第05話 内部分裂と商店街
ファンクラブに目をつけられ、内心げんなりな和真、そこに追い討ちを掛けるような話が……なんとファンクラブが二つの党派に分かれたという!
トペルカ初のオリジナル小説第5話が今、始まる。
なんとか予鈴が鳴っている最中に教室に入れた俺達、自分の席に着くと洋介が話しかけてきた。
「やぁ、今日は随分ぎりぎりな登校だね」
「おう、ちょっと色々あってな。と、そうだ洋介、昨日は助かった。ありがとう」
「昨日? 何のことだい?」
「ファンクラブと学食無料券の事だ」
「あぁ、あれね。別に大した事じゃないさ。無料券なんて貰い物だし。それより僕はファンクラブの方が気になるね。何かされたかい?」
「まぁな。なんとか撒けたけど」
「そうかい、それはよかった」
「正直奴らがこれで終わってくれる事を願うが……」
「まぁ無理だろうね」
洋介が不穏な事を言う。
「やっぱりそうか……」
わかってた事だけどな。
「と、言いたいところだけどそうでもないんだ」
「何? それはどういう事だ?」
「今ファンクラブは内部分裂しかけているんだよ」
「内部分裂? どういうことだ?」
「今、ファンクラブ会員が何人いるか知っているかい?」
「人数? そうだな、ざっと30人くらいか?」
「和真……君本当はファンクラブ会員なんじゃないのかい? ビンゴだよ」
「冗談じゃない、なんであんな奴らと一緒なんだ。というか30人もいるのか……」
30人……冗談じゃない。
「でも少なくなったほうだよ。去年は40人は居たからね」
「40人……」
今の生徒数の約1クラスぐらいかよ……。
「で、その人数がどうかしたのか?」
「その30人いるファンクラブなんだけど、今はほぼ半々に分かれているんだ」
「何?」
「今のファンクラブは実質二つの派閥がある。一つは今までどおり宮沢智子派」
「ふむ。もう一つは?」
「もう一つは河上梨乃派。まぁ今でこそ派閥と言われてるけど明日辺りに完全に別々のファンクラブになるんじゃないかな?」
「そうなのか……って、河上梨乃派!?」
おいおい、ちょっと待て、それってかなりまずいじゃねーか!
「え? 私がどうかしたんですか?」
俺の声に反応して美冬達と話していた河上さんが俺のところに来る。
「えと、ごめん、なんでもない」
「? そうですか」
そう言って何も聞かずに美冬達の元へ戻っていく。
この辺の純粋さに少し感謝する。
「で、どういう事だ?」
「どうも何もそのままの意味だよ。」
そりゃそうか……。
「なぁ聞くまでもないと思うけど俺ってかなりやばい?」
「んーそれについては大丈夫だと思うよ」
「え? なんで?」
「実はファンクラブには穏健派と過激派があるんだ。基本的に過激派は昨日言ったとおりいじめに近い事をやる奴、穏健派は口だけって感じだね」
「なるほど」
ということは昨日の奴らは穏健派か?
「で、大丈夫って事は……」
「うん、たぶん和真の考えは合ってると思うよ。ほとんどの奴が穏健派なんだ」
「という事はそっちはそんなに意識する必要はないって事か」
それでも鬱陶しい事には変わりないが。
「正直過激派も大丈夫だと思うけどね」
「何? それは本当か?」
「これ以上彼女と仲良くならなければ、だけどね。過激派は確かに危ない人達だけどちょっとしたことじゃ動かないからね。さすがに告白した、とか過度なスキンシップをした、となれば別だけどね」
「ふむ……じゃあ実質この問題は解決したって事か?」
というか告白しただけでやられるってのもおかしい話なんだがな。
「まぁね、穏健派だけは執拗にくると思うけどそこはまぁ我慢するしかないね」
「わかった、それだけでも十分さ。洋介、ありがとな」
「別に気にしなくてもいいさ、もし何か面白いネタがあればよろしく頼むよ」
「あぁ」
「でも、河上梨乃派にも過激派が少しは居る事は忘れずに」
ん? 今すっげー重要な事言った気がするぞ。
「おい、今のどういう意――」
最後に洋介が言った言葉が気になり俺が聞こうとしたその時郷田先生が入ってきた。
「洋介、後でどういう意味か教えてくれよ」
「言わなくてもわかるんじゃないかな?」
そう言ってこの話は終わり、と言わんばかりに教卓の方を見る。
「おら~お前ら席に着け~。欠席者は……いないな。よし、今日は午前中授業だからといって気を抜かないように、以上!」
