第11話 美冬の本音と続・資料探し
18禁版もあるのでそちらもどうぞ。
---- Mifuyu Side ----
「はぁ~……」
今日何度目かわからないため息をベッドに寝転がりながらつく。
「わたしちゃんと笑えてたのかな……」
今考えているのは昼休みの事、自分ではちゃんと笑えてた……と思う。イマイチ自信がない。
「はぁ~」
そしてまたため息をつく。帰ってきてからずっとこの繰り返しだ。
トントンーー
そんな思考のループを止めるかのように扉がノックされる。時間帯的にたぶんお母さんだよね……。
「なぁに?」
わたしは気持ちが沈んでいるのを悟られないようになるべく明るい声で返事を返す。
「ねぇ、美冬。今日何かあったの? なんだか背中がすごく寂しそうだったけど……」
ドア越しで本当にわたしの事を心配そうに声を掛けてくる。
はぁ~、なんでわかっちゃうんだろう……。自分では明るく振舞ってると思うのにいつもお母さんに見破られる。やっぱり親だからなのかな……。普段はおっとりしている感じだけど妙に鋭いのよね、……それはカズくんにも言える事かな、いつもどこか鈍いのにこっちが触れてほしくないときだけ勘が鋭くなる。
と、今はカズくんの事考えている場合じゃないよね。
「ううん、何にもないよ。ちょっと疲れただけだから」
少し悩んだ挙句無難な返答を返す。
「そう、それならいいんだけど……。もし、何かあったらお母さんに相談してね?」
どうやら納得とまでは行かないけれど深くは追求してこないらしい。
「うん、わかった」
話が終わると同時にまたベッドに倒れる。
「はぁ~……」
わたしなにやってるんだろう……自分で資格がないって言っておきながら結局こうやって後悔してる。
梨乃ちゃんに嫉妬しちゃうなんて……わたし、ほんとうに嫌な子だな……。
「ねぇ、美冬」
そこへまたお母さんの声が聞こえてきた。どうやらまだドアの前に立っていたらしい。
「もし違ってたらごめんなさい。今美冬が悩んでるのってもしかして和真くんの事かしら?」
「っぅ!?」
図星……なんでそんなこともわかっちゃうんだろう。思わず少し反応してしまった。たぶん、聞こえたよね……。
「やっぱり……。カズくんと何かあったの? もしかしてケンカでもしたの?」
「ケ、ケンカなんてしてないよ! あれはケンカなんかじゃ――あっ!?」
気が付くが後の祭り、思わず勢いで言ってしまった。
あぁ……終わった……。
後はお母さんからの質問に答えるだけ、単純明快な工程。
「ケンカじゃないけど何か嫌なことがあった?」
「あったと言えばあった……のかなぁ……でもそれはわたしが悪いことだから……」
「そうなの? 美冬がねぇ……やっぱり具体的には教えてもらえない? お母さんじゃ頼りにならない?」
なんで……なんでそんなにわたしの話を聞いてくれるの……? わたしこんな嫌な子なのに……なんで……。
そんなお母さんの優しい声に思わず本音が出てくる。
「なんで……そんなに心配してくれるの……? なんでお母さんまで悩んでくれるの……? わたし、すごく嫌な子なのに……」
気が付くと涙が溢れて言葉に出してしまった。
「お母さん、美冬のこと大好きだから心配もするわよ、大事な大事な娘だもの。それに美冬は嫌な子なんかじゃないわ。優しくて、礼儀正しい自慢の娘よ」
「っ……そんな事ないよ……わたし嫌な子だよ……うぅ……」
だめ……止まらないよ……止まって……。
「何があったか話してくれる?」
お母さんのその優しい言葉にわたしはついに抑えきれなくなってしまった。
「ぐすっ……っん…………あの、ね……カズくんがね……その、始業日に話した梨乃ちゃんって覚えてる? 梨乃ちゃんなんだけど……その子が……ね、カズくんと付き合う事になったの……」
「そう、和真くんが……。それで美冬はどうしたの?」
「それを……ぐすっ……知ったときはちゃんと『おめでとう』て言ったんだけど……っ。やっぱり悔しくて……馬鹿だよね。ずっと好きだったのに……、変に理由付けて気持ちを伝えなかった自分が悪いのに……なのに、なのにね? わたし……梨乃ちゃんがすごく羨ましいの……なんで梨乃ちゃんなんだろうって思っちゃうの……っ……友達……なのに、嫉妬して……逆恨みして……わたし、すごく嫌な子だよ……うぅ……っ」
すべて吐いてみて気が付いた、なんでずっと悩んでたのか……悔しかったんだ。
でも対象が違った、カズくんと梨乃ちゃんが付き合った事がじゃなくて動けなかった自分が、気持ちを伝えれなかった自分が悔しかったんだ。それなのにわたしは……ほんと、逆恨みもいいところだよ……友達、なのに……。
「…………だって、和真くん」
え……? カズ……くん? そこにいるの……?
