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204話 揉めました

「疲れました」


「アイビーが頑張るから」


「ドルイドさんの頑固者」


「アイビーの意地っ張り」


ドルイドさんと、ちょっと睨みあう。

まさか旅費の事で揉めるとは、思わなかったな。


私としては2人で旅をするのだから、旅費は折半だと思っていた。

その為、ドルイドさんが考えている旅より少し貧乏な旅になるかもしれないなと。

それは申し訳ないと思ったが、ちょっとだけ我慢してもらおうと。

ただ、思いがけず大金が手に入ったので私が考えていた旅より良い旅が出来るはず。

なので、そのつもりで話を始めたのだが


「大人の俺が旅費を多めに出すのは当たり前。と言うか、アイビーは出す必要は無いよ」


何故かドルイドさんがそう言いだしてしまい、譲ってくれない。


「これから長い旅になります。寄りかかりすぎるのはどうかと思うんです」


旅が長くなると旅費も増えるから、負担が大きくなっていく。

これからの事を考えるなら、私もしっかり負担すべきだ。


「アイビー1人ぐらい、問題ないよ。今までかなり稼いでいるから」


「いえ、そう言う事ではなくて」


「父親に遠慮は要らない」


「それとこれとは別です」


何故か話が通じない。

私も出しますと宣言したら『5分で』と言われた。

1割も無い事に項垂れてしまった。

私も譲れないので『4割8分がいいと思います』と言う言葉から、何故か割合の言い合いに発展。

さすがに疲れてきたな。


「このまま話していても決まらないな。とりあえず、他のことから決めていこうか?」


「そうですね」


よかった。

ドルイドさんの勢いに押されるところだった。


「冬になるからな、冬の拠点を最初に決めよう」


ドルイドさんが地図を広げる。


「アイビーって足が速いんだよな」


「自慢です」


逃げるために駆け足で旅をしていたせいか、足は速い。

今は逃げる必要は無いが、大人と遜色ない速さで旅が出来るのがちょっとした自慢だ。


「あの、お願いが」


「どうした?」


「森の奥で木の実などを収穫していきたいので、余裕を持って予定を組んでほしいです」


オール町で木の実などがある程度と言うか予想より売れると分かった。

なので、収入を確保するためにもぜひとも木の実は収穫していきたい。


「そうだな。そうなると次の町か村だな」


次の町か村?

地図を見るとオール町から王都方面へは途中で道が2つに分かれ、1つは町へ、もう1つは村へ続いている。

そして町の先と村の先の道がまた1つにまとまって少し小さな村へと続いている。

あれ?

私の持っている地図と違う。


「あの、この地図、私の地図と違いますね」


私がいつも持ち歩いてる地図をバッグから取り出して広げる。

その地図にはオール町の隣は2つの村。

そしてその先が町となっている。

しかもその町はかなり大きく表示されている。


「あぁ、こういう地図って旅をしてきた冒険者の情報で作られるから。おそらく聞き間違えたんだろう。もしくは情報が少なくて作成した人物の思い込みが入ったか」


そうなんだ。

地図って随分とアバウトな物なんだな。

もっと調査をして作られていると思い込んでいた。


「どっちがいいかな? そう言えば冬の予定は?」


「冬の予定ですか? 何か出来るんですか? 私が住んでいた場所は、雪がすごくて家から出ることはほとんどなかったんですが」


「そうなんだ。コール町ももう1つの村、ハタウ村も積雪は多い年で俺の腰より下ぐらいだから、まったく外に出れなくなることはないかな。ただ、吹雪になる日だけは要注意だけど」


「確かに吹雪は怖いですよね。村でも毎年吹雪で人が亡くなっていました」


「あぁ、方向感覚が無くなるからな。冬は狩りはどうする?」


「出来るんですか?」


「冬に出てくる魔物がいるから、冒険者たちはそれを狙うな。商業ギルドでも冬は買取価格が上がるから、狙い目だぞ。まぁ、冒険者ギルドよりかは安いけどな」


「冬に出てくる魔物……」


冒険者の人たちは依頼料もあるからな。

それにしても、商業ギルドでも肉は売れるのか。

ドルイドさんが登録してくれたおかげで、色々と幅が広がったな。


「冬の間だけ姿を現す魔物がいるんだ。アイビーの狩りの方法だと、少し小型の魔物を狙った方が成功率が上がるだろうな。そうなるとコール町よりハタウ村の方がいいかもしれない。あそこは小型の魔物が毎年出るから」