それだけ言って郷田先生が教室を出て行く。
はええ……まだ1分も経ってないぞ。まぁいいや、それよりさっき洋介が最後に言った事だ。過激派が少しはいる、か。そういえばほとんどが穏健派って言ってたっけ。
多少の用心はしておけってことか。
そう考えているうちに1時間目の授業の先生が来て授業が始まった。
---- 放課後 ----
その日の授業はつつがなく終わり、放課後になる。
「さて、河上さん。今日の予定大丈夫だよね?」
一応確認しておく。
「はい、大丈夫です」
「ん、わかった。」
次に俺は健吾の方へ行く。
「健吾、お前今から予定空いてるか?」
「ん? あ~わりぃ。俺今日から部活なんだ」
「そうか、今日美冬と河上さんを商店街案内をしようと思ってたんだが部活じゃしょうがないか」
「あぁ、また今度誘ってくれ」
そう言って健吾は荷物をまとめ教室を出て行こうとする。
「健吾」
「ん?」
「部活、頑張れよ」
「おう!」
健吾が元気よく返事をして出て行った。
「植野さん、部活だったんですか……残念です」
河上さんが本当に残念そうにする。
「まぁ仕方ないよ。また誘えばいいさ」
「はい」
「2人とも、準備できた?」
気が付くと美冬が前に立っていた。
「あぁ、俺は出来たぜ」
「私も大丈夫です」
「そう、じゃあ行きましょ」
「ん? 智子はいいのか?」
「ええと、智子なら――」
「ふぇえええええん! 私も梨乃ちゃんと一緒に商店街回りたいよぉおおおおおおおおおお」
そう叫びながら智子が梨乃に抱きつく。
「きゃっ! あ、あの智子さん……」
突然抱きつかれて驚く河上さん。
しかし、最初の頃はパニック状態だったのにもう驚くだけ、という領域に達したのか……。
俺は少し感心する。
「こ~ら、智子、しょうがないでしょ。それよりも離れなさい」
「うぅ~……」
「智子、今日何か予定でも入ってたのか?」
「ぐすん。うん、今日は家の手伝いがあるの……」
わざとらしく鼻をすする智子。この辺の演技は正直すごいと思う。演技部にでも入った方がいいんじゃないか?
「そ、そうか……それは残念だな」
「まぁ、あれだ、家の手伝い頑張って来い。冷やかしに行ってやるから」
「うぅー来てもいいけど出来れば何か買っていってよぉ~」
「相変わらず家の事になるとしっかりしてるのな……」
「当たり前だよぉ~。うちの家計が掛かってるんだからぁ」
「そうだな……まぁ、いつもお世話になってるし。というか今日も買いに行くつもりだけどな」
「うわ! ありがとう和真君、大――ムグムグムグ」
俺は危険を感じ、慌てて智子の口を塞ぐ。
危なかった……今のはかなり危なかった……。
こんな所で大好きとか言われた日には……そう考えただけで背筋が凍る。
俺達だけならまだ冗談とわかるが、他の奴らがいると……いや、ファンクラブの奴がいるとかなりやばいからな。
「んぅ~んぅ~」
智子が苦しそうにする。
「あ、わりぃ」
「もう! 和真君! なんでいきなり口を塞ぐの!」
「お前が問題発言をしようとしたからだ!」
「うぐ……」
言葉を詰まらせる智子。
「今のは智子が悪いよ。反省しなさい」
「はい……」
「ええと、という事だから俺と美冬だけなんだけどいいかな?」
「い、いえ! そんな、案内してもらえるだけで十分ですよ」
「そっか、じゃあ行こうか。っと先に学食の方がいいかな?」
「それもいいけどあそこに行かない?」
「あそこ? あぁ、それがいいな」
「? あそこ? あそこってなんですか?」
「ん~それは着いてからのお楽しみかな?」
「そうだね~。梨乃ちゃんもきっと気に入るよ」
「は、はぁ……わかりました」
「んじゃ行こうか」
「えぇ」
「はい」
「智子も一緒に行くだろ?」
「うぅ~途中までしか行けないよ……」
「行けるだけマシじゃないのか?」
「それはそうだけどぉ~。そうだ! 梨乃ちゃん!」
「は、はい。なんですか?」
智子の突然の大声に驚く河上さん。
「えい!」
智子が河上さんの腕にくっつく。
「あ、あの……」
「商店街に着くまでこのままじゃ駄目?」
「おい、智――」
「いいですよ」
「っていいのか!? 本当にいいの? 河上さん、嫌なら嫌って言えばいいんだよ?」
「ちょっと恥かしいですけど嫌じゃないです」
「そ、そっか……」
河上さんの順応力恐るべし……。
というかはたから見ると変な構図だよな。智子の奴歩きにくくないのか?
