淡雪
男性同士のカップル、俗に言うボーイズラブ小説です。
ボーイズラブに偏見がある、ボーイズラブが苦手、という方は
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大丈夫、どんとこい、という方のみドウゾ。
ひらひら、ゆらゆら。
空から降りてきた雪が宙を舞う。
僕が、一年で一番待ち遠しくて……愛しい、冬。
この季節になると、僕はつい視線を巡らせてしまう。
彼の姿は無いかな、と。
気ままに空中をさまよった雪が、ゆっくり僕の方へと降りてくる。
そんな雪に、彼―――生冬の姿が重なった。
「いつもいつも、いったい何処をさまよってるんだかね」
微苦笑を浮かべて問いかける。
今、どこに居るのかも分からない生冬に向けて。
「どっか、フラフラしてないで。
たまには、真っ直ぐ僕の所に会いに来てくれればいいのに」
穏やかな笑みを浮かべて口にした言葉は、恥ずかしかったりむず痒かったり色々で、生冬の前では言えないけれど。
誰よりも先に、まず僕に会いに来て欲しいというのは、確かに僕の本心だ。
広げた手の平に、ふわりと雪が降りた。
すぐに、溶けてなくなってしまう。
―――君に、会いたい。
―――好きだよ。
―――愛してる。
僕の手に降りて溶けた雪から、そんな想いも一緒に溶けて、溢れてくる。
「…ふふっ………本当、何やってんだかね」
思わず、笑いがこみ上げた。
雪にそんな想いを込めてしまう程なら、早く会いに来ればいいのに。
本当、何をやっているのだか。
「……僕は、此処にいるよ」
早くおいで、そんな想いを込めて、僕は両手を空に伸ばす。
あたりを舞う雪が、冷たいのに暖かかった。
「―――キトウ……」
僕の、愛しい人。
20080328-20080328
稚拙な文章に最後までお付き合い下さいまして有難うございました*_ _))
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