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254話 契約?

「そうだ、2人に確認しておきたいことがあってね」


ローズさんがお茶を人数分用意してくれた。


「ありがとうございます。なんですか?」


全員で座って、とりあえず一息。

緊張していたようで、温かいお茶が美味しい。

ローズさんがいれてくれたお茶も少し甘味がある。

この村のお茶の特徴なのかな?


「魔石のレベルを正確に知るためのマジックアイテムは、まだ必要なのかい?」


どう言う意味だろう?

ローズさんの言葉に、タブロー団長さんが首を傾げている。

彼には意味がさっぱり分からないだろうな。


「今回は、それほど正確なレベルを知る必要はなくなっただろう? もうマジックアイテムは要らないのじゃないかと思ってね」


確かに、今回は必要はなかった。

でも、フレムはこれからもどんどん魔石を復活させると思う。

だから、欲しいんだよね。


「今回は必要なかったが、これからの事を考えると欲しいと思う」


「あぁ、これからの事か……」


ドルイドさんの言葉にローズさんが、苦笑しながら頷く。

フレムが楽しそうに魔石を復活させている姿を見ているので、納得してくれたのだろう。


「とは言っても、今あるマジックアイテムではね~」


ローズさんが大きくため息を吐く。

確かに、結果が出るまで何度も魔石を入れ替えて、入れ替えて……気が遠くなりそう。


「そうですね。レベルは大まかでもいいですが、20個の魔石を調べるのにどれだけ時間がかかるのか、それが問題です」


20個……すごく大変そう。


「分かった。他の店にも聞いて、反応がいいモノがあるか探してみるよ」


「いいんですか?」


ドルイドさんの言葉に、ローズさんが頷く。

タブロー団長さんは、先ほどから居心地が悪そうにしている。

きっと話が分からず、困っているのだろう。

……もしかして、2人はワザとだろうか?


「似たような問題が起きた時、誰かに協力を求められればいいが無理な時もあるだろう。2人には、必要なマジックアイテムだと思うからね。まぁ、満足いくアイテムがあればの話だけどね」