俺の心配を他所に3人は歩いて行く
まぁいいか。
俺は三人の元へ駆け足で向かった。
---- 商店街 ----
結局智子は途中で歩き疲れて河上さんの腕にくっつくのをやめ、普通に歩くことにした。
疲れるならやらなきゃいいのに……。
当の智子は商店街に着くと同時に寂しそうな顔で自分の家に向かった。
「さて、じゃああそこに行くか」
「そうね」
「はい、どういう所か楽しみです」
俺達は少し歩き出した。
商店街は平日だというのにそこそこの賑わいを見せていた。
「平日なのにすごい人ですね~」
河上さんがキラキラした目で辺りを見渡す。
「まぁな、結構うちの学生もいるし、ちょうどお昼時だからな」
「後この辺の学校がほとんど半日授業っていうのもあると思うよ」
「そうだな、席空いてるかな……」
「う~んどうだろう? もう一杯かも」
「ふぇー、そんな人気があるんですか?」
「うん、価格もリーズナブルで味もいいから学生に人気ね」
「そうですか~。すごく楽しみになってきました」
河上さんがワクワクを体で表現する。
「ほら、話している間に着いたよ」
俺は店の前に立ち止まり、看板を指差す。
「喫茶 葵 ……ですか?」
「そう。お、一応空いてそうだな」
「いらっしゃいませ~。喫茶 葵へようこそ~って和真君じゃない。久しぶり~」
「久しぶり~ってまだ2週間も経ってないですよ?」
「あ、やっぱり美冬ちゃんも一緒なのね。久しぶり」
俺の言葉を無視して美冬に話しかける葵さん。
この女性の名前は「神崎葵」さん、この喫茶店のマスター「神崎士郎」さんの奥さんだ。
「お久しぶりです。葵さん」
「あら? 今日は智子ちゃんと健吾くんはいないの?」
「はい、二人とも誘ったんですけど予定が合わなくて」
「そう、残念ね。あの子達すごく面白いから好きなんだけど……今度来る時はお願いね?」
「はい、二人にそう伝えておきます」
そうして二人して笑い出す。
「あの~葵さん。俺の言葉は無視ですか?」
「あ、ごめんなさいね。美冬ちゃんの顔が見れたのが嬉しくって、つい」
「もう、葵さん、大げさ過ぎですよ」
「ごめんごめん。と、それより二人の後ろにいる子が気になるんだけど……」
「ふぇ? 私ですか?」
「そうそう、初めて見る顔だからちょっと気になっちゃって。二人の後輩?」
葵さんが興味津々という顔で聞いてきた。
「違いますよ。クラスメイトで友達ですよ」
「え! 嘘! ご、ごめんなさい。すごく可愛いから私てっきり……」
申し訳なさそうに謝る葵さん。可愛いと表現している辺りちゃんと言葉を選んだようだ。
「い、いえそんな、よく間違われるんで大丈夫です。それよりもそんな、可愛いなんて……」
河上さんが顔を少し赤くして俯く。
河上さんって事あるごとに顔を赤くして俯いてる気がする。
元々恥ずかしがり屋みたいだししょうがないか。
「それより葵さん。案内しなくていいんですか?」
「あ! ごめんなさい。えっと3名様でよろしいですか?」
すぐに営業モードに切り替える葵さん。
「はい」
「3名様テーブル席ご案内しま~す」
そう言って俺達は喫茶店の1番奥の席に案内された。
「あれ? この席……」
俺はふと疑問に思った事を口にする。
「あの、葵さん俺達いつもこの席じゃないですか?」
「ええ、ここはうちのお得意様用の席……というか主人が気に入った人のための席だからね~。主人があなた達の事をすごく気に入ってるから空いてるときはここに案内するようにしてるのよ」
「そうだったんですか」
今まで何回もここに来た事があったがまさか気に入れられていたとは……。
「そんなわけで、ご注文がお決まりになりましたらお呼び下さい」
水とおしぼりを置いて葵さんが別のテーブルへ行く。
「さて、何食べようか」
俺はメニューを手に取り2人に見えるように広げる。
「私はいつも通りサンドイッチセットにしようかな」
「またサンドイッチか。美冬ここに来るとそれじゃないか?」
「しょうがないじゃない。すごく美味しいんだから」
「それは否定しないけどさ、たまには別の食べてみたらどうだ?」
「そういうカズくんはどうなの?」
「俺か? オムライスだけど?」
「カズくんも私と同じじゃない」
呆れる美冬。
「いや、違うぞ。いつもは特製オムライスだが、今日はハヤシオムライスだ」
「それって屁理屈だよ。河上さんもそう思うよね?」
「ふぇ! えとえと……」
突然振られて驚く河上さん。
「その、同じだと思います……」
「何っ!?」
「ほら、カズくん、私の言ったとおりでしょ?」
「くっ、しかし……」
オムライスとハヤシオムライスは絶対別物だ! そうだよな?