「…………その、なんだ……。まずは……盗み聞きみたいになってごめん」
「カ、カズ……くん?」
わたしは信じられなくて思わず聞いてしまった。
---- Kazuma Side ----
「カ、カズ……くん?」
美冬が確かめるように俺の名前を呼ぶ。まぁ、普通そうだよな……。
「あぁ、俺だ」
――――――――――
――――――
――
しばらく経っても美冬からの返事が返ってこない。
「み、美冬?」
あまりにも遅いので思わず呼んでしまう。
「っ! か、かかかかか……」
「か……?」
やっと声が聞こえたと思ったらよくわからない言葉を返されてしまった。
一体なんなんだ? 俺はなるべく聞こえるようにドアに耳を近づける、すると――
「か、カズくんのばかぁああああああああああああああああああああ!!!!」
脳に直接届いたような大音量の声が頭に響く。
「っ!?」
っ……み、耳が……。思わず耳を押さえるが耳鳴りが止まる様子がない。
「馬鹿、馬鹿ぁ……」
「美冬……盗み聞きした事もだけど今まで気付かなくてごめん……」
謝っても意味がない事ぐらい俺でも分かる。でも今の俺にはそうするしか出来ない。
「なんで謝るの……? カズくん何も悪くないんだよ……? 悪いのは全部……」
「……美冬、入るぞ」
俺は美冬の返事を聞かずにドアを開け中に入る。
「え? あ、鍵……」
美冬の部屋には鍵が付いている。だが、美冬は普段鍵を掛けない、まぁ鍵を掛けなくても返事を待ってくれる人達だけだからな、約一名を除いて……。
今回はそれが俺にとっては都合がよかった。
「うぅ……何で開けるの……?」
「美冬の顔をちゃんと見て話をしたかったから、それに鍵が掛かってなかったしな」
「普段鍵掛けてない事知ってるくせに……」
「そうだな……ずっと一緒だったからな、ずっと一緒だったのに気付かなかった。いや、ずっと一緒だったからかな。美冬はその……俺にとって幼馴染って言うより家族だと思ってるから……だから美冬の気持ちに気付こうとすらしてなかった。……ほんとにごめん」
「うん、わかってる。わかってたよ、ずっと……。それでもわたしはカズくんの事好きだった。ううん、今でも……。私にはその資格がないのに……」
「資格……? さっきもそんな事言ってたけど資格ってなんだ?」
「好きになる、資格だよ」
「……? ごめん、なんでそんなのに資格が必要なんだ?」
「わたしのせいでカズくん記憶なくちゃったから……だから……」
「……え? 別にそんな事――」
「そんな事じゃないよ!!」
今まで聴いたこともない程の大声で叫ぶ。
「そんな事じゃない! カズくんが歩んできた8年間を私が消しちゃったんだよ! 全然、よくないよ……っ」
「美冬……」
そこから先が繋がらない。そこまで気にしているなんて思いもしなかった。美冬は自分が悪いって決め付けてるけど本当は俺が美冬を縛っているんじゃないか? 俺が心の奥から気にしていない事を伝えなかったから……。
「っ……だから……だからぁ……っ」
もうただの言葉だけじゃ伝わらない、そう思ったときには体が動いていた。
「……っカズ……くん……?」
美冬を優しく抱きしめる。
「俺のせい……だよな。美冬がそんなに自分を追い込んでるなんて知らなかったから……ごめんな……」
「違う……っ! わたしが、わたしが……!」
「もう、いいんだ。確かになくなった8年は戻ってこない。でも、俺はそれ以上の物を……、大切なものを貰ってきたからさ、それは美冬のおかげだから……。本当に気にしてない。過去よりも未来を大事にしたい、だからこれからも俺の幼馴染として……もう一つの家族として見ててくれないか? 厚かましいお願いかもしれないけど……それでも見守ってて欲しい」
「……っ……そんな言い方……ずるいよ……。そんな事言われたら……頷くしかないじゃない……っ」
「あぁ、そうだな。俺もそんな気がする。だけどそれが俺の気持ちだ」
「ぅん……わかった……」
美冬が静かに、だけどしっかりと頷く。
「………………」
すべてを言い終えた後どうしていいかわからなくる。
「ねぇ、カズくん……」
「なんだ?」
「ずっと、このままでいいの? 梨乃ちゃん怒るんじゃないかな……?」
「そうだな……。でも梨乃ならわかってくれるよ」
「そっか……。それにしてもちゃんと名前で呼ぶようにしたんだね」
「あ……」
つい言ってしまった。まぁ別にいいか……。
「あぁ先輩にちょっと渇を入れられたから……」
「ふふ、一ノ瀬先輩らしいなぁ……」
「正直お節介過ぎるけど感謝してるよ」
「うん……。はぁ~……話は変わるけど梨乃ちゃんにちゃんと謝らないとね。こうやって抱きしめて貰った事とか……」
「え、そこ!? 別にそれは言わなくてもいいとも思うんだけど!?」
事情を話せば理解してくれる……と思うけど、思うけど……っ! 絶対最初の一言勘違いされるだろ……。
「ふふ、冗談だよ。この事はみんなには内緒。恥かしいし……」
「あぁ、そうだな……そうしてくれ」
「うん…………あ、そうだ、カズくん」
「なんだ?」
「ちゃんと言わないといけないと思って……おめでとう」
「あぁ、ありがとう」
---- 4月13日 ----
「おはようカズくん、梨乃ちゃん」
朝食を摂り終え玄関を出ると美冬が立っていた。
