24話 旅立つ準備
練習用のポーションが大量に捨てられていた。
まさか、これに感謝する時があるとは思わなかった。
青のポーションを拾い出すと変色はしているが、全部で37本。
これはすべてソラの食事用だ。
ソラの食欲を考えると少ないが、1日2~3本でも問題がない様子なので、旅の間は諦めてもらおう。
まだ村を出るまで数日あるので、あと少しは期待が出来る。
ポーションの目途が付いたので、次のラトムへ向かう準備が出来る。
良かった。
村では、今日の夕方からヘビの討伐が始まる。
村の様子を見たが、冒険者の数が多いので3日ぐらいで終わるだろう。
次の村へ行く準備の前に、野ネズミの罠を作っていく。
冒険者が森を動き回れば野ネズミは逃げ出す。
罠を張っておけば、それなりの数が確保できるかもしれない。
初めての挑戦なので、思う通りに行くかどうかは分からないが、やってみる価値はあると判断した。
森の中に罠を仕掛けて行く。
全部で30個。
この数を1日で作ったのは初めてだ。
ちょっと雑になったかもしれないが、おそらく大丈夫だろう。
少しでも多く野ネズミが狩れるように頑張ろう。
最後の罠を張り終えると、木の実の収穫へ向かう。
名前は知らないが、甘くておいしい実がなっているのを見つけたのだ。
疲れた時にはうれしい甘味だ。
2個ほど収穫して、寝床にしている場所に戻る。
さぁ、旅の準備だ。
ポーションは確保できているので、あと足りなくなっているモノはなんだろう?
罠で縄を使い切ってしまったな。
後は……服が欲しいかな、今のがちょっと小さくなってきた。
ん~竹筒がほしいが……この近辺に竹は生えていなかったな。
周辺の気配を探り問題がない事を確認してから、ソラをバッグから出す。
フルフルと震えている。
「ダメだよ、あれは旅での食事用なんだから」
ソラの目を見て話していると、水滴型の体がいつも以上に横に伸びて行く。
いつもは水滴型が分かるぐらいの伸び方だが……見た目がおかしな事になっていくソラ。
……もしかして、不平を表現しているのだろうか?
それより、横にどこまで伸びることが出来るのだろう?
見ていると、横に広がったゼリーのような姿になってフルフルしている。
あまりの姿にちょっと視線をずらしてしまった。
この姿を見たくはないが、駄目なモノは駄目!
旅に出られなくなってしまう。
捨て場で必要なモノを探すことにする。
ソラは……一緒に連れて行こうかな。
見つけられていない青のポーションがあるかもしれない。
ソラの反応を見ればわかるだろう。
縄を数本、見つけることが出来た。
服は残念ながらここには無いようだ。
次の捨て場に期待しよう。
ソラを見る……転がってゴミに埋もれていた。
慌てて拾い上げて、カバンの中に避難させた。
捨て場はソラにとって不向きな場所のようだ。
必要なモノは拾ったので寝床に戻る。
バッグから出したソラは、やはり少し不服そうに体を横に伸ばす。
ちらっと視界に入ったが無視して旅支度を始める。
見つけた縄はどれも切れていたので、繋ぎ合せて使える長さにしていく。
布を見つけたので破れた個所などを確認して、使える部分だけを切り取っていく。
準備が終わって、ソラに視線を向けると……寝ていた。
……やっぱりソラはマイペースだ。