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キバラナ  作者: 地藤零一
17/22

第四話ノ2

 航空祭といって思い浮かべるものはなんだろう。

 飛行機の展示。露店。基地の公開。展示飛行。アクロバット。勇壮な機体を駆って行われる、たくさんのパフォーマンス。だいたいがそんなところだ。

 それを行うには本来、長い訓練を必要とする。

 まして参加機体はバラバラ。国籍もバラバラ。人種も思惑もバラバラ。誰がどう動くかも分からない、たくさんのバラバラ。

 唯ひとつ同じものがあるとすれば、この祭りを楽しもうとしているところだ。

 熟達したパイロットというものはすごいもので、訓練にかけられたわずか二日間のうちに、ほとんど一糸乱れぬ動きで足並みを揃えてしまった。どいつもこいつもジジイばかりなのに、若手が遅れを取るほどだ。

 夕方になって、別々に出発した六機が、綺麗な編隊を揃えて戻ってくる。その光景は鮮やかに、有馬の目に妁きついていた。

 流星祭りは地元の祭りだ。

 演目には航空ショー以外のものも組み込まれる。

 これを全部合わせると、実にごった煮寄せ鍋状態で、プログラムはとても順繰りにこなしていく事はできなかった。五穀豊穣や子孫繁栄の奉納舞まで入っているからスケジュールは伸びに伸びまくり、夕方を過ぎて夜になって真夜中にまで行われる。祭りのために練習を重ねてきた各団体は十指に余るほどであり、だだっ広い基地エプロンをフルに活用して、櫓や舞台やイベントスペースや露店や救護所が設営された。

 有馬のチームは、流星祭りの「航空部門」という区分けになる。

 地上と空、交互に演目が行われる予定。

 そしてメイン。チラシにでかでか銘打ってまで喧伝した主演目。憲ジイが目を血走らせ、グラサンが野望に燃え、ひょろ長のヘルマンが目を遠くにやる見世物、『空戦ショー』。

 反響はなかなかのものがあった。役所に問い合わせが殺到し、ただでさえ貧弱だった電話回線がひとたまりもなくパンクした。噂は噂を呼び肥大化し、少なすぎる情報量が魚群を大魚にも思わせ、一目見て確かめようと町の民宿には次々予約が舞い込んだとか。

 折りしも帰省ラッシュであって、エアロトレインの本数は増やされている。

 そして行楽で成り立っているところが小さくない立駒には、充分な受け入れ態勢があった。

 流星祭りの前日から人の出入り自体はあったが、当日にもなると蛇のような人の連なりが道路を埋め尽くすまでになった。ウン十年前まで本当に滅亡しかかってたのか疑うほどの、人、人、人のうごめき。

「これが伝説のビッグウェーブ……!」

 この日、自宅から基地に行くまで、有馬は人で酔うという稀な体験をした。



 代表挨拶なる退屈極まりないものがあり、トールジイが引っ張り出されたようだ。

 

『……えー、流星祭りというものは、あまり大々的にやれば不謹慎であるとお偉様方に言われます。それは、この祭りが鎮魂の宴でもあるからです。にもかかわらず、こうしてかつてない規模で祭りを催せたことに、後援会ならび、参加してくださった各団体方々へ謝辞を述べさせていただき──』


 キバリーとはぐれた。

 チャイとも一緒に行く約束をしてたのに、トールジイが先に連れて行ってしまったらしい。右往左往して基地に向かうころには、もう敷地の外にまでその挨拶が聞こえてきてしまった。今日まで準備してきた有馬はもう完全にお客さんの立場で、祭りを自由に楽しんで良い身分なのである。


『伝統的な祭りを一新してしまおうと決め、踏み切ったことに、大それた理由はありません。右を向けと言われたら、左を向きたかった。窮屈な決まりごとから解放される楽しみとでも言いましょうか。我々は、広くそうしていくべき時代に差しかかっているいると私は思います。なぜなら──』


 ここでマイクの倒れるような音。ごとごと、こら何する俺の、うっせーくどいんだよ──と揉め事の気配。途中で混じった声に、有馬は青ざめる。ざわめく人ごみがいっそう耳障りなハウリングで静まり返ると、その静寂に滑り込むように、マイクで息を吸う音が聞こえ、

『お前ら─────────────────────────────ッ!!』

 魂が、抜かれかかった。

 キバリーの声だった。

『よく来たぁ! 歓迎するぜえ! 今日という日にこの祭りに来れたことを一生忘れられなくしてやる! 飲んで食って見て遊べ! オレたちはこんなにも楽しめるんだってことを噛みしめやがれー!』