「お、おぉ、おはよう……」
「おはようございます、美冬さん」
「ん? どうしたのカズくん?」
「どうしたもなにも玄関に立たれてたら驚きもするだろ……というかチャイム鳴らせばいいだろ」
「いや、だって2人の邪魔をしたらまずいかな~と思って」
「別に気にしなくてもいいのに、なぁ?」
「はい、そんなに気を使わないでください」
「そっか。うん、そうだよね。2人共そういう性格だよね。うんうん」
「なに1人で納得してるんだか……まぁいいか。ところでもう大丈夫なのか?」
「なんでここで聞くかなぁ……正直完全に吹っ切れてはいないけど……うん、大丈夫」
「そっか、ならいいんだ」
昨日は無理やり言わせちゃったからなちょっと心配だったが大丈夫そうだ。
「……? 2人とも何の話ですか?」
「えとそれは……その……昨日カズくんがわたしを求めてきて……」
「ちょっ!?」
おかしい!明らかに言い方がおかしいよな!? いやまぁ、だいたいあってるけど!
やっぱり地味に根に持ってないか!?
というか恥かしいから話さないんじゃなかったのか!?
「か、和真くん今のどういう……」
ほら、梨乃が既に涙目だよ!
「ち、違うぞ!? いや、大体あってるけど想像しているのとは違うからな!?」
「わたし、なにも出来なくて無理やり納得させられて……うぅ」
「か、和真くん! どう言う事かちゃんと説明してください! へ、返答によっては……よってはぁ……っ」
「いや、えと、美冬が言ってるのはその……俺が抱きしめた事を言ってるだけでな……」
「無理やり抱きしめたんですか!?」
「それは違う! いや、確かに了承は取ってなかったけどこれには理由があってだな……」
「どんな理由ですか?」
駄目だ! どんどん眼差しが険しく……!
「み、美冬が泣いてたんだ! それでどうしていいかわからなくてつい……」
「本当……ですか?」
「あぁ! 誓って!」
「美冬さん、本当なんですか……?」
「ごめんね、今の話は冗談。ううん、表現が違うだけで本当の話」
「そうなんですか……ひどいです……うぅ……」
「わぁ、ご、ごめんね、梨乃ちゃん。そこまで真剣になるなんて思わなくて…………はぁ~、違う、そんなことじゃないよね……」
「はぁ~、ふぅ~」
一度深呼吸をする。
「えと、ごめんね。梨乃ちゃん、その、わたしが勇気なくてちょっと気持ちを紛らわしかったの……梨乃ちゃんに大事な事を伝えるために」
「大事なこと……ですか?」
「うん、あのね梨乃ちゃん……わたし、カズくんの事好きだったんだ、ううん、今でも好きで……梨乃ちゃんにちょっと嫉妬しちゃったんだ。それでわたしカズくんに当たっちゃって……」
「だから、ね? 何が言いたいかと言うと……その、カズくんの事よろしくね。前にも言ったけどわたしの本音じゃなかったから……今なら、ちゃんと言えるから……」
「美冬さん……わかりました。その、ありがとうございます」
「うん……」
美冬が言っていることは所々支離滅裂だが言いたい事はちゃんと伝わったみたいだな。
「終わったか?」
「うん」
「そっか、正直いきなり変な事言い出すから焦ったぞ……」
「あ、うん……それはごめんね……。なんだか怖くて……」
「まぁいいけど、こういうのはこれっきりにしてくれよ」
「わたし普段そんな事言わないよ~。あ、カズくんが実際になにかしでかしたら言っちゃうかも」
「はぁ~……まぁそんな事絶対ないけどな」
梨乃が俺の手を握り少し前に出す。
「大丈夫ですよ、美冬さん。もしそんな事があったらその……わ、わたしが止めますから……」
「うん、はぁ~ちょっと話が長くなちゃったね。そろそろいこっか」
「そうだな……って、これ走らないと間に合わなくないか!?」
時刻は9時10分、まぁ普通に歩いたらその時点でアウト、という事で――
「走るぞ!」
「ふぇえ!?」
梨乃の手を引き走り出す。
「ちょ、ちょっと待ってよ~」
その後ろから俺を追いかける美冬。
美冬の事を聞いたときは体が重かったが今は全然そんなことはない、むしろこれから始まる。学園生活が楽しみだ。
「ふっ……」
気が付くと笑みが零れた。
「? どうかしたんですか?」
「いや、なんでもない」
「???」
たぶんこれから大変だと思う、まぁ智子たちの事は大した問題じゃない。問題はファンクラブのみだな……まぁ何とかなるだろう。
後は体育祭かそういえば結局資料探しをしてなかったな。まぁまだ時間もあるし少しずつ進めて行こう。
それとバイトかな……。料理長としてはやめるお店のバイトを続けるより早めに新しいところに行って早く学んだ方が良いとの事、せっかく探してもらったところなんだ今月から出ようと思う。その前に料理長にお礼を言っておこう。
こうやって考えてみると色々な事がある。
変わりたくなかった、何かが壊れてしまう気がして、でも今は違う、その変化が楽しみになった。たぶん梨乃のおかげだろう。梨乃と一緒に変わって行きたい。
俺の心はそう変わっていった。
その日の昼休み、屋上――
「か、和真くん。えと、こ、これ……」
昼休みに入ると同時に梨乃がおずおずとカバンから可愛く包まれた何かを手渡される。
「ん? これって……」
こ、これはまさか噂に聞く彼女の手作り弁当か!?