って、俺は誰に向けて言ってるんだ。はぁ……。
「今回はそういう事にしよう……」
「今回は、って何よ。今回はって」
呆れる美冬、すると――
「クスクス」
美冬の隣で見ていた河上さんが急に笑い出す。
「どうかしたの? 河上さん」
「あ、すみません。二人のやり取りが面白くって、つい」
「そんなに面白いか?」
「はい、だってこれだけの事でこんなに会話が弾むなんて羨ましいぐらいです」
俺はなんとなく美冬の方を見ると美冬と目が合った。
すると突然美冬が笑顔になる、俺はそれに釣られて笑う。
「どうしたんですか? 二人して一緒に笑ったりして。私変な事言いましたか?」
河上さんが不安そうに俺達を見つめてくる。
「いや、客観的にみたら俺達ってそう見えるんだな~と思っただけ」
「そうね。でも私たちそういう風に見られてたんだ」
「あぅ……すみません」
「なんで謝るの? 謝る必要ないじゃん。というかこれからは河上さんもこっち側に来てもらうからね。グヘヘヘ」
俺は不気味に笑ってみせる。
「カズくん、ちょっと怖いよ……」
「冗談だって。まぁそういうことでこれでおしまい」
「は、はぁ……」
「ところで河上さんは何にするか決めた?」
「あ! すっかり忘れてました! えとえと……」
河上さんがメニューを一個一個確認するが一通り見終わった後、俺にメニューを見せてきた。
「あの、オススメってどれですか?」
あぁ、決まらなかったのか。ここの喫茶店の写真付メニューどれも美味しそうだからなぁ。
「そうだな。んーどれもオススメじゃ駄目か?」
「カズくん。それじゃあ答えになってないよ……」
「そうだけど、実際全部オススメだろ?」
「それはそうだけど……」
「という訳で全部オススメなんだ。すまん役に立たなくて」
「い、いえ、どれも美味しいって事ですよね? えと、じゃあ美冬さんと同じものにしようと思うんですけど……」
「サンドイッチか、まぁここのは普通にうまいからな、いいんじゃないか? あ、サラダとカツとミックスどっちにする?」
「ふぇ? 種類があるんですか?」
「それは私が説明するわ。えっとね、サラダはそのままサラダ中心の物ね。カツは定番のカツサンドやチャーシューサンドっていうのがあるの。で、ミックスはその名の通り二つを合わせた物ね。ちなみに私がいつも頼むのはミックスだよ」
「そうなんですかーじゃあ私はサラダにします」
「あ、梨乃ちゃん。飲み物はどうするの?」
「え? 飲み物ですか?」
「うん、サンドイッチには飲み物が付くのよ。一応この中から選べるんだけど……」
そう言って美冬が河上さんに選べるドリンクが載ったメニューを指差す。
「えぇとじゃあ、紅茶でお願いします」
「ん、わかった。紅茶ね。じゃあ店員さん呼ぶけどいいかな?」
「いいよ~」
「はい」
2人に確認を取り呼び鈴を鳴らす。するとすぐに葵さんがやってきた。
「お待たせー。注文決まったの?」
やってきてはいいがかなりフランクな挨拶をしてきた。
「葵さん、俺達客なんですからもうちょっとまともな接客しませんか?」
「別にいつもの事でしょ。そんな細かい事いちいち気にしてたらモテないわよ?」
葵さんが笑いながらそう言ってきた。
まぁ、確かにいつもの事だけどさ。たまには普通に接客して欲しいよな…。って……
「余計なお世話です! というか俺は元々そんなにモテないですよ」
「あらあら、美冬ちゃん、和真君こんな事言ってるわよ?」
「え!? な、なんで私に振るんですか?」
葵さんに振られて美冬が動揺する。
美冬の奴なんであんなに焦ってるんだ?
「なんでって、だって美冬ちゃん和真君の事――」
「わぁああああああ!」
突然美冬が大声を上げ、周りから注目される。
まぁ注目されるって言っても一番奥で仕切りがあるからほとんどの人が見えないけどな。
「あ、葵さんちょっとこっちに来てください!」
そう言って美冬が葵さんの腕を引っ張りその場から離れていく。
「美冬の奴急にどうしたんだ?」
「え? 荒木さん気づいてないんですか?」
「??? 気づく? 気づくって何が?」
「そ、そうですか、気づいてないんですか。はぁ……」
河上さんが少し呆れとも安堵とも取れるため息をつく。
俺なんか変な事言ったか……?
少し自分で考えてみたがまったく持って河上さんがため息をついた理由がわからなかった。とりあえず俺は正直に答えることにした。
「ごめん、河上さんが言っていることがよくわからないんだけど……どういう事?」
「わからないならわからないんでいいです。気にしてないでください」
「気にしないでと言われてもなぁ~」
余計気になるのが人間ってもんだろ?
