


なんか納得した表情だけど。


「アイビーと一緒に旅をしているから不安なんだろう。あ~、まだ読んでない『ふぁっくす』もざっと確認してみたら? 似たようなモノがあるような気がする」


ドルイドさんが指す、まだ読んでいない紙の束。

首を傾げながら確かめると、本当にあった。

こちらは『炎の剣』と『雷王』の連名みたいだ。

ドルイドさんに見せると、苦笑を浮かべて持って行ってしまった。

本当に良いのだろうか?


「ごめんね」


心配し過ぎだと思う。

私だって人を見る目は……ソラが助けてくれるから大丈夫のはず。


「大丈夫だって、反対の立場なら俺も送るし」


「へ~って、ドルイドさんが?」


「あぁ」


そういうモノなのかな?


とりあえず、次読もうかな。

うん、セイゼルクさんたちもボロルダさんたちも皆元気みたいだ。

それにしても、セイゼルクさんは彼女が出来たのに速攻で振られてしまったらしい。

ラットルアさんの情報では、既に4回目のことらしいけど性格に問題でもあるのかな?

あっ、ラットルアさんと言えば、2日酔いで仕事をしていて危うく崖から落ちそうになったらしいとヌーガさんが教えてくれた。

次のファックスで注意しておこう。

そのヌーガさんは彼女さんと広場で大ゲンカをしたらしい。

原因は彼女さんの料理を食べるか食べないかということなのだが、彼女さんは料理が壊滅的らしい。

セイゼルクさんがちょっと食べたらしいが、『凄かったぞ』と書いてあった。

ヌーガさん、頑張れ!

シファルさんに新しい彼女が出来て、リックベルトさんが『怖い物見たさの女性がいるんだね』と報告してくれたんだけど、彼は一言多いよね。

だってシファルさんのファックスに、『リックベルトって本当にどこまで行っても馬鹿だよね。

怖い物見たさだって』と背中がゾクッとするような事が書いてあった。

程々にしてあげてくださいと返事に書いておこう。

間に合わないと思うけど。

そのリックベルトさんは、幼馴染の痴話ゲンカに巻き込まれて殴られたらしい。

幼馴染の彼女さんに。

ちなみにその彼女さんは冒険者でかなりの腕の持ち主らしく、『頬が真っ青になっていた』とロークリークさんのファックスに書いてあった。

で、気になるのがボロルダさん。

なんと、女性冒険者から『結婚してください』と告白されたそうだ。

しかも他の冒険者たちやメンバー全員がいる広場で。

さすがのボロルダさんも、ちょっと挙動不審になっていたとラットルアさんが教えてくれた。

シファルさんのファックスには『ボロルダの態度に大爆笑したよ。見せたかった』と書いてあった。

間違いなく、後でからかって遊んだんだろうな。

まぁ、シファルさんだから仕方ないよね。

ボロルダさんは断ったそうなのだが、押しの強い女性の様で追い掛け回されているらしい。

彼のファックスには、『女性って、吹っ切れると怖いな』とだけ書いてあったのだけど何があったんだろう。

そしてフォロンダ領主からもファックスがきていた。

これにはさすがに驚いた。

しかも王都で困ったら頼ると良いよと貴族さんを数名紹介してくれた。

貴族さんにも連絡しておくからって。

ありがたいけど、困ったことがないのが一番だよね。

そう言えば、王女様とどうなりましたって訊いていいモノだろうか?

やっぱり駄目かな?

でも、ちょこっと訊くぐらいなら大丈夫だよね、きっと。

他にもオトルワ町のギルマスさんが、この村の状態を知っていたらしく困ったことがないかと心配してくれた。

まだ若いギルマスだから、困ったことがあったら俺の方を頼ってくれて構わないと。

この村のギルマスさんはもう大丈夫だと、報告しておこうかな。

バークスビー団長さんは次の団長候補を鍛えはじめたと書いてあった。

もう次を決めて鍛えるのかと驚いた。

候補さんに『頑張ってください』と応援を書こうかな。


「まだ数ヶ月しかたってないのに、凄く懐かしいな」


ものすごく濃い数ヶ月だったからかな?

さて、皆に返事を書こう。

あれ?

これってもしかして1人1人に返事を書くべきなのかな?

通常通り代表1人に書いていいモノなのかな?

この人数分、書くの?


「代表者をシファルさんにして書こうかな。きっとそれで大丈夫のはず。さすがにフォロンダ領主には別だよね。あとオグト隊長。うん、大丈夫のはず」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新お休み期間なので読み返していたら女性冒険者に追い掛けられていたのはボロルダでした、セイゼルクじゃなかったごめんなさい。どちらにせよリーダーは大変ですねww 押し掛け女房よろしくボロルダに…
[一言] みんなに愛されアイビーちゃんですね。
[一言] セリフにあまり抑揚がないから、読者(私)の想像力が試されるな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