「えと、わ、わたしが作ったんです……か、和真くんに食べてもらいたくて……」
か、かわええ! 恥ずかしいそうにしながらも上を向く目がまた……!
「食べるに決まってるだろ? 梨乃がせっかく作ってくれたんだから。天気も良いし屋上で食べようか」
「はい♪」
「ちよおぉぉぉぉぉぉぉぉと待ったぁあああああ!」
突然智子が大声をあげる。
「ん? なんだ?」
「『なんだ?』じゃないよ! 2人ともそういう関係じゃない、て言ってたよね!? なのに名前で呼び合ったりして!」
「何言ってるんだ? 智子の事も名前で呼んでるだろ?」
「そ、それはそうだけど……ってそういう事じゃなくて、その、弁当とか渡しちゃったりしてまるで恋人みたいに……!」
まだ気付いてなかったのか……。
「あのなぁ~、みたい、じゃなくてなったんだよ。言わせるな恥ずかしい」
「え!? だって2人共付き合ってないって……」
「あぁ、智子が聞いたのは日曜日の事だろ? 俺たちが付き合い始めたのは昨日だからな。嘘はついてない」
「そ、そんなの屁理屈だよ! みぃちゃんは知ってたの……?」
「う、うん……たぶんそうじゃないかな~とは思ってた」
「け、健吾くんは……?」
「まぁ、なんとなくは……洋介に教えてもらったけど」
「わ、わたしだけ仲間はずれ……」
「まぁまぁ、智子が鈍いのはいつもの事だろ」
「え!? それってちょっとひどくない!?」
「まぁ気にするな、それが智子らしさ、だろ?」
「それは……ってそれ絶対わたしのこと馬鹿にしてるよ……」
「カズくん? あんまり智子いじめるとわたしが許さないよ?」
「和真くんひどいです……」
「なっ!? ち、違うんだ! これは一種の挨拶というかその…………すみません……」
「だって、智子どうする?」
「んーとじゃあパフェ!」
「ぐっ……、わかった……」
「あ~、和真こんなところにいたのね」
そんなやり取りをしていると後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
「その声は……先輩?」
後ろを振り返ると案の定先輩……とファンクラブの面々がいた。
その中には確か……内藤大輔だっけ? それとその隣にいるのは……見たことあるけど名前がわからん。
それよりもなんでファンクラブの人たちがここに……? というか先輩が連れてきたのか? なんで???
意味不明な状況に困惑する。
「そうよ、まったく探したわよ……まぁ見つかったからいいけど。さっそくで悪いんだけど本題に入るわ。私の後ろにいる人たち、まぁファンクラブの連中ね、こいつらがあんたに言いたい事があるんだって」
「言いたい事……?」
言いたい事ってなんだ? まさかまた嫉妬とかされるのか? それは簡便なんだが……。
「「すみませんでしたっ!!」」
「は……?」
え? な、なんだ?
「新聞の件やその他もろもろ本当にすみませんでしたっ! 最初はお前みたいな奴に智子様や梨乃様を任せられるか! と思っていたのですが、その気持ちがホンモノであり、我々より幸せに出来るとファンクラブ会員全員一致となりました! つきましては今までのご無礼をお許し願いたい!」
一斉にどけ座をするファンクラブの面々。
「え、え~っと……?」
一体どういう心境の変化だよ……わけがわからん。まぁ、隣でニヤニヤしてみてる先輩を見る限り先輩が何かやったんだろうなぁ~。
「と、とりあえず頭を上げてください」
「ゆ、許していただけるのですか!」
「あ~うん。そういうこと……になるかな?」
い、一々面倒くさい……。
「ありがとうございます! おらぁ、お前らも頭下げろ!」
「「ありがとうございます!!」」
なにこのスポ魂みたいなノリ……。
「これからは我々一同、暖かく見守りたいと思います!」
「「思います!」」
結局見守るのかよ!? いや、まぁファンってそんなもの……なんだよな?