「本当になんでもないんです。気にしないでください」
いつもより強い口調で俺に言ってきた。
なんなんだろう……河上さんがそこまで気にするなって言うなら追求しないけどさ。
「……わかった」
俺はとりあえず頷くことにした。
「はい」
俺がそう言うと笑顔で答えてくれた。
---- 数分後 ----
「はぁ~……」
しばらくすると美冬がため息をつきながら戻ってきた。
「お、お帰り」
「お帰りなさいです」
「うん、ただいま」
「ところで美冬、葵さん連れて――」
俺がそう言おうとした矢先にあるオーラを感じ、正面を見ると河上さんが笑顔で俺を見ていた。その笑顔は俺に『聞きませんよね?』と言ってる様に見えた。
やめておこう。なんか怖い。まさか自分より身長が頭二つ分低い子に恐怖を感じるとは……。
「ごめん、なんでもない」
「そ、そっか」
なんか気まずいな……。話題を変えるか。
「っとそうだ。注文しないとな」
「あ、待って!」
呼び鈴を鳴らそうとしたのを静止される。
「注文ならさっき葵さんに言っておいたよ」
「あ、そうなんだ」
「うん」
しばらくすると葵さんがやってきた。
「お待たせしました~。サンドイッチのミックスとサラダです」
河上さんと美冬の前にサンドイッチが置かれる。ふむ、やっぱ値段の割りに量があるよな。
というか今回はちゃんと接客してるし。
「何? 和真君、不思議そうな顔してるけど」
「あ、いえ。普通に接客してるな~と思いまして……」
「和真君のご所望を素直に受けたんだけどな~?」
葵さんが意地の悪い笑みを浮かべる。
「すみません、いつも通りでお願いします……」
なんか怖い……。
「わかればよろしい」
「ふぇ~結構量があるんですね~」
急に河上さんからそんな声が上がった。
前を見ると驚いた様子でサンドイッチを見つめていた。
「ここは値段の割りに量が多いからな。ほんと、学生の味方だよ」
「うちを褒めてくれてありがと。でも、褒めても何も出ないわよ?」
「いや、別に何か求めている訳じゃ……」
「本当に冗談が通じないわね。和真くんのはもうちょっと掛かるから待っててね」
そう言って葵さんが戻っていった。
「葵さんほんと相変わらずだな」
「あははは……」
美冬が苦笑を浮かべる。
「じゃあ悪いけど先に食べるね」
「すみません、お先に頂きます」
「おう、ゆっくり味わってくれ」
「セリフだけ聞くとカズくんが作ったみたいだよ……」
「何、気にするな。それより河上さんの感想を早く聞きたい」
「え? あ、はい。今食べますね」
「いや、別にそんな急がなくてもいいんだけど……」
「っ!?」
サンドイッチを一口食べた河上さんの目が見開かれる。
「どう?」
まぁ聞かなくても反応をみればわかるけどな。美冬も最初あんな感じだったし。
「す、すごいです……パンは程よい柔らかさで野菜はシャキシャキなのに全然水っぽくなくてそれなのにすごくしっとりしていて食べやすいです。それにこのドレッシングが野菜の美味しさを更に引き立てていてパンにもよく合ってます。すごいです……」
河上さんが感無量という様子で評論家のような感想を述べる。
「そ、そっか、そんなに美味しいのか」
「はい♪」
河上さんがとびっきりの笑顔で頷く。
「よかった。梨乃ちゃんが気に入ってくれて」
「そんなの当たり前ですよ! こんな美味しいの食べたの初めてです!」
河上さんが少し興奮気味に答える。
「やっぱり、最初にここに来てよかったね」
「ん? あぁ、そうだな。ところで俺のまだかな……」
そんなこんなでサンドイッチを話題に盛り上がること数分、ついに俺のハヤシオムライスがやってきた。
「ごめ~ん。お待たせ」
そう言って俺の前にオムライスを置く葵さん。
「いえ、ありがとうございます。じゃあさっそく……」
俺はスプーンを手に取り、ケチャップライスの上に乗っている半熟卵をうまく切る。すると
ふわトロの卵がケチャップライスの全体を覆う。
「うし、うまくできたな」
そしてソースボート(ランプの様な形をした食器)を手に取り少しずつオムライスにかける。
「ふぇ~すごく美味しそうです……」
オムライスがきてからずっと見つめていた河上さんがそんな声をあげる。
「んー少し食べてみる?」
「え!? いいんですか?」
「うん、別にいいよ」
というかそんな目で見つめられて断れるわけないだろ。
「ありがとうございます。あ、でもスプーンがないですね……」
「そういえばそうだな。これ、まだ使ってないから使う?」
「それは嬉しいですけど、その、先に頂くというのは……」
「別にいいよ。どうせここにきたらよく食べるし」
「わかりました。では、頂きますね」
手渡したスプーンを手にライスとハヤシが乗った卵を掬い、食べる。
「うわぁ~……」
口に含んだ瞬間、驚きとも感動とも取れる声をあげる。
