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後編 ~No.5起動~

 その兵器、女。

 その兵器、異常。

 その兵器、殺人機。

 その兵器、ナンバー05・ウーファイと呼ぶ―――


「いってらしゃい。私のかわいい娘……カオル」

 カオルは以前に、ナンバー01・イーワンに殺害された人物である。

 そう佐伯リュウによって、だ。


 そのあとのナキガラを、湯畑喜久子は極秘に人間兵器ナンバー05・ウーファイに改造していたのだ。

 そして今起動され、放たれた。

 全てを破壊し殺害するキラーマシンとして。

 ウーファイのAIには、ただ『破壊する』とだけインプットされている。

 まさに殺人機、だ。

「お前たちを破壊する」

 ターゲットにされた、木藤ガイトと井熊マモルはショットガンで応戦するも最新型の人間兵器には及ばず無残に殺害された。

「残るは人間兵器2体」

 人間兵器に埋め込まれている発信機チップを感知したウーファイはアルツたちの元へと走った。


「来る改造を受けないなら逃げて」

「俺は、俺には責任がある」

 アルツは逃げようにも、逃げられなかった。


 責任――

「俺は人間兵器してに責任をまっとうする」

 アルツの答えは正しかったかは不明だ。

 ただ言えるのは、今の状況を何とかしなければいけないということだ。


「ふふ、見なさい人間兵器は戦うしかないのよ」

 それを監視カメラ越しに見ていた湯畑は、秘書の津田の肩を何度も叩く。

「ごめんさい局長。もう耐えられません」

 バーンと銃声が室内に響き渡る。

「あなた……どうして?」

「私の兄は人間兵器によって殺されまた。もうこんな悲劇は見たくない」

 津田は、湯畑を殺害して緊急停止ボタンを押す。

 しかし何度も押すがウーファイは止まらない。

「緊急停止ボタンなんて存在しないわよ」

 胸から血を流して立ち上がる湯畑は、津田を撃ち殺して再生した。

「ふう、治癒装置も健在ね」

 当時の佐伯リュウ同様に湯畑も治癒装置を体に埋め込んでいた。


「あなたは治癒装置は健在みたいね?」

「ああ、十分戦える」

「はい金塊」

 レイゼーロは金塊をアルツん渡した。

 それを削り取りアルツは金粉を飲み込むと、異常なまでにパワーがみなぎってきた。

 そして最終戦闘が始まろうとしていた。


 完全なる人間兵器ウーファイは素早くアルツたちの攻撃をかわしながら着実に迫てくる。

「これが、ナンバー05の実力」

「ひるむな」

 あと退りするレイゼーロを励ますようにアルツは応戦する。

 肉弾戦に持ち込むアルツ。

 治癒装置のおかげで回復しつつ戦えるが、ウーファイの攻撃速度が速いため回復速度が間に合わない。

「困ったもんだ」

 アルツは苦戦を強いられる。

 レイゼーロはとっさに落ちていたショットガンを後ろから撃ちこむ。

「ナイスアシストだ」


「ぐぬぬぬ……怖い、人間兵器は怖い……」

 一瞬だけ人間の心を取り戻したウーファイ。

「結局、俺たちと同じか」

「いいえ、それ以上の苦しみだわ」

 アルツたちは、ウーファイを同情する。


「選択肢は2つか?」

「殺すか、生かすか。苦しい選択ね」

 その時、後ろからショットガンを撃つ人物がいた。

 高島キリコ、だ。

「やっぱりここなのね」

「キリコ来るな」

 アルツがキリコに近づこうとしたとき、キリコはアルツをもショットガンで撃つ。

「もう、うんざりよ」

 怒りと、悲しみでキリコは泣いていた。

「そうよ、あの時人間兵器は全員殺しとけばよかったわ」

 撃ちづけるキリコに対し、ウーファイは敵と認識し迫る。

 ショットガンの弾が切れてしまった。

「危ない」

 アルツがキリコをかばおうとしたが遅かった。

 ザクっとウーファイの鋭い手がキリコの心臓を貫いた。


「キリコー」

 アルツの怒りが頂点に達した時だった。

 何とも知れない暖かいオーラが辺りを包む。

 それはオレンジに輝いていた。


「なにこれ?」

 レイゼーロは不思議と心が温和されていくのが感じて取れた。

 ウーファイも例外ではなかった。


「ついに発動してしまったか」

「あなたは?」

 レイゼーロは、その人物をなんとなく知っていた。

「私はザットズの局長、湯畑喜久子よ。はじめまして。それよりも説明するはわ、今起きている現象は治癒装置の共鳴よ。これは、佐伯リュウが過去に開発した戦争根絶の証」

 湯畑はため息をつくと話を続けた、

「これは人間の怒りに反応して、その感情を鎮めようとして共鳴しオレンジいろのオーラが周囲を包み皆の感情や闘争心を温和するものよ。佐伯はこれを世界中に配備して戦争を無くそうとしてたの。このシステムをマイルド・システムって言うの」


「マイルド・システム、知っているような気がする」

 レイゼーロは必死に思い出そうとする。

「むりもないわ、あなたたちの記憶は消されているもの」

 湯畑はクスっと鼻で笑う。

「再起動なさい」

 そういうと人間兵器たちの再起動ボタンを押した。


 アルツたちはまた平和な日常へと足を踏み入れた。

 一連の記憶は、無い。

 いや、知らないほうがいい。


「ウーファイ……いいえ私のかわいい娘、カオルちゃんもう少しだけ眠っていてね」

 来たるべき日までナンバー05は再び眠りにつく。


 ▼ファイルナンバー05―――

『これは片隅に置かれた人間兵器、闇の歴史である』


 そっと本を閉じる少年は深く目を閉じ瞑想する。

「僕にも人間兵器の血が流れている……のか?」


 少年の名は、高島タツジ。アルツの子孫である。

 タツジは戦場へと向かった、人間兵器がはびこる戦場へと―――



 No,2 ~再起動~ 〈完〉

読了感謝!!

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