 渦のようなうねり。ざわめき。戸惑いの中で蓄積されていく、あと一歩で形になりそうな桁違いの何か。

『そんじゃー流星祭りかいし───────────────────ッ!!』

 怒号が上がった。

 それは紛れもない歓声だった。

 雹が降ってきたかと思う。しかし、それは拍手の雨だった。

 身がすくんで鼓膜が震えた。空気に色がついて見えた。それは、目に見えるほど明確にその場を支配する何かだった。

 ──早く、みんなと合流しないと。

 有馬は基地ゲートをくぐる。人波をかき分けて、祭りの真っ只中へ飛び込む。



 オープニングセレモニーが盛大に始まる。アメリカの戦闘機が低空飛行で基地上空を飛びまわり、上昇しながらスモークを撒いた。互いに別角度から進入してきて、一度に挙動を合わせる高度なパフォーマンス。煙で作った、テントの屋根。

 有馬は奥へ奥へと進む。上空ではごく狭い旋回半径でサークルを作った三機がぎゅんぎゅん空戦のように回っていた。そのうち一機が離脱。会場を横切るように寸胴な巨体をさらし、スピーカーからその戦闘機の紹介が入る。

『F6Fヘルキャットです!』

 アナウンス。俊郎の声。

 この計画を立てたときから、細かな段取りまで指定して、自分がやりたいやりたい自分以外に適役はいないとうるさかった。徹夜で原稿を書き、練習までしていた。BGMは運動会そのまま。俊郎がどれだけこの祭りを楽しみにして、良いものにしようと構想を練っていたかが伝わってくるよう。

「おう! 有馬くんじゃねえか!」

 露店沿いを歩いていたら呼び止められた。

 珠樹の親父さんだった。頭にタオルを巻いて屋台でフランクフルトと骨付きカルビと豚串を転がしていた。死ぬくらいの熱気。

「うわー繁盛してます?」

「入れ食いだっつの! 昼までやれるか今から心配だよ。それにしても、晴れて良かったなぁ。この祭り考えたの有馬くんなんだって?」

 一部で噂は広まっていて、特に協賛してくれた商店街の方々には、すでに周知のものとなっていた。お祭りの日が近付くたびその事を突っつかれて有馬はむずがゆい。

「ほんの軽い気持ちで。あの、珠樹どこいるか知ってます?」

「ヤロー今ごろヤーコちゃんと遊び回ってるよ。格納庫見てきたらどうだい? 有馬くんなら顔パスだろ」

「じゃあ行ってみます」

「あー待て待て、こいつもってけ」

 肉食え肉とばかりに押し付けられる串六本。「功労者にお供えだ」と言って大味に笑った。

 人の熱気と、カンカン照りの日差しと、会場になった駐機場の照り返しで、卵が焼けるくらいに暑い。

 ふらふらになって裏手に回ると、空気の密度も薄まったようで、少し気が和らいだ。

 格納庫には向かわず、管制塔に入った。

 キバリーがお邪魔しているはずだから(文字通り)早急に保護しなければならない。

 騒がしく人の行き交う通路。運び込まれた様々な資材。部屋だけは余っているから今や参加団体の控え室があちこちにあって、足の踏み場にも気を払う有様。観客の来る駐機場と違って内部までは細かな管理が行き届かなかった。完全にスケジュールが急すぎたせい。何もかも思いつきだったのが今さらになって悔やまれた。