「冬には動物も魔物も活動しないと思っていました」


「不思議なことに冬にしか現れない魔物なんだよ」


「冬にしか?」


「あぁ、夏にはどんなに探しても見つけられないんだ」


なんとも不思議な魔物だな。

それにしても、冬にも狩りが出来るのか。

頑張ろう。


「ハタウ村にしましょう」


ドルイドさんの地図でハタウ村を確かめる。

コール町とハタウ村は同じくらいの大きさだ。

これだったら宿も色々な種類がある筈。


「地図では分からないがコール町の方が大きいんだ。と言うかコール町はここよりデカい町だ」


「そうなんですか? この地図では同じくらいですが」


「なかなか訂正した地図が販売されなくてな」


あまり地図を当てにしない方がいいのかな?

今まで結構、信用してきたのだけど。


「ハタウ村は大きさはこの町と同じぐらいなんだが、町に挟まれているから目立たなくて、穴場の場所だったりするんだ」


「そうなんですか? 宿の情報とかありますか?」


「村は大きいから宿の数は多い方かな。コール町やオール町に比べると宿は安めだ」


「それはうれしい情報です。シエルがゆっくり出来る場所ってハタウ村の近くにありますか?」


「あるぞ。近くに洞窟がある。それもかなりの数だ」


それならシエルも大丈夫かな。


「あの、以前シエルに冬眠はしないと教えてもらったのだけど、寒さには強いんでしょうか?」


「アダンダラが寒さに弱いとは聞いたことがないけど、後でシエルに確かめておこう」


「はい」


次に向かう場所は『ハタウ村』に決定。

後は……旅に持っていく荷物に関しては既に話し合っているし。

……またお金の問題か。


「ハタウ村の宿の値段ってどれくらいでしょうか?」


まずはどれくらい必要なのか教えてもらおう。


「そうだな冬の間は月借りになるから、金貨3枚から10枚ぐらいだな」


けっこう幅があるな。


「何が違うんですか?」


「そうだな、宿の場所によって値段が変わる。大通り沿いもしくは1本道を外れたぐらいだと高くなる」


なるほど、移動手段がいい場所は高いのか。


「あとは、食事だな。自炊するなら安くなるぞ。食材を自分たちで調達する場合も安くなる」


宿の人の手を借りると高くなるのか。

私は自炊できるし、マジックバッグがあるから食材を確保も出来る。

安く借りれるかな?


「あとは、風呂が宿にあるかどうかだな。俺としてはある方がおすすめだ」


「そうなんですか?」


確かにお風呂は気持ちよかったけど、毎日でなくてもいいと思うけどな。

夏場のように体を拭くだけでも。


「狩りをする予定なら、お風呂は絶対に必要だと思うぞ。かなり体が冷えるから」


あっ、そうか。

狩りをする予定だった。


「体が冷えたままだと病気にもなりやすい。風呂は絶対に必要だと思うぞ」


「そうですね。そうしましょう」


狩りで頑張って稼げたらいいな。


「あとは宿の人と相談だな。安くなる条件を聞けば教えてくれるから」


「分かりました」


金貨5枚ぐらい用意しておいた方がいいかな?


「そうだ、部屋は一緒でいいのかな?」


「はい、もちろんです」


と言うか、一緒でないと不安だ。

宿なんて使用した事が無いから、考えただけで緊張してしまう。

楽しみではあるのだけど。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] やっぱりアイビーの性格が好きになりきれない。 さすがに可愛げなさすぎないか?と思ってしまう、、 せめて15歳くらいの設定にすれば良かったのでは。
[一言] 金貨1枚10万くらいかな?だとするとアイビーの貯金額って2000万くらいになる感じ? 奴隷も買わずに済んだしね。 ドルイドさんより多いのでは。 でも倹約家なのは変わらないですね。
[一言] 行き先だとかが主人公ではない人の影響で決まるのは、少しノイズに感じるなあ。 見た目の年齢的にしょうがないんだろうけど、「だったら奴隷の方が良かった」って思う読者の方はある程度いそう。 少なく…
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