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プロローグ
高校生活最後の春ーーーー
「……あ」
消しゴム忘れた。
「じゃあテスト用紙配るから筆記用具以外の荷物しまえー」
ヤバイヤバイヤバイッ、消しゴム忘れるとか、なんて典型的なミスしてるんだよ……っ
「……どうしたの?」
「消しゴム忘れちゃって……っ」
奇跡的に鞄の底とかに落ちてないかな……なんて鞄を開けて隅から隅まで探すけどやっぱり無いものはなくて。
「……これ、良かったら使って」
「え……?」
隣から差し出される消しゴム。と、白く透き通った手。
「予備で持ってきてたから」
そう言われ、手に取る。礼を述べようと顔を上げたその時。
「ありが……と…………」
「……どういたしまして」
ーーーー僕は、恋に落ちた。