「ありがとうございます。お願いします」


少し話しが落ち着いたところで、タブロー団長さんが咳払いをした。


「なんだい?」


ローズさんの視線に、少したじろぐタブロー団長さん。


「いや、そろそろ俺をここに呼んだ理由を教えてもらいたいんだが」


タブロー団長さんの言葉にローズさんが仕方ないという表情をする。


「まぁそうだね、2人にも用事があるだろうからね」


きっと私達ではなくタブロー団長さんの方が忙しいと思うけど。


「タブロー。話とは2人から赤の魔石の提供についてなんだよ」


何の説明も無く直球だな~。


「えっ、魔石だったらギルドでも自警団でも簡単に手続き出来るが」


タブロー団長さんの戸惑った表情。

ここまで来て、そんな事って感じだろうな。


「問題がなければそうする。あるからお前を呼んだんだろうが」


ローズさんの言葉にドルイドさんと少し笑ってしまう。

ドルイドさんが1つの袋を机に置く。

ローズさんがその袋の大きさを見て少し目を見開く。


「増えていないかい? まさか昨日も?」


フレムが復活させたのかって事だろうな。


「はい。楽しそうでした」


ローズさんと話をしていると、不思議そうな表情のタブロー団長さん。


「赤の魔石です。これを提供したいのですが、レベルは全て不明です」


「えっ? これ全部?」


「はい」


タブロー団長さんが袋を開けて中を確かめる。

そして少しの間、固まった。

ドルイドさんが言うには、提供するにはレベルが高すぎるらしい。

普通提供する魔石は、良くてレベル5。

フレムの復活させた魔石は、最低レベル5ぐらいだもんな。

袋の中身を見て驚くのは普通か。


「えっと、これを全てですか?」


「はい。おそらくもう少し増える可能性があります」


ドルイドさんの言葉に、えっと困惑した表情。


「あ~と、提供する場合特に今は非常時宣言が出ているため、かなり安く手放すことになりますが」


「はい。理解しています」


「そうですか」


ボーっと魔石を見ているタブロー団長さんがちょっと心配になる。


「大丈夫ですか?」


私が声をかけると、視線が私の方へ向く。


「ありがとう。本当はどんな魔石でもかき集めたいのが現状なんだ」


「お役に立ててうれしいです」


私を見つめるタブロー団長さん。

そしてお茶を1口飲む。


「ただ、1つだけ確認させてください」


タブロー団長さんがドルイドさんをじっと見る。

ドルイドさんもそれを受け止めている。


「この魔石の入手経路を教えてください」


「それを気にするのは当然ですよ。俺達もそれを説明するためにわざわざ呼び出してもらったんですから」


「そうだったのですか?」


「えぇ、人に聞かれるわけにはいきませんから」


「どういう事ですか?」


「話をする前に契約をしていただきたい」


「契約」


「そうです。秘密を他言しない契約です」


「犯罪ではないなら、契約します」


タブロー団長さんが断言するとローズさんが何か紙を机に置く。

それに私とドルイドさんが驚く。

覚悟を見たかっただけで、本当に契約する予定はなかったからだ。


「タブロー、これが契約書だ。とっとと署名しな。ドルイドさん、これは私のだよ」


ローズさんがタブロー団長さんにペンを持たせると、もう1枚の紙をドルイドさんに渡す。


「いや、ここまで」


「あんたたちは人を信用しすぎる。これぐらいでいいんだよ。アイビーとあの子たちを守るためだ」


ローズさんはぐっと紙をドルイドさんにつきだす。

彼は、それを少し唖然とした表情で受け取り中身を確認している。


「確認が済んだら、ドルイドさんとアイビーもサインしてくれ」


「母さん、この紙ってもしかしてマジックアイテムか?」


「当たり前だろう、契約なんだから」


「いや、あまり個人では使わないだろう。個人では普通の紙が主流だと思うが」


「この紙でいいんだよ」


「……分かった」


親子のやり取りを聞いていると、ドルイドさんがローズさんの契約書を見るかと聞いてきた。

とりあえず目を通す必要がある。


1、アイビーと仲間についての秘密を他言しないこと

1、他言した場合、奴隷落ちすること

1、奴隷落ちは犯罪奴隷となること

1、その際、全財産をドルイド、アイビー両名に全て差し出すこと


「重すぎませんか?」


「そうかい? 別に破る予定がないからどんなに重くても問題ないよ」


そう言う問題なんだろうか?

それにこの契約には破棄の条件が載っていない。


「あの破棄の条件は?」


「必要ないからないよ」


えっと、必要ないのかな?

ドルイドさんを見ると、首を横に振られた。

きっと何を言っても無駄なんだろうな。

ドルイドさんと私がサインをすると、ローズさんが嬉しそうに私の頭を撫でた。


「はい、書いたよ」


タブロー団長さんもサイン書いちゃうし。

仕方がないので、そちらの契約書にもサインする。

赤い魔石の事を話すだけで契約書にサインすることになるとは、思いもしなかったな。


「よし、説明を頼む」


「タブロー団長さん、その説明は俺ではなくアイビーですよ」


「えっ! アイビーさんが?」


「あっと、とりあえず仲間を紹介して説明しますね」


バッグからソラたちを出し、ローズさんにした説明を繰り返す。

話が進むにつれ、ただただ唖然としているタブロー団長さんに少し不安を覚える。


「えっと、理解出来ていますか?」


「あ~、とりあえず。えっと、ではこのフレムという名のスライムが魔石を作れるんですね?」


「作ると言うか復活させる事が出来るんです」


「あぁ、そうでしたね」


とりあえず、説明が終わったので理解してくれるまで3人でお茶を飲んで待つ。

ソラは何故かローズさんに転がされて楽しんでいる。

シエルは、棚に飛び乗って遊んでいる。

止めようとしたけどローズさんが自由にしていいと許可を出してしまった。

フレムは、ただ今熟睡中。


「理解出来ました。あの、魔石を復活させるところを見られますか?」


タブロー団長さんの言葉にフレムがパチッと起きる。

やる気らしいのでローズさんに、魔石を用意してもらう。

そして目の前で復活した高レベルの魔石を見て、固まっているタブロー団長さん。

どうして今こんな時に、レベル1に近い魔石を作っちゃうかなフレムは。


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― 新着の感想 ―
そんなに理解しにくい制度かな? 数を集めなきゃいけない状況だったら 買値を下げるしかないし そういう時に協力したら信用される。 冒険者だろうと商人だろうと 信用を金で買えるならそっちのが利益になると…
非常時の魔石提供が通常の60パーセントって、値切りすぎじゃない?と思う。 アイビーたちは特殊だからたくさん提供できるけど、そんな条件じゃ誰も出さないよね? 冒険者だとランクが上がる査定に好影響があると…
非常時に魔石を安く提供させるのって、善人の良心に頼ってる形なので制度として成り立つのか疑問です
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