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287話 魔力?

「ソル。これって触っても大丈夫か?」


ドルイドさんがソルの周りに浮かんでいる黒いモノを指す。


「ぺふっ!」


これは大丈夫ということだろうな。

ドルイドさんもそう解釈したようで、そっと黒いモノに手を伸ばし掴もうとしたのだが、掴めなかった。

手に触れた瞬間、ふっと消えたのだ。


「あれ? この感じ……魔力? ん? これ魔力なのか?」


魔力?

あっそう言えば、昔の文献で魔力の事を黒い(もや)と書いた物があるとドルイドさんから聞いたな。

あの時は気付かなかったけど、魔力を黒と表現している。

魔力の色を見られる人がいたのかな?

それとも昔は魔力に色がついていたとか?


「間違いない、これ魔力だ」


ソルの周りの黒いモノを何個か消してドルイドさんが確かめた。


「ぺふっ」


ソルにとってご飯を消されたからかちょっと不服そうだ。


「あっ、ごめん。確かめたかったから」


「ソル、ごめんね」


ドルイドさんと一緒に私も謝る。

確かに目の前のご飯を奪われたら怒るよね。

ソルは、プルプルと揺れてまた黒いモノを何処からか誕生させてから食事を始めた。


「ドルイドさん、あの魔力何処から発生させているんでしょう?」


「たぶん、ゴミからだろうな」


そう言えばゴミには少量の魔力が残っていると、これもドルイドさんから教わったっけ。

なるほど、その残っている魔力を集めているのか。


「どうやって?」


「………………さぁ?」


不思議な食事風景を見ていると、ブルリと体が震える。


「ドルイドさん、急いで必要なモノを拾って帰ろう。寒い」


「あぁ、そうだな。ところでシエルはどこにいるんだ?」


「それが、さっきから周りを探しても見つからなくて」


ドルイドさんも周りを探すが、この場所から見える場所にはいない。

2人の視線がソラとフレムに向く。

2匹とも普通に食事を続けている。

フレムに関しては、大量に魔石を復活させている。


「何か問題があっていないわけではないみたいだな」


「うん」


「とりあえず、今日の予定を終わらせよう」


必要なモノを相談しながら拾い集める。

それが終わったら、ソラとフレムのポーションの予備を拾っておく。

冬の間は足りるようにしているが、もしもということがある。


「終わろうか?」


「は~い」


屈めていた腰を伸ばすと気持ちがいい。


「みんな、そろそろ捨て場から出るよ。フレムは凄いな~」


フレムを中心に転がる赤い魔石。

その量を見て顔がちょっと引きつってしまった。


「これはまた、凄いな」


ドルイドさんが苦笑いして、バッグから袋を2個取り出しその内の1個を受け取る。

転がっている魔石を入れていくが、いったい何個の魔石を復活させたのか。


「何個あった?」


「28個。ドルイドさんは?」


「32個だ」


1回で60個?

魔石を復活させるには魔力が膨大に必要なんだよね?


「フレム、体は大丈夫? 無理はしてない?」


「てっりゅりゅ~」


うん、元気だね。

フレムにとって、魔石を復活させる事は苦ではないのだろう。

というか復活させた方が、元気だしね。


「元気だったらいいの、でも、無理だけはしないでね」


「てっりゅりゅ~!」


可愛いな。

元気な事を表現してくれているのか、いつもより揺れ方も飛び跳ね方も勢いがある。

ソラとフレムとソルをバッグに入れてから捨て場を出る。

少し捨て場から離れた場所で足を止めて、周りを見て気配を探る。


「この辺りにはいないな? 気配は感じるのか?」


「気配も感じない」


「そうか」


何かあったのかな?