 ──まあいいけどね。

 最上階の管制室につくと、俊郎が絶好調で絶賛実況アナウンス中だった。

 横にヘッドセットをつけたセリナがアシスタントとして座っている。ストップウォッチを凝視しながら英語で何かを指示していた。

 入り込めそうになかったので、有馬はなぜか近くにいた八百屋のおっさんに話しかけた。

「八百屋のおっさん、キバリー見なかった?」

「うお! びっくりしたぁ……いつ来てたんだよ、初島さんとこの」

「いま。トールジイもいないけど」

「ああ、キバリーって女の子なら、亨さんに首根っこ掴まれて出てったよ。格納庫じゃないかな? すぐ出番のはずだし」

「八百屋のおっさんは何してんの?」

「あはは。情報将校だったんだよ昔。通訳に便利だからって亨さんに引っ張り出されたんだ。あの人の頼みだと断れないからねぇ。あと八百屋のおっさんってやめてくれよ」

 立駒は軍人くずれが集った町だ。八百屋のおっさんに限らず今も多くの基地関係者が古巣で動き回っているのかも知れない。

「あ! 有馬! ちょっとちょっと!」

 セリナに気付かれた。必死な手招き。

「おはよう。すごい忙しそうだね」

「そうなのよー! もう誰かに代わって欲しいくらい。今は離れられないけど、あとで一緒にお祭り見て回ろう? 待っててよ」

「あとって、どれくらい?」

「うー……午前中一杯はここに齧りついてなきゃいけないの。それから。時間空けてて! お願い! 他の約束入れないで!」

「うんいいよ。じゃハンガーに行ってるから」

 そう言って出て行こうとしたとき、八百屋のおっさんがニヤニヤしていたのが気になった。変な人だ。里子にあの店はやめておけと注意しとこう。

 格納庫に到着すると、メットをつけたトールジイが今まさに出撃しようとするところだった。

「トールジイおおーい!」

「有馬! 遅いぞ何してた!」

 むっとなる。閉め出したのはそっちじゃないか。

「今日の初飛びに、お前の見送りがなかったらえらいことだったぞ」

 すぐに有馬は機嫌を良くした。

「もう出る。出口まで押すから手伝え」

「うん。トールジイ、キバリーは?」

「ああ? あのバカタレなら逃げたよ!」

 トールジイの掛け声ひとつで周りの大人が集まってきた。有馬もまじって主翼後縁につき、合図で一斉に押し出す。外に出て、痛いくらいの日照りに晒されると、トールジイは腰の高さにある雷電の主翼にそのまま跳び乗り、しっしと人を散らした。

「じゃあ行ってくるぞ! 俺の背中を見ていろ!」

 何はしゃいでんだか──

 先に出ていた憲ジイと手信号で合図して、エンジンを回してすぐ誘導路に向かう。滑走路に入って飛び立つまでに、何か得体の知れないものが有馬の中で膨張していた。

 ついに実現したのだ。

 自分が火をつけて、みんなで盛り立てたお祭りが。

 見上げれば空。真っ白な太陽。人と機械の織り成す騒音。身体中の神経が次々と制御を離れて、好き勝手に踊りだしそうな気がする。やっと、この祭りが自分のものになった気がした。

 踵を返し、雑踏が渦を巻く駐機場に駆け入っていく。

 流星祭りの始まりだった。

 

 

  全機の紹介が終わり、六期編隊が基地をフライパスしたら、休憩を挟んでいよいよ目玉の空戦ショーが始まる。

 歴史の再現、社会勉強の名目だけれど、誤魔化しようもなく、いい年したおっさんたちが趣味に走りまくった競技であり、誰が一番強いか決めたいがためにありとあらゆる口実を使い奸計を張り巡らして実現までこぎつけた、大変大人げないイベントであった。

 競技は変則トーナメント方式。敗者復活制度採用。

 三組に分かれ、一組がシード。残り二組で負けたもの同士が戦い、その勝者がシード勝者と対戦。

 一度負けたら終わりのシード権所有者が不利になるルール。そして罰ゲームあり。

 厳正なる抽選の結果、一組目が紫電改とコルセア、二組目がフォッケとマスタング、三組目が雷電とヘルキャットという組み合わせになった。

「実はコレ、出来レースなんだよね」

 有馬は得意そうに言った。

 土産屋の前で、珠樹とヤーコを見つけて合流していた。厚い天幕の下に山と詰まれたワゴンセールのプラモデル。ヤーコの親父さん秘蔵のコレクションで、隕石危機を乗り越えて、この時代まで生き残った歴戦の不良在庫である。このたび妻と娘の厳命でもって大量放出の儀となった。

 珠樹は大げさに驚く。

「ええぇー! これだけ盛り上げといてショックなんだけど……」

「違う違う。組み合わせが八百長だってこと。そりゃ安全にやったり派手に演出したいなら試合内容までいじったろうけど、そこはみんな意地あるからさ」

「? 言ってることわかんない」と横からヤーコ。有馬は鼻を鳴らし我が事のよう。

「前の日にこいつとやりたいってみんなで決めてたんだよ。仲間内で潰し合わないようにしたかったんだろうけど、もう白黒はっきりつけたいからテメー俺とやれって感じで」

「へええええ……」

「いい年して……」

「シード権はクジ引きだけどね?」

 そうこうしているあいだに一戦目の機体が飛び立っていく。

 紫電改とコルセア。操縦主は憲ジイとアメリカ人の若者。大戦後期に鎬を削り合ってきた仲であり、機体性能にさほど差はない。どちらも戦闘力旺盛。機銃もないぶん重量でいえば紫電改が有利に見えるが、憲ジイにまだ空戦のできる体力があるかどうか。