「は、はぁ~……」
「それでは、失礼します!」
「「失礼します!」」
そう言っていそいそとファンクラブの面々が去っていった。
「………………」
この場にいた全員がわけもわからず立ち尽くす。
「……先輩、何したんですか?」
俺はなんとかそれだけを口にする。
「何って……ただこれ以上和真や梨乃ちゃんや智子にちょっかい掛けるなら部費全額没収と部屋没収と今後一切の活動の禁止を生徒会長権限でやるわよ、て言っただけよ」
お、鬼だ……ここに鬼がいる……いや、まぁ個人的には助かったけど……。
それよりも正式に部費が下りていたのが驚きだ。
「さて、用事も終わったし私はこれで戻るわ」
「先輩、よかったらお昼一緒にどうですか?」
「んーごめん。今日はちょっと先約があるから、また今度ね」
「あ、そうなんですか。呼び止めてすみません」
「別にいいわよ。それよりも和真、彼女が居るんだからそんなホイホイ女の子を誘うのはやめたほうがいいわよ。」
「いや、ホイホイ誘ってなんか……」
「とにかく気をつけなさい。じゃあね」
言いたい事だけ言って去ってしまった。
まぁ、いつもの事だけど。
「あ~えっと、梨乃怒ってる?」
先輩の言葉が気になり本人に聞いてみる。
「べ、別に怒ってない……ですよ?」
噛んでるし……。絶対怒ってるよなぁ。
さて、どうやって慰めようか? ちょっと恥かしいけどアレが効果的かな……。
「えと、なんだ、俺が好きなのは梨乃だけだから。心配しないで」
「ッ!?」
や、やばい……すごい恥かしい……。
「みぃちゃ~ん、和真くんにノロケられたよぉ~」
「カズくん、今のはちょっと……」
「あ~暑い、暑い……他所でやってくれよ」
あれ!? なんか引かれてる!?
「な、なんだよ3人とも、べ、別にいいだろ!」
「え~いやだよぉ~目の前でノロケられるんだよ~? リア充爆発しちゃえ!」
「ぐっ……! というかお前そんな言葉どこで覚えた!」
「そんなの何処でもいいよぉ~。ねぇ~みぃちゃん?」
「う~ん、そうね。さすがにちょっとやりすぎかな……。せめて2人っきりのときにして欲しいな」
「善処します……」
確かにちょっとやりすぎた感がある、気をつけよう。
「えと、和真くん……」
「な、なに?」
「その……ちょ、ちょっとしたことで怒ってごめんなさい……。わ、わたしどうしても不安で……」
「い、いや、気にしなくても……。悪いのは俺だからさ」
「わかりました……」
「…………で、2人はそのやり取りをいつまで続けるのかな?」
後ろに振り返ると美冬から黒いオーラのようなものが見えた。
「あ~えっと……あははは」
「あ、あぅ……ごめんなさい……」
「まったく……ちょっとはこっちの気持ちも考えて欲しいな……」
美冬が寂しそうな顔になる。
「美冬……」
「美冬さん……ごめんなさい……」
「え! あっ、べ、別に謝って欲しいわけじゃなくて今のは、その……ね? 智子」
「えぇええ!? そ、そこでわたしに振るの!? み、みぃちゃんさすがにそれはないよぉ~。ねぇ? 健吾くん」
「いや、だからって俺に振るなよ……」
「と、とにかくTPOをわきまえて! そ、それだけ!」
まぁ、そうだよな……いくらなんでも人前ってのはあれだよなぁ……。
「わ、わかった」
「すみません……」
といいつつも結局3人の前でイチャついた俺たちは美冬に説教されるのであった……。
---- 4月20日 ----
ファンクラブとの一件が終わってから本気で資料探しを始めて今日で約1週間、進捗状況はというと――
「で、和真! あんた絶対やる気ないでしょ!」
さっそく先輩の逆鱗に触れてしまった。
「さ、探してますよ! た、ただ……」
「昔の卒業アルバムとか写真とか見てるだけのクセにどの口がそれを言うのか是非聞きたいわね」
そうなのだ、実際資料探しは始めている。だがそれと一緒に昔の卒業アルバムなどが見つかり、梨乃と一緒に眺めているうちに下校時刻、これがすでに6日間も続けている。
案外、他人の卒業アルバムを見るのって楽しい。時代の違いが垣間見れるからな。……まぁそんな事してるからこうして今怒られてる訳で……。
「ど、どの口ってそりゃあこの――」
言おうとした瞬間、睨まれる。
「なんでもないです……」
もう何も言うまい。
「すみま……せんっ……。折角一ノ瀬先輩が手伝ってくれてる……のに……」
今にも泣き出しそうになる梨乃。
まぁ、先輩は怒る事自体は少ないからな……怖がって当然か、実際俺も軽くびびった……。
「あぁ、梨乃ちゃんはいいのよ。どうせ和真に一緒に見てみようといわれたんでしょ」
事実だけに否定できない……!