「これすごく美味しいです……こんなオムライス食べたことないです……ご飯がベタ付かないでパラパラで卵もいい感じに半熟……そしてこのハヤシソース……もしかして自家製じゃないですか?」
「お、よくわかったな。ハヤシソースはここの主人の自家製だそうだ」
「やっぱり……すごいです……」
河上さんが少し放心状態になる。
そ、そんなに美味しかったのか……俺が食べたときも感動したがここまでじゃなかったぞ。感受性がちょっと豊か過ぎないか? まぁ、また一つ河上さんの事がわかったって事でいいか。
「あっ! すみません、スプーンお返ししますね」
放心状態から復活し、スプーンを返してきた。
「おう、んじゃ俺も食べるか」
俺はそのままそのスプーンでオムライスを口にする。
「あ……」
口に入れた途端、河上さんが声をあげた。
「ん? 何? 河上さんどうかした?」
どうしたんだろう? もう一口食べたくなったのかな? でもそれにしては少し顔も赤いような……。
「い、いえ! なんでもないです」
そう言って自分のサンドイッチを食べ始める。
「カズくん……」
隣を見ると美冬が呆れた顔をしていた。
どうしたんだろう? ん? 待てよ……俺は食べる前に何をした? 河上さんが食べたそうにしてたから『別にいいよ』と言ってオムライスを一口あげた。なにで? もちろんスプーンで、そのスプーンは何処から? もちろん最初から付いている奴だ。そのスプーンは今何処に? 俺の手元にある。その後に俺がした行動は? そのスプーンでオムライスを一口食べた。 ……………………しまったぁああああああああああ!。
そこまで来てようやく河上さんの顔が赤い理由に気が付く。
「か、河上さんごめん!」
とにかく全力で謝る。
「俺、全然そんなの気が付かなくて、ほんとごめん!」
「い、いえ。そんな謝る程の事じゃ……」
「ごめんね、梨乃ちゃん。カズくんデリカシーないから」
美冬も一緒に謝ってくれた。
「ちょっと恥かしいですけど自分もその事考えていなかったんでおあいこです」
河上さんはそう言って優しく微笑んでくれた。
その寛大な心に感謝する。
「そ、そっか。今度からは気をつけるからさ」
「はい」
そんなこんなで昼食を終えた俺達は何処を紹介しようかという話になり、とりあえず自分達がよく利用する、知っていると便利な店を回ることにした。
「まずはここだな」
俺はその場で立ち止まる。
「本屋ですか?」
「うん、この町唯一の本屋だから覚えておくと良いよ。そこそこ大きいから色んな本があるけど参考書とかは少ない目かな。だよな? 美冬」
「うん、参考書とかはやっぱり都市に行ったほうがいいかも」
「わかりました~」
「んじゃ次行こう」
そこから数分程歩いていくと突然美冬が立ち止まった。
「どうした美冬?」
「あ、うん。ここの紹介しようかなっと思って」
美冬が立ち止まった店を見るといかにも男子禁制という雰囲気がした。
ここってもしかしてランジェリーショップ……? ここで止まっていると勘違いされるかな、離れよう。
俺は数歩離れて隣の店の前で待つことにした。
美冬の方を見ると河上さんに説明をしているようにみえた。
「お待たせ」
しばらくすると二人がこっちに来た。
「ずいぶん長い説明だったな」
「だって女の子だもん」
「そっか」
「じゃあ次だな」
そんな調子で家電製品屋、リサイクルショップ、CDショップ、スーパー、タイヤキ屋、たこ焼き屋……なぜか途中から屋台ばかり行っている俺達。そして次に行ったのが――
「やっぱりここを紹介しないとな」
「ゲームセンターですか?」
「うん、俺、美冬、健吾、智子とよく来るんだ」
「ふぇ~」
河上さんが物珍しそうにゲームセンターを見上げる。
「……もしかしてゲームセンター初めて?」
「は、はい。見た事はあるんですけど。中に入った事はないです」
「今時珍しいね。女の子でも結構中にいるよ」
「えぇと、うちは親に禁止されていて……」
「親に禁止か。厳しい人なんだね」
「い、いえ。その母に『ゲームセンターは不良の溜り場』とか『二度と帰らない貯金箱』と言われていたので……」
不良の溜り場っていつの時代だよ……いや、まぁ今でもいるけど殆ど絶滅危惧種だろ……。
貯金箱は……まぁ大体合ってるな。
「そっか。でも『されていた』という事は今は?」
「今は大丈夫です。けど……」
河上さんが不安そうに顔を伏せる。
「不安なのか」
「はい……」
うーん。出来れば一緒に入りたいと思ったんだが……。
(ねぇねぇカズくん)
そんな事を考えていると美冬が小声で話しかけてきた。
(ん? なんだ)
(梨乃ちゃん、誘う?)
(今どうしようか悩んでる。本人が不安そうだからさ)
(そっか……)
美冬がちょっと残念そうな顔をする。
(……けど誘うだけ誘おうと思う)
(そっか。でも梨乃ちゃんに無理やりは駄目だよ?)
