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南雲兄弟の秘密。  作者: ゆきうさぎ
◇第1部
3/24

双子の弟がきたようで(3)





突然だが、南雲兄弟はイケメンだ。


今年の2月。

俺たちが1年生の時、そいつはいきなり転校生としてやってきた。

女子か!?

女子がいい。

というか女子であれ!

という期待薄な希望を胸に、学園の男子生徒はときめいた。

その希望をいともたやすく打ち砕いたのは、この学園の男子生徒が最も望んでいない人種の人間だった。


「南雲棗です。烏丸学園から転校してきました。よろしくお願いします」


ぺこりと頭を下げたそいつは驚くほどにイケメンだった。

この時の衝撃は後にも先にもこれっきりだろう。

一握と言っていいほどの女子のハートを一瞬にしてつかんだのは言うまでもなく。

転校生がイケメンすぎるという噂はあっという間に広まって、数え切れるほどの女子からの猛アタックを受けるのが習慣となっている。

顔だけならまだしも、南雲は勉強も運動もできる男だった。


問題を解かせれば非の打ちどころもないほど完ぺきな回答を黒板に書く。

課題をやらせれば先生が知らないことまで予備知識としてまとめる。

運動をやらせれば経験者も舌を巻くほどの完ぺきな動き。

入部したサッカー部ではすでにエースだという話だ。


圧倒しすぎて、もはや嫉妬する気にすらならない。

それが、―――――――南雲棗という男だった。




そのわずか3ヶ月後。


桜もすでに散り、緑色の葉が色づいてきた5月半ば。

もうすぐ梅雨だね、なんて友達と語り合っていた時だった。


「烏丸学園から転校してきました、南雲樹です。よろしくお願いします」


と言った転校生がやってきたのは。

今度こそ女か!?とまたもや期待薄な希望を抱いていた俺たちを打ち砕いたのはまたしてもイケメン。

が、しかし、その顔には見覚えがある。

数か月前に同じような顔をした男がこの学園にやってきたのではないか。


栗色の髪をうなじが軽く見えるほどの長さにした彼はふわふわとワックスで遊ばせている。

160㎝ちょっとだろうかという、男にしては少し低めの身長。

男なのかと少し疑うような細めの体。

なにより特徴的なのはその顔。

女顔の男、というのはああいうことを言うのかと妙に納得した。

顔のパーツはどれをとってもあの男に似ているのに、配置と雰囲気が違うだけでこうも変わるのか。


俺たちが期待した可愛い子、という願望は思いもよらぬ形で叶ってしまったようだ。




南雲弟は、兄同様、1週間もすればこの学園の名物と言えるほどに有名になった。

どうやら弟の方は女のみならず男にもモテるらしい。

南雲弟の可愛いと評される笑顔に、悶えるのは女子ではなく男子だ。


「南雲ちゃんって可愛いよな」


その可愛さから、南雲弟は男なのに『南雲ちゃん』と呼ばれている。

どうやらこの学園に来て、彼には波乱が待ち受けているようだ。












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