バッグを開けて、ソラたちを見る。


「シエルが何処に行ったか知ってる?」


全員反応なし。

知らないのか。


「帰って来るよね?」


まさか何処かへ行ってしまったのかと不安がよぎる。

でも、全員が揺れたのでホッとした。

帰っては来るのか。

だったら、もう少しここで……あっ。


「ドルイドさん、シエルの気配がこっちに向かって来てる。もうすぐ」


そう言った瞬間後ろで大きな物が落ちる音がした。

慌てて後ろを振り向くと、真っ白な何かを咥えたシエル。

よく見ると白い何かには足があるので、魔物の様だ。


「なんだ、狩りに行ってたの? びっくりした~」


怪我もないようでホッとする。


「あっ、それ!」


シエルが咥えている獲物を見てドルイドさんが声をあげた。


「ドルイドさん、この魔物が何か知っているの?」


「雪が降った時しか姿を見せない魔物の1つだよ」


「私たちが狩りをしようとしている魔物?」


「いや、俺たちが狙おうとしているのは、野兎みたいな魔物だから。これは、えっとベアスとかいう魔物だったはずだ」


シエルを見ると、最初の時のように私の前に獲物を置いて鼻先で私の方へ寄せる。


「ありがとう」


これは、貰って欲しい時の合図。

これを断ると本気でショックを受けるので、貰っておく。

それに、シエルからのプレゼントは嬉しいし。


「シエル凄いな」


「にゃ~」


シエル、嬉しそう。

尻尾の揺れで雪が舞い上がってる。

土埃よりマシかな。


「よし! 冬の魔物がいることも分かったし明日から頑張って罠を張ろうな?」


「うん。でもその前に、これを早く解体しないと」


「いや、これはこのままの状態で冒険者ギルドに持ち込もう」


「解体しないの?」


「この魔物は毛皮も内臓も利用価値があるから、狩ったすぐの鮮度の良い物はギルドに持ち込んだ方が喜ばれるんだ」


「そうなんだ、ならすぐに村に戻ろう」


ドルイドさんがベアスという魔物を持とうとすると、シエルがさっと咥えて歩き出す。


「ありがとう、シエル」


私のお礼に嬉しそうに尻尾が揺れた。

村の近くまで来たので、シエルからベアスを受け取る。


「ありがとう」


「にゃうん」


スライムに変化したシエルをバッグに入れる。

ベアスはドルイドさんが担いでくれたので、ドルイドさんの荷物を持つ。


「大丈夫か?」


「大丈夫ですよ、これぐらい」


私だって日々体力がついてます。

門番さんに挨拶すると、ドルイドさんの担いでいる魔物を見て驚きの声をあげた。

何だろう。


「ベアスって、珍しい魔物なんですか?」


「いや、そんなことはないはずだけど……」


ドルイドさんも戸惑っている。


「あの、それってベアスですよね?」


興奮した門番の1人がドルイドさんに詰め寄ると、その勢いにドルイドさんが困惑している。


「えぇ、そうですが。この村ではそんなに珍しくないですよね?」


「それが、7、8年前にベアスの子供を乱獲した冒険者がいて、ここ4、5年は見かける事がなかったんです」


なんだかすごい魔物をシエルが狩って来てしまったようだ。


「そうだったんですか、そうだ、冒険者ギルドのギルマスに連絡してもらえませんか? 珍しいとなると騒がれるでしょうが、鮮度が大切なので裏から解体作業場へ持って行きたい」


「そうですね! 冒険者たちが興奮して触ってしまったら、それだけ鮮度が落ちてしまいますよね。分かりました。タタス、冒険者ギルドのギルマスに解体作業場へ来るよう連絡してくれる? 私はこのまま案内するから」


白いベアスは目立つので大きな布を借りて覆ってしまう。

それから、カリという門番さんの案内で解体作業場へ向かう。


「なんだか、大事になっちゃいましたね」


「そうだな。さすがシエルだ」


ドルイドさん、感心しないで!


総合評価が45000ptを超えました。

皆さま、本当にありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
レアな方を持ってくるあたりシエルだなぁw
[一言] さすがシエル
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