(わかってるさ)
「あのさ、河上さん」
「何ですか?」
「もしよかったらだけどさ、今からここに入ってみる? 一人だと不安かもしれないけどさ、俺と美冬がいるし。あ、無理にとは言わないよ」
「えと、その…………入り……たいです」
河上さんがゲームセンタと俺を何度か交互に見つめた後、決心したようにそう言った。
「よし、わかった。じゃあ入ろうか」
「は、はい!」
「梨乃ちゃん、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」
そんなこんなでゲームセンターに入り、一通り回る。
「河上さん何か気になるゲームあった?」
「えと、その……もう何がなんだか色々ありすぎて……」
困惑した表情を浮かべる。
「そっか。うーんそうだなぁ~」
とりあえず初心者でも簡単に出来る奴で女の子でも楽しめる奴がいいよな。
………………。
しばらく考えるが思い浮かばない。
よくよく考えたらゲーセン一緒に来た事ある女の子って美冬と智子しかいないよな……二人とも普通に俺と健吾がやる奴に参加するし。
どうしたものか……。
そうやって悩んでいると俺の目に一台のゲーム機が映った。
そうかこれなら……。
「河上さん」
「なんですか?」
「あれ、やってみない?」
そのゲーム機に指を指す。
その指の先にあるゲーム機とは――
「カボカボパニック……ですか?」
「うん、これなら初心者でも出来るし、女の子でも簡単。ちなみに美冬は――」
「ちょ、ちょっと待ってカズくん! それだけは!」
ある事を言おうとしたら美冬が全力で止めに入ってきた。もちろん俺はその静止に耳を傾けない。
「このゲーセンのカボカボパニック、No1の実力を持ってる」
「え!?」
河上さんが心底驚いた表情をする。
「うぅ~カズくんのバカぁ……」
今にも泣き出しそうな顔でそんな事を言ってきたがとりあえず無視しておく。
「ほ、ほんとですか?」
「あぁ」
「す、すごい……美冬さんすごいです」
「え?」
河上さんの言葉が意外だったのか驚いた顔をする美冬。
「えと、その笑わないの……? 変、とか気持ち悪い、って……」
「??? どうして笑うんですか?」
「そっか、そうだよね。梨乃ちゃんはそんな事言う子じゃないもんね」
「????」
良くわかってない様子の河上さん。
「美冬が何気にしているかわからんけど。別にそんなの気にするなよ」
「でも、私女の子なんだよ? それなのに……」
「ごめん、その意味がわからん。女の子がゲーム得意じゃ駄目なのか?」
「…………うん。ありがとう、カズくん」
「おう、というかそんな事言う奴らなんてごく一部だろ? 気にすんなって」
「うん」
今まで暗かった表情が明るくなった。
「で、河上さん、これやってみない?」
「はい! でもどうやってやるんですか?」
「っとそうだな。まずは見本を見せるか」
100円玉を取り出し挿入口に入れる。
するとゲーム機から軽快な音楽と共に画面にカボチャをイメージさせるキャラクターが出てきた。
「僕達を止められるかな~」
そのセリフと同時にゲームがスタートする。
このゲームは4×3マスの穴があり、その穴から出てくるカボチャのオバケをハンマーで叩くゲームだ。
ステージが四段階あり、段階が上がる事に一度に出てくる量、出現頻度が多くなり、引っ込む速度も上がる。
これはどれだけポイントを稼げるか、というゲームなのだが1体につき、1ポイント手に入り、2段階になると2ポイント、3段階になると3ポイントになる。
このゲームの面白いところはチェーンシステムというのがあり、同時に出てきたモグラをすべて倒すと貰えるポイントが2倍になる。たとえば、1段階の時に2体同時に出て来たとしてそれを2体とも叩くと(1ポイント+1ポイント)×2、合計4ポイントになる。
もしこれが、3段階になると一度に6体も出てくる。もしこれを全部叩ければ(3ポイント×6)×2、合計36ポイントとかなりの高得点になる。
ちなみに完全パーフェクトを取ると更に上の4段階になる、こっちはポイントがなく、ただのエクストラゲームみたいな感じだ。4段階でパーフェクトを取ると(このゲーセンで取った人なんて美冬ぐらいじゃないか?)店側からクレーンゲームにある、ぬいぐるみを1つ貰える。
そしてこうやって説明しているうちにもゲームは進行している訳で。
俺このゲームあんま得意じゃないんだよなぁ~。
「おーすごいすごい……なんて言うと思ったのか? 出直してこ~い」
と毎度お馴染みのセリフを聴き、ゲームが終了する。
得点:115ポイント
「まぁ、こんなもんか……」
というかこの点数でそのセリフってのがかなりむかつく……。
1、2段階目は割りと楽なんだが3段階目からがかなり鬼畜になるんだよなぁ。
「お疲れ様、カズくん」
「おう、と、まぁこんな感じのゲームなんだけどわかったかな?」
「はい」
「じゃあこれ」
俺はハンマーを手渡す。
「はぁ~ふぅ~」
ゆっくり深呼吸をする河上さん。
