26話 ラトム村へ向かう
討伐は2日で終わったようだ。
冒険者の数が多かったので短期間で済んだと聞いた。
やはり、結構な数のヘビが発生していたようだ。
村を出るときに討伐されたヘビを見たが、かなりの数がいた。
……実は森の中は危なかったのかな?
もっと警戒しなければ。
干し肉を購入して村を出る。
討伐が済んだのなら、村道もある程度は安全になったはずだ。
今日から次の村ラトムへ向かう。
何だか、ラトト村では驚くことが多かったな。
ソラとの出会いで私がテイムした事やソラの食べるものとか、量とか……。
ヘビの金額にも驚いたな。
あっ、でもうれしい事もいっぱいあった。
ソラが仲間になってくれたし。
腕の中でプルプルと、揺れているソラを見る。
マイペースだけど、やっぱり可愛い。
うれしいと言えば、肉屋と薬屋の店主の言葉。
あれは頬が緩むのを抑えられなかった。
うれしい!うれしい!
今、思い出してもニヤニヤしてしまう。
旅には冷静さが必要だから落ち着かないといけないのに。
ふ~っと1つ深呼吸をして心を落ち着ける。
よし、ラトムへ行こう!
……
ラトトから旅立って6日目。
魔物ともう少しで遭遇しそうになったが、おおむね順調な旅路だ。
だが、ソラの食料に不安が出てきた……あと5本だ。
そろそろ次の村のラトムへ着かないだろうか?
……?
何だろう、少し焦げ臭い。
何かが燃えているのかな?
立ち止まって周りを確認する。
腕の中に居るソラも、いつもより激しくプルプルしている。
魔物の気配も人の気配も感じられないが、冒険者のように気配が薄いと見逃すこともある。
周りを警戒し、確認しながら歩く。
村道から離れた方がいいのかな?
迷いながら村道を進むと、遠くに煙を上げている場所が見えた。
……初めての事態に体が緊張で硬くなる。
少しずつ近づくと……煙を上げている物が箱のようなものだとわかった。
そしてその影に誰かが倒れている。
警戒しながら早足で近づくと、周りを見回す。
誰かが潜んでいる気配は感じない。
倒れた人に視線を向け、とっさに口を押えた。
倒れていた人は既に死んでいる。
体を何かで抉られたような跡が見える。
そして争った足跡が周辺に残っている。
足跡から複数の人がいた可能性が窺えた。
盗賊の可能性もあるため、腕の中に居たソラをバッグに入れる。
レアスライムのソラは狙われる可能性がある。
亡くなっている人には悪いがどうする事も出来ない。
そのままにして、周りに注意しながら急ぎ足で離れる。
が、少し先に馬車が見えた。
立ち止まり深呼吸して気持ちを落ち着ける。
やはり誰の気配も感じない。
馬車に近づくと数人の死体があったが、どれも損傷が激しい。
村道から少し離れた所には馬が倒れているが、死んでいるのが分かる。
どうやら、盗賊ではなく魔物に襲われたようだ。
盗賊が馬を殺すことは無いし、傷跡が剣ではない。
この辺りには凶暴な魔物が居るのかもしれない。
亡くなった人達の損傷が酷すぎる。
魔物に襲われて、亡くなった人を見たのは初めてではないが、ちょっと衝撃だった。
早くここを離れた方がいいだろう。
足早に馬車から離れる。
少しして、走っている事に気が付いて足を止める。
走ると注意力が乱れてしまう。
魔物の気配を見逃すかもしれない。
深呼吸を数回繰り返して、ようやく落ち着く事が出来た。
「はぁ~……びっくりした」
座り込みたいが、ここでは駄目だ。
周りの気配を注意深く探りながらラトム村へ足早に歩きだす、少しして何か音が聞こえた。
緊張しながら音に耳を澄ませると、人の声だ。
冒険者?旅人?商人?
周りを警戒しながら、音の方へ近づく。
「あっ、ラトム村だ」
多数の人の声が、村に着いたことを知らせてくれた。
ホッと体から力が抜ける。
とりあえず、ラトム村の役場に亡くなった人がいる事を知らせないと。
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