第四話ノ1
隕石危機が去ってから、人類はどうなったのだろう。
食い扶持が減ったせいで生活が安定したのは、経緯の違いはあれどの国も、町も同じだったりする。
寄り集まって考えた。
国家という枠組みのだいぶ薄らいだ頃は、どこも辺境の長の集まりに過ぎず、主導者不在のまま流れに任せ乱暴に意見が飛び交った。流通の再生か? 経済発展? かつての栄華を取り戻すために歴史の針を巻き戻すのか? 失われた文化、慣習、滅んだ体系を再現するのか?
隕石に負けた文明を?
危機に瀕して進歩したのは、身を守るための技術である。
常態化した災害は防衛意識を底上げしていた。
同じ歴史を繰り返さないために体制を整えておこう。いつ、どこへ降ってくるかも分からなった災厄をあらかじめ察知できるように。
つぎ込まれる資源と人員。世界中から集められた隕石落としのエキスパート。遊ばせておくにはあまりに惜しい戦禍で発展したテクノロジー。大きな大きな、途方も無い計画。
軌道上に建造された、超巨大集光装置。
通称「レンズ」。
どうして誰も止めなかったのか。
今でこそ、人類最大の愚行とまで称されるそれは、滅亡の危機に瀕してなお生き抜いた老人たちの、最後の負け惜しみだったのだ。
次の危機が迫るのが一年後か一億年後か、あっという間に見抜いたレンズは、物の見事に仕事を終えた。まさかこんなに早く身の安全が保障されるとは思わず、優秀すぎるレンズの仕事に恐れおののいた首脳陣は、近く差し迫った自分の墓まで揃いも揃ってその事実を持って行く決意をしたのである。
そして死後裁きにあった。
バレるのは、時間の問題だった。
発覚した事それ自体は大した問題じゃない。問題なのはこのころ、資源が尽き始めた事である。
アホだ。
何が悪いかのと言ったら、もう疑いようがないくらい槍玉に挙げられる巨大な浪費の象徴「レンズ」。責任逃れと起死回生と自己防衛に奔走した次代の天上人がたはここで人類史に遺る最大の言い訳を発明したのである。
『あれは宇宙の発電所です』
曰く、自分たちは前々から資源の枯渇を予見していたこと。
その危機を回避するために、夜でも地球に日の光を、太陽の核融合エネルギーを効率的に供給するための装置を、巨大な反射鏡を、建造する必要があったこと。
のみならず地球型の惑星を見つけ、そこへ移民するために精度の高い観測装置と宇宙基地が必要不可欠であったこと。
諸君はそのための貢献をした。これからも道は厳しいが手を取り合って生きていこう。そう、あの災厄を一丸となって乗り越えたように──
そう言った彼は暗殺された。
程なくして本当に人の住める惑星が見つかった、という報告があったらしい。当然もちろん身も蓋もの無く誰も信じちゃいなかったけれど。
もう後に引けないお歴々はなけなしの威光を払って嘘に大嘘を塗り固め、鉄を規制し、燃油を規制し、情報と言論を規制し、人類の復興なんかそっちのけで宇宙開発に注力し、熱中し続けて、何十年という単位で宇宙船建造計画を打ち立てて、迷走を続けたまま──
今に至る。
政府は狼少年だ。かわいそうなやつなのだ。
今まで意地とか見栄を張って嘘ばかりついていたