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ぼっちは転生してもぼっちでした  作者: 妄想大好きおじさん
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9.お姉さんを説得しました

「それじゃあ話も纏まったことだし、ご飯にしましょうか。」

「伯母さま!纏まっていません!何ですか!?私が学園に入学って!?」

「あら?ダメだったかしら?」

「ダメに決まってます!私にはこの者の見極めという任務があるんです!学園に通ってる場合ではありません!」

「だそうよ、カル君?」

「じゃあもし僕が入学するって言ったら、エレナお姉ちゃんはどうするの?僕が学園にいる間はお留守番?」

「名を呼ぶなと言っただろう。その時は付き人としてついて行く。」

「つまり一緒に学園に通うってことだよね?でも学園に通ってる場合じゃないんでしょ?」

「お前が学園に通うならばの話は別だ。その時は私も付き人としてついて行く。その方が監視がしやすいからな。」

「さっきの話で僕は学園に通うことに決めたよ。ということは、エレナお姉ちゃんも通うってことだよね?」

「そういうことになるな。」

「でも僕には魔力がないから、学園に入学することができないと思うんだ。」

「まあ、そうだろうな。」

「そこで、エレナお姉ちゃんが入学して、僕が付き人ってことにすれば、無事に学園に通うことができるよね?」

「確かに可能だな。」

「というわけで、よろしくね。」

「いや、ちょっと待て!やはり何かおかしいぞ!」


おかしいどころか無茶苦茶である。

論点のすり替えもいいところだ。

こんなの、「ならば学園は諦めろ。」で話は終わりだ。

なにせお姉さんが学園の入学に協力してくれなければ、こちらは打つ手がないのだから。

そしてお姉さんからすれば、そんなことに協力する必要がない。

はてさて、お姉さんはそこに気付くだろうか?


「何がおかしかった?僕は学園に通いたい。エレナお姉ちゃんは常に僕を監視していたい。エレナお姉ちゃんが入学して、僕が付き人になれば、どちらも達成できる。悪い話じゃないと思うよ?むしろ、行動が学園内に限定されるから、監視がしやすくなるんじゃない?」


追い打ちで、さもWin-Winの関係であるかのように話す。

そもそも学園に通わずとも俺の監視などできるのだ。

つまりこれは俺が一方的にWinなのだが、


「…確かにその通りだな。いいだろう、その話に乗ってやる。」


乗っかったー!!

やはり叔母さんの言う通り、思考が凝り固まってるのだろうか?

この調子だと悪い男に引っかからないか心配だ。


「ありがとう、エレナお姉ちゃん!母様、話は纏まったよ。」

「そうみたいね。それにしても、少し将来が心配だわ。」

「僕もそう思う。悪い男に騙されないといいんだけど。」

「お母さんは、カル君がその悪い男にならないかを心配してるのよ。」


なんですとー!?


「母様?僕、悪いダークエルフじゃないよ?」

「はいはい、カル君はいい子ね。」


くっ!軽く流された!

ちなみにお姉さんは話について来れてないようで、ハテナ顔をしている。


「それじゃあ、今度こそご飯にしましょうか。エレナちゃん、今日のところは座ってくつろいでいて。でも明日からはバッチリと手伝って貰うわよ。」

「いえ、お手伝いはさせて頂きますが、お世話になる訳にはいきません。自分の世話は自分でしますのでお構いなく。」

「あら、それはダメよ。今日からエレナちゃんは家族の一員なんだから。ウチには食事をする時は家族皆でっていうルールがあるのよ。ねぇ、カル君?」

「そうだよ、エレナお姉ちゃん。ご飯を食べる時は皆一緒にっていうルールだよ。」


例えそのルールがたった今出来たものだとしても、ルールはルールだ。


「…分かりました。それではご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。」

「そんなに畏まらなくてもいいのよ。もっと気軽に接してちょうだい。」

「いえ、これは私のケジメですので、譲ることはできません。」

「エレナちゃんがそう言うなら仕方ないわね。これからよろしくね。」

「よろしくね、エレナお姉ちゃん。あと、僕のことは名前で呼んで欲しいな。」

「…すまないが、それは出来ない。何故なら私はまだお前のことを認めていないからだ。」

「そっかぁ…。」


お姉さんの答えに、しょんぼりしたフリ(・・)をする。

ふっふっふっ、今はそれで構わない。

重要なのはそこではないのだよ、エレナ君。

君は気付いているのかね?

俺が”エレナお姉ちゃん”と呼んでもツッコミが入らなくなったことに。

今はそのことの方が重要なのだよ。


「…うん!僕ね、早くエレナお姉ちゃんに認められるように頑張るよ!」


これは掛け値無しの本音だ。

味方と思われる叔母さんの娘だということもある。

だがそれ以上に、エレナお姉ちゃん自身が真っ直ぐで好ましい性格をしている。

いきなり斬りかかってきたが、それも真面目な性格故だろう。

出来ることなら剣を向け合うのではなく、手を取り合う関係になりたい。

そんな真剣な気持ちで言ったのだ。


なので、エレナお姉ちゃんを思った以上に動揺させてしまったことは許して欲しい。

そりゃもう、顔を真っ赤にし、目を激しくキョロキョロさせて、チラッ、チラッとこちらを見るくらい分かり易い動揺の仕方だった。


「やっぱり将来が心配ね…。」


母様の溜め息混じりの呟きが聞こえた。



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