「腰バキっていかなきゃいいけど……」

「いくでしょ」

「ほんとバカばっか」

 空を見上げる。二手に分かれた機体がナイフエッジ機動で切り返しを行い、最大速で正対する。がなり立てる実況すらもかき消すほどのエンジン音。

 すれ違って、始まった。

 有馬はポップコーンを散らした。



 こそこそ辺りを見回して、ブリーフィングルームから顔をのぞかせるチャイがいる。

 そのドアの影に、キバリーが隠れていた。

「──ひぃ! あっ! あの、あ、あの、これは」

「わかってるって。アリマには内緒だろ?」

 にこにこにこに。

 チャイは心底震えた。

 よりにもよって、この人に見つかってしまうなんて──

「黙ってるから。これ、もらってくんない?」

 気を落ち着かせる間もなく、一枚の栞が差し出された。

 淡い青紫色の栞。和紙で作ってあるようで表面がざらついている。キバリーの刺青と同じ紋様が、落ちる木の葉のようになって描かれている。

「……きれいな、栞ですね」

 染色が鮮やかで、吸い込まれそうなった。

「だろー? 自信作なんだ」

「自分で作ったんですか? すごいです」

「やはー! こういうのケッコー得意なんだよねぇ!」

 照れている。変だ。浮かび上がってくる疑問を押し込められない。

「でも、祭りの最中に手作りの贈り物なんて……」

 キバリーは何も答えなかった。

 代わりに返ってきたのは、やんちゃ坊主とは思えないくらいの柔らかな笑みだった。



 交錯してすぐズーム上昇に転じたコルセアを、紫電改は追随しなかった。それどころか、出力を絞って降下。緩旋回に入っている。

「いまどうなってんの? どっちが有利?」興奮した調子で珠樹が聞いてくる。

「……あのコルセア、大戦のあと強化されたやつだ。ブレード長かったし」

「強い? 強いのか?」

「最高時速700km以上出る。紫電改の方は、調子良くて650kmくらい。馬力も違いすぎ。くそっ。全然フェアじゃないじゃんか。せっかくこっちは万全なのに」

「……負ける?」

「わかんないよ。でも憲ジイが考えなしなんてこと……」

 急上昇から反転し、コルセアは降下に移った。そのころ紫電は悠々と低高度を旋回している。

 有馬は手を打つ。

「そうかわかった! 低空に逃げたのは射線を取らせないためだ!」

「……どういうこと?」

「つまりさ、相手は真上から振ってくるわけじゃん。だけど低空にいると地面が低いから、一撃離脱しにくいんだ。あんまり速く降下すると引き起こせなくて地面に突っ込むから。爆撃機なんかそうやって戦闘機から逃げ回ってたらしいよ」

「つまり、逃げてるだけ?」

 逃げてるだけじゃ埒が明かない。

 コルセアが紫電の旋回面を読んで後ろに回り込んできた。速度差はおよそ100km以上。一時的に同高度になっても、有利なポジションから攻撃し、外したら上昇の、徹底したヒットアンドアウェイ。紫電改は二度目、三度目の攻撃を危なげに回避していく。

「ちょっと、卑怯なんじゃないのコレ?」

 ヤーコが代弁してくれた。

「機体性能に頼ったやり方だけど、卑怯じゃないよ。相手より遅い馬でレースに出ちゃいけない決まりなんて無いんだから。巴戦になったら分からないけど、不利な条件で戦ってくれるわけないし」

「じゃあどうするのよ」

「憲ジイを信じようよ」

 異変は四度目に起こった。

 上昇と降下を繰り返すコルセアの下で、紫電改はぐるぐる回っていたのが、一転して旋回をほどくと駐機場に接近してきた。彼我の距離がいっそう離れる。

 上昇を中断し、コルセアは紫電改を追いかける。真後ろからじりじりと、必中距離まで詰め寄ろうとしていた。

 そして、会場の真上で、紫電改が上昇に転じた。

 相手も追随し、二機は大きなループに入る。ものすごい後流がエプロンを襲う。

 ──これが憲ジイの仕掛けだ。

 途中で軌道が絡まり合って、いつの間にか魔法のように前後が入れ替わっていた。

「紫電改で、捻り込みかよ!」

「なになに今のなに!」

 宙返りの頂点で減じられる速力差。それを利用した曲芸軌道。ゼロ戦のお家芸だ。気付いたときにはもう遅く、鼻先をかすめるほどにぴたりと後ろに取り付かれている。

 試合終了の報が鳴り響き、喝采が上がった。

「おおお! すげー! あの爺さんやるう!」

「ま、僕は最初から分かってたけどねえ」

「なんでアンタが誇らしげなのよ」

「迎えに行こうぜ!」

 喝采の中を三人で移動しようとしたところ、唐突に有馬は思い出した。

「そうだキバリー探してたんだった! キバリー知らない? 途中ではぐれたんだよ」

 前の二人が顔を見合わせた。

「それなんだけど……」

 珠樹が気難しそうに、ポケットから一枚の紙切れを取り出す。

 栞だ。

「さっき会った。そしたらこれくれた」

「アタシも」

 ヤーコも色違いの栞を見せた。淡い色。空に透き通ったように繊細で、まるで虹の切れ端みたいだった。キバリーと同じ紋様が樹木をかたどったように描かれている。

 キバリーが贈り物?

 なんで?

「ねえ、あの子って、もしかして」

 言い始める前に、その紋様がうごめいた。

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