使徒たちとの対話
すると師はあからさまに振り向いてこう言われた。
「よく聞け、君たちは間違っている。重ねて言おう、君たちが行っていることは間違いなく、間違っている、いや、間違っている」
子供たちは唸り声を上げた。ますます速度を上げたようだった。
「それじゃ何が言いたいのかわからない、というのも訳が分からない。というより、わけが分からない。なんで怒ってるんだ」
子供たちは奇声を発した。さらに数が増えたようだ。
師は崖の淵まで追い込まれた。それからもんどりうって飛び降りた。背に腹は代えられない。
思いがけぬ投身者に驚いて女神の相貌をした湖は相好を崩し、崖には子供らが夥しく群がり犇めき合った。子供たちは湖の中までは追いかけてこなかったが、それというのも女神がゆっくりと憤怒の渦を立て始めていたからだ。師は渦中の人だ。
「おうい引き上げてくれ」
師が私の名前を呼ばれたので、私は何とか師を陸に引き上げた。また火中の栗を拾ったな、と師は言った。
「天使と見て話しかけたのが間違いだった。あれは人でも神でもない、まして至高のものとは程遠い中間の存在だ」
私は師がそう言うのに恭しく耳を傾けながらまめまめしい態度で、火をおこし、師の服を乾かし、コーヒーを淹れた。なぜなら私はコーヒーが好きだからである。これを漁夫の利という。
「一方、私は見ての通りの凡人だ、けっして至高の者には近づけまい。しかし目標を見失ってはならん。目標なき旅は怠惰だ。怠惰は凡人の特性だ。というわけで今言ったことはすべて反語だ、いや逆説かな」
師はいい具合に焼けた栗を口に入れて立ち上がった。それから美味い、と言って微笑んだ。