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最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。  作者: ほのぼのる500
王都と冒険者

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1095話 記憶と知識

―フォロンダ公爵視点―


俺から視線を逸らしているドルイドに視線を向ける。


王都の隣の町、カシメ町の冒険者ギルドのギルドマスターになってほしかったんだけど……無理そうだな。

まぁ、予想していたから今日は諦めるか。


「フォロンダ公爵、ルトの話を全て信じますか?」


「前世の記憶を持っている者に未来を変える力がある、か?」


「はい」


ドルイドが俺の様子を窺うように見つめる。


「信じる。それに俺は、彼らには変える力があると前から思っていた」


「えっ?」


「ルトが、俺の先祖に前世の記憶を持つ者がいると言っただろう」


「はい」


「彼女は、冒険者ギルドだけではなく、教会に対抗する組織の先駆けとなる団体を作ったんだ」


「そうなんですか?」


ドルイドを見ると、驚いた表情をしている。

それに笑って頷くと、彼は少し考え込んだ。


「あの、アイビーの事も、最初から気付いていたんですか?」


「いや、それはない。そもそも、見ただけでわかるわけないだろう」


俺が首を横に振ると、ドルイドは微かに安堵した表情をした。


俺がアイビーを利用しようとして近付いたと思ったのか?


「前世の記憶を持っているかもしれないと思ったのは、アイビーが商業ギルドに焼きおにぎりのソースを登録したからだ」


「えっ?」


「去年、王都で焼きおにぎりが流行ったんだ。その時に、誰が関わっているのか調べた」


「どうしてですか?」


「ルトの言っていた俺の先祖だけど、キーラというんだ。そのキーラの残した日記に『おにぎり』という言葉があったのを覚えていたからだ」


日記には「おにぎりが食いたいのに、こめがない! なんでなんだ、こんちくしょう」と書かれていたんだよな。

その後も、「こめ! おにぎり! お茶づけ! が食いたい。なんでこめがないの? ありえない! あ~こめ!」と書かれていた事もあった。

そういえばアイビーは「お茶づけ」がどんな食べ物かわかるだろうか?


「そうだったんですか。そのキーラという女性はどんな方だったんですか?」


「日記からわかる事だけだが、口がもの凄く、本当にもの凄く悪くて豪胆な女性だな」


俺の説明に、ドルイドが戸惑った表情をする。


「えっと、口がもの凄く悪い?」


「そうだ」


キーラの日記は、家族以外に見せられない。

なぜなら「あのつるっぱげ、脳みそ腐ってるのか」とか「あの女、マジでくっせえ」なんて言葉が普通に書かれているからな。

まぁ、悪口を書かれている相手は犯罪者ばかり。

特に子供を利用した犯罪者には、凄い言葉が並んでいたな。

そういえば「無双」とか「ちょろい」とか、あと読めない言葉もあったな。


「冒険者ギルドを作るくらいなので、凄い方ではあるんですよね?」


「あぁ、冒険者の実情を知って『冒険者が金持ちや貴族に詐取されているのが我慢ならん。奴が言っていたように、早急に冒険者ギルドを作らなければ』と日記に書いてあった」


「奴とは?」


「名前はわからないが、キーラと同じで前世の記憶を持っていた者らしい。そして、教会に殺された可能性があると日記に書いてあった」


日記には、彼がいなくなり探した事や、教会に連れ去られた可能性があると書かれていた。

そして数日後の日記に、「教会の奴らは不気味だ。奴らがあいつを殺したかもしれない」と書いていた。

その辺りから、教会をかなり警戒していたのが日記からわかる。

殺された彼が、教会に対抗する団体を作る切っ掛けだと言えるだろう。


「前世の記憶を持った者がキーラ以外にも……。今も探せば、前世の記憶を持っている者が見つかるでしょうか?」


「それはわからない。ただ、今俺が知っているのはアイビーだけだ」


「そうなのですか?」


ドルイドを見て頷くと、彼は少しがっかりした様子を見せた。


アイビーの為に探したいのか?


「ドルイド、話を戻すが。俺が『未来を変える力』と言ったのは、彼らが持つ記憶と知識の事だ」


「記憶と知識?」


「あぁ、教会に対抗する団体も冒険者ギルドも、キーラが持っていた前世の記憶を活かして作られたようなんだ。そしてその2つの組織は、冒険者の未来を変え、多くの人の未来を変えた。そしてアイビーも、前世の記憶から、未来を変えてくれた」


「アイビーが?」


俺の問いに、ドルイドは首を傾げる。


「こめだ。これまでも、不作や人口が一気に増えた事による食糧不足を補う為に、こめの普及に努めてきた。でも、今までは上手くいかなかった。それなのに、焼きおにぎりが話題になると、こめへの拒否感が一気になくなった。あと『丼』シリーズな。あれは冒険者達に大好評だ。作る方にも簡単で大量に作れると人気だしな」


「美味しい物の前では、これまでの常識など吹っ飛びますよね」


ドルイドの言葉に、俺は首を傾げる。


「焼きおにぎりを販売した時、最初は怪訝な表情をしていたのに、美味しいとわかった瞬間、皆の態度がコロッと変わったのを目の前で見ましたから」


「そうなのか?」


「はい。今までの、皆のこめに対する態度から、これくらい売れれば大成功という数をたった1日で売ってしまいましたから。あれは嬉しかったですが、大変でした」


「そうか。俺も見たぞ。『家畜のエサなど口にできるか』と言っていた伯爵が、数日後に『あの店の焼きおにぎりが一番だ』と言っているのを。聞こえた瞬間、思わず立ち止まってしまったからな」


俺の言葉に、ドルイドは笑う。


「そういえば、キーラの日記に『美味しいは正義』という言葉があったな。読んだ時は意味がわからなかったけど、あれは『美味しかったら、今までの常識を覆す』という意味だったのか?」


俺の呟きにドルイドも首を傾げる。


「どうでしょうね? でも、美味しいは、確かに何かを変えますね」


「そうだな。焼きおにぎりが広まってから、食料不足による嘆願書が来なくなった。それはアイビーが焼きおにぎりという料理を作ってくれたお陰で、こめに対する印象が変わったからだ」


こめはどこででも手間なく育つ食材だから、こめに対する印象を変えてくれて本当に助かった。


「アイビーが前世の記憶から未来を変えたというのは、餓死で亡くなる者が減ったからですか?」


ドルイドの問いに頷く。


「あぁ、商人が頑張ってこめ料理を広めてくれたお陰もあるけど、アイビーがこめを使った料理を作ってくれたお陰だと思っている」


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― 新着の感想 ―
かわいいは正義なんだわ。
こめをどうしても食べたかった転生者が光の教会で願ったから、どんな土地でも収穫できる作物としてこめが出来たんだよ。 あ、食糧難を解決したいって想いも籠ってる。 だから他の作物が育たないような土地でも勝…
アイビーが見た過去で雑草かなにかのごとく米生えろっていってたのもしや・・・
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