「別にそんな緊張するような物じゃ……」
「す、すみません」
「いや、謝らなくてもいいけどさ。そうだな、俺が誘ったからな俺の奢りだ!」
挿入口に100円を入れる。
「あ、ありがとうございます」
さっきと同じように軽快な音楽と共にカボチャをイメージしたキャラクターが出てくる。
「僕達を止められるかな~」
と、ゲームが始まったのだが……。
「えい!」
「えい!」
「やぁ!」
必死にハンマーでモグラを叩く河上さん……と言いたいが見事に避けられてる訳で、2、3体に1回当たる程度か。
1段階目でこれか……。
「うぅ~当たらないです……」
ちょっと涙目の河上さん。
その調子で2段階へ。
「えと、えと、えと、えい!」
迷っているうちにどんどんモグラが引っ込んで行く。
うわぁ…………ここまで出来ないのも珍しいな……。
3段階目に入ると動きが完全に止まった。
「うぅ~」
「か、河上さん……?」
「全然当たらないです……」
「ま、まぁ初めてだから仕方ないよ!」
初めてでも普通はもっと出来るけどな。そんな事言わないけど。
そんな感じでゲーム終了。
「君、何しに来たの? まぁいいや、暇つぶしにはなったよ。じゃあね~」
ゲーム機からそんなセリフが聴こえてきた。
なるほど、点数がすごく低いとこんなセリフを言うのか。
「うぅ~せっかく荒木さんが簡単だってすすめてくれたのに……すみません」
「あ~いや、うん。こっちこそごめん。もっと簡単な物にすればよかったな」
「元気出して、梨乃ちゃん。智子も最初はそんな感じだったから。やっているうちに大分うまくなっていったよ」
さらりと美冬がひどい事を言う。
そういえばそうだったな……智子も最初の頃はあんな感じだったな。
「そうなんですか……」
「だから大丈夫、元気出して」
「はい」
その言葉ようやく笑顔を見せる河上さん。
「んーじゃあそろそろ出るか。他も周りたいしな」
「あ、ちょっと待って。最後にあれやっていこうよ」
美冬が指差す所にはプリクラがあった。
俺たちは美冬の提案通り、最後にプリクラを取る事にした。
右に美冬、左に河上さんという見事なハーレム状態で取る事に……。
「じゃあ撮るぞー」
「うん」
「はい」
「はい、チーズ」
撮ってしばらくすると写真が出てきた。
「この写真どうしよっか? 確かお店に言えばハサミを貸してくれたよね?」
美冬がそんな事を言い出す。
「ちょっと待ってくれ。それは俺が恥ずかしい」
そんな両手に花みたいな写真見られたら……。
「河上さんにあげればいんじゃないか?」
「え? いいんですか?」
「うーん、そうね。初めてなんだよね。じゃあ記念に全部、はやっぱり多いよね……」
「だよなぁ……」
「やっぱりハサミ借りてくるよ。3等分でいいよね?」
「……わかった。それでいい」
恥ずかしいけど我慢するか。
今度からはハサミを持ってこよう。
しばらくすると美冬が戻ってきた。
「はい、梨乃ちゃん」
写真を手渡す美冬。
「はい……ありがとう、ございます……」
手渡された写真を大事そうに抱える。
その目には少し涙が浮かんでいるように見えた。
「河上さん、どうかしたの?」
「い、いえ。何でも、ないです……」
「そっか」
何でもないように見えないから聞いたんだけどな。
本人がそういうならしょうがない。
(梨乃ちゃんどうしたんだろう?)
美冬が小声で話しかけてきた。
(わからん、けど嬉しそうに見えるかな)
(うん)
(たぶん、大丈夫だろう)
(そうだね。ヘタに入り込むとよくないよね)
(あぁ)
「っと、はい、これカズくんの分」
そんな話をしていると突然美冬が写真を手渡してきた。
「おう、じゃあ次行こうか、というか次で最後だな」
「最後ですか~どこか楽しみです」
先ほどの顔とはうって変わって笑顔を見せる河上さん。
「最後ってことはあそこだね」
「あぁ」
ゲームセンターを後にした後、俺達は最後にあの場所に向かう事にした。
ということで5話です。
えーと先に言っておきます……分裂するのはやっ! という突っ込みはなしでお願いします(ぁw
元々分裂はもうちょっと後の話の予定だったんですが、この小説の特性? 上大きく分けた2のイベントに分かれています。
たとえば5話では「内部分裂」というイベントと「商店街」というイベントというわけです。
それで前の話にどうつながるかというと……5話は元々「商店街」しか用意してなかったんです……!
せっかく今までやってきたのをやめるのはもったいないような気がしたので「内部分裂」を前倒ししたというわけです。
ちなみに前倒ししなければ8話に出てくる話になります。ちなみに、もし8話でこのイベントを挿すと8話の文字数が4万文字超えてしまいます(笑
というわけで、ちょっとした裏話でしたー!
…………9話のタイトルが決まらない(ボソ
ではこれからも「ガクモノ!!」をよろしくお願いします!
※6月2日 追記
誤字脱字、および文章の改行をしました
※8月18日 追記
誤字の訂正をしました。