「で、和真どうする気? 会議は明日でしょ」
「なんとかしますよ。というかこうやって進んでないのは先輩のせいもあると思うんですけど……」
実際資料探しをしているときに何度か生徒会の仕事やらされたからな……。
「下校時刻過ぎても資料室を使えるように計らったのは誰だったかしら?」
「くっ……先輩、です……」
「だったら文句言ってないでこの資料に目を通しなさい!」
先輩が十数枚の資料の束を机に置く。
「これは……?」
「過去10年間の運動会のプログラムと分かりにくい競技の説明を書いた資料よ。まったく……」
「せ、先輩……まさかこれ……」
まさか俺たちのために資料をわざわざ……。
「去年の実行委員、わたしが作ったものよ」
「……え? 去年……?」
ちょっと待て、それってつまり……。
「あー、先輩ちょっといいですか?」
「何よ?」
「それってつまり資料探しする必要なかったって事じゃ……」
「そうね」
「いや、そうねって……」
「何、1人だけ楽しようとしてるのよ。私なんかこの資料作るのに何時間掛かったか知らないんだから」
「す、すみません……ってどれくらい掛かったかわからない?」
「えぇ、他の子に作らせたものだから」
「鬼だ! ここに鬼が居る!」
他人に作らせといてあたかも自分が作ったように言うなんて!。
「ち、ちなみに先輩は何やってたんですか?」
「私? 私はずっと卒業アルバムを眺めてたわ」
「やってる事同じじゃないですか!」
なんで怒られたんだ! 理不尽すぎる……!
「ちょっと一緒にしないでよ。最後のまとめは手伝ったんだから」
あ、ちゃんと手伝ったのか……なら……なんか違うような気がするけどもういいよ……。
「まぁ、そんな事は置いといて、この資料欲しい?」
「欲しいです!!」
「う~ん、どうしようかなぁ~?」
タダじゃ渡さない、ということか……まぁ元々タダで貰うつもりもなかったが。
「今度昼飯奢ります」
「うーん、そうねぇ……。昼飯1週間で見せてあげる」
「い、1週間……」
さすがに厳しいぞ……厳しいけど……それで済むなら……。
「わかりました……それでお願いします……」
「ふふ、交渉成立ね。じゃあはい、これ、なくさないでよ」
「分かってますよ」
先輩から資料を受け取り軽く流し読みをする。
それだけでも十分にまとめられているのがわかった。
この資料を作った人まとめるのうまいな……見やすいし。
資料を眺めているうちに下校時間になる。
「先輩、今日は……」
「わかってるわ、あんまり遅くならないようにね」
「はい、ありがとうございます」
「それじゃあ今日はバイトもあるし、これで帰るわね」
「あ、はい。お疲れ様です」
「お疲れ様です」
「2人共頑張りなさいよ~。あ、出来れば換気しといてよ、明日の朝来たときに生臭いなんて嫌だから」
「一体何を頑張れって言うんですか!」
まったく……そのまま帰ればいいものを……!
「何をって……ナニを?」
「一々言わなくていいですから! 早くバイトに行ってください!」
「もう、冷たいわね。まぁいいわ、それじゃあね」
その言葉を最後に出て行った。
「はぁ~……」
「和真くん、一ノ瀬先輩が言ってた意味がよくわからなかったんですけど……どういう意味なんですか?」
「えっ!? えーとその、なんだ……夜の営みというか、男女の営みというか……そ、そんなもんだ」
「??? 男女の営み……? ……………………っ!?」
ワンテンポ、ツーテンポ遅れて梨乃の顔が真っ赤になる。
「あ、あぅ……あぅ…………」
う~ん、完全にパニック起こしてるなぁ~。
「とりあえず落ち着いて、あんなの先輩の冗談だから」
自分で言っておいてなんだが冗談……だよな? ……自信がないぞ……。
「は、はい……………………あ、あの……」
「ん? 何?」
「えと、その……あの、……っ! か、和真くんは……し、したい……ですか?」
「っ!?」
そ、そんな上目遣いでそんな事言われたら……! お、落ち着け俺! 流されるな……!
「お、俺は…………きょ、興味はあるけど俺たちにはまだ早いかなぁ~って思ってる。その~ほら、まだキ、キスもした事ないわけだし……そういうのは段階を踏んで……というか……あ~なんて言えばいいんだ……」
くそっ! ちょっと混乱してきたぞ……。
「そ、そうですね! あはは…………」
「そ、そうだよ。まったく、ほんと先輩は余計な事ばっかり言うんだもんな。はは……」
とりあえず笑って誤魔化そう。というかそうしないと俺が持たない気がする……。
「あの……せ、折角貰った資料一緒に見ませんか?」
梨乃が無理やり話題を変えてきた。こっちとしては願ったり叶ったり、か。
「そ、そうだな、そこのソファーに座って見ようか」
「はい」
――――――――――
――――――
――
2人で資料を見るためにソファーに座るまではよかったのだが……。
「あ、和真くん、これなんて面白そうじゃないですか? えと、コスプレ……って言うんでしたっけ? それでリレーするなんて面白そうです。走っている人たち皆楽しそうです」
か、顔が近い……。
俺の気持ちを知ってか知らずか真剣に資料を読む梨乃。
「えと、これは……カルメンライダー……なのかな? 少し前に流行ってた奴ですよね。あ、これってもしかしてセーラーサンのうさぎちゃんじゃないですか? わぁ~、懐かしいなぁ~」
そう言って懐かしむ梨乃。いや、まぁ本人が楽しいならいいんだけど……、それにしてもコスプレリレーって……この体育祭って4年前……だよな。そのときコスプレってそんな有名だったか……? ……やっぱりこの学園変わってるよな……。
にしてもホント、色々あるな、コスプレリレーに水風船当てにこれは…………サバゲー!? いや、これもう競技じゃないよな!? 何々……、最後まで生き残った者を勝者とする。…………個人種目かよ! クラス対抗は何処に行ったんだ……。
なんだよこれ……全然参考にならないぞ……どうしたもんか……。
「和真くん――」
いや、去年の体育祭は変なのはなかったしもう少し中を見ればまともなのがあるかもしれないな。
「和真くん!」
「うわぁあ!? な、何?」
び、びっくりした……。
「さっきから話しかけてるのに全然返事してくれないので……」
「ご、ごめん。ちょっと集中してた」
「もう……集中するのもいいですけどその……わ、わたしの事もちゃんとみ、みてください……っ」
そう言って顔を赤くする梨乃。
ぬをぉおおおおおお!!!! か、かわえええええ!
叫びそうになるのをなんとか抑える。
「わ、悪い……。その、可愛いよ」
「っ!? そ、そんな事きゅ、急に言わないでくだ……さい。は、恥ずかしいです……」
「え!? いや、だって今『わたしの事をちゃんと見てって』てっきりそういうことだと思ったんだけど……」
「ち、違います! うぅ~~~~、もういいです!」
「え? え? な、なんで怒ってるんだ……?」
「わからないならもういいです」
そう言ってプイッとソッポを向く梨乃。
完全にやらかしたかな……。さて、なんで梨乃が怒っているのか、だな。俺が集中してる時梨乃は何をやっていた? 俺の隣で資料を見ていた。まぁこれは間違いないな、実際顔もかなり近かったし…………あっ!? も、もしかしてそういう事……か? いや、でも梨乃ってそんな積極的だったか? でも他に思い当たる物もないし、言ってみるか。
「なぁ、梨乃」
「なんですか?」
う~ん、ちょっと怒ってるなぁ~。まぁいい、言えばわかるさ。
「その、なんだ…………さっき資料見てたときにさ、梨乃の顔がすっごい近かったよな? それで、その……こんな事言われると引かれるかもしれないけど、キ、キスしたくなったんだ。だから、その……キス、しないか?」
「あっ……。わ、私も和真くんとキ、キスしたい……です……っ」
俺がそういうと怒っていた顔が嘘のように晴れて顔を赤くする梨乃、どうやら正解だったらしい。
互いに向かい合う。
「梨乃……」
「和真、くん……」
梨乃が目を瞑ったまま動かない。
俺はそのまま顔を近づけ軽く触れるだけのキスをする。
「んっ……」
や、柔らかい……女の子の唇ってこんなに柔らかかったのか……。
しばらくこうしていたいがそのまま続きをしかねないのでやめておく。
「えと、その、キ、キスしちゃい……ましたね」
「あぁそうだな、しちゃったな……」
「その、なんだがすごく幸せな気分になりました」
「そっか。俺も、同じだ」
俺は思わず手を梨乃の頭に乗せてそのまま撫でる。
「あっ……、えへへ」
くすぐったそうに微笑む梨乃。
クソッ! 可愛いなぁおい!
「梨乃、ごめん! もう一回!」
「え? んぅっ!?」
今度は半ば強引にキスをする。
「んぅ、んぅ……」
最初は驚いた顔をしていたが受け入れてくれたようだ。
「はふぅ~……か、和真くん、そんないきなり……」
「ごめん、梨乃の笑顔見たらまたしたくなって……嫌だったか?」
「い、嫌じゃない……ですけど……そんな聞き方ずるいです……」
「よかった……。いきなりやっといてあれだけど、ちょっと心配してた」
「もう……今度からはちゃんと言ってからにしてくださいね?」
「わかった。じゃあ、梨乃もう一回したい」
「ま、また……ですか? えと、あの……」
「梨乃は、嫌? したくない?」
「……っ! だからそ、そんな聞き方ずるいです!そんな風に言われたら断れないじゃないですか……」
「梨乃……」
「和真くん……」
「ちゅっ……んぅ……」
「はふぅ~…………んぅ!?」
梨乃が息継ぎをした瞬間、また唇を押し付ける。
「んぅ~、ちゅっ……んぅっ!? し、しふぁら……ふぁるまくん……っふぁ、ふぁげし――」
「んぅ……ちゅっ…………はふぅ~…………」
「はぁ……はぁ……か、和真くん、は、激しすぎです……」
「ごめん、なんか止まらなくて……」
「も、もう……、あっ…………」
少し拗ねた顔で俺の体のある部分を見て声をあげる梨乃。
その視線の先には俺のズボンのある部分があった。
「あっ!? え、えとだな……これはその……せ、生理現象で…………だから自然とこうなるというか……」
最悪だ……よりにもよって今見られるとは……これは嫌われるかな……。
「……か、和真くんはその、えと……その……っ……!」
梨乃が顔を真っ赤にしたまま動かなくなる。
ここはあえて正直に言うのがいいかもしれないな……。
「梨乃、あのさ」
「は、はい!」
「も、もし嫌なら嫌って言ってくれていいんだけど……その、なんだ……収まりそうにないから……その――」
「い、いいですよ。わたしもなんだかさっきから変な感じで……その……」
梨乃が少しモジモジしながら答える。
「梨乃……!」
「きゃっ!」
気が付くと俺は梨乃をソファーに押し倒していた。
「あ……、ご、ごめん! つい……」
しまった、今のは完全にまずいだろ、俺……。
「い、いえ大丈夫です……。それより和真……くん……あの、わたし……初めて……でどうしたらいいか……」
「大丈夫、梨乃はそのままじっとしてればいいから」
「わ、わかりました……」
「じゃあ、触るね」
「は、はい……」
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「梨乃、体は大丈夫?」
運動をしてから数分後、乱れた服を直している梨乃に声を掛ける。
「は、はい……まだ少し痛いですけど大丈夫……です」
「そっか、もしどこかおかしなところがあったら言ってくれよ」
「はい……」
大丈夫そうには見えるが、無理してるようにも見えるし今日はこれで終わりかな。
「……さて、帰るか」
「え? でも資料……」
「んー思ったんだけどさ2人で決めるより皆で決めたほうがいいと思うんだ。この資料をコピーして皆に回してさ、どうかな?」
こうでも言わないと帰りそうもないし。致し方ない。
「そう……ですね。そのほうがいいと思います」
「うし、そうと決まれば明日は登校してすぐに職員室に行ってコピーを頼むか」
「はい」
「えーと、とりあえず窓閉めて……資料室の鍵は閉めたし、後始末も大丈夫だな。じゃあ出ようか」
「はい」
少し歩きづらそうに歩く梨乃。
「……本当に大丈夫? 若干足引きずってるように見えるけど……」
「だ、大丈夫です。す、少し歩きにくいですけど……」
「何ならおぶっていこうか?」
「い、いえ! そ、そのう、嬉しいですけど……っ! それは恥ずかしすぎます……!」
「あはは……だよね」
そんな事されたら恥ずかしさの余り気絶しそうだ……梨乃が。
「で、でも、あの、その……う、腕を掴んでもいい……ですか?」
「あぁ、喜んで」
「あ……、ありがとうございます♪」
腕を少し差し出すと嬉しそうに俺の右腕を掴む梨乃。
「えへへ……♪」
ほんと、嬉しそうな顔だな。俺まで顔がニヤけてくる。
最近思うようになったのだが、付き合い始めてからかなり積極的になった気がする。
元々隠していて本当はそうだったのか……は想像出来ないな。
たぶん付き合い始めたから変わったんだろうな。
その変化が嬉しく思う、梨乃の大親友、千堂さんに認められるかな……俺。
自意識過剰というわけではないが、今なら自信を持って言える、千堂さんより梨乃を幸せに出来ると。
「よし、じゃあ家まで送っていくよ」
「はい♪ ありがとうございます」
梨乃はとても楽しそうにしていた。
やっぱりこういうのいいな……。
ずっとこの笑顔を守って行かないとな、改めてそう思う俺だった。
お待たせしました、11話です。
今回は色んな意味で進展した話だったのではないでしょうか?
また、R-18版を見てくれた方どうでしたか?
ちょっと初めてで色々とおかしい点があったかもしれませんが、そこは……すみません。勉強不足ですね。
次回更新は……ちょっとわかりません、すみません。
それでは次回更新日まで、お楽しみに!
8/15日追記
一部脱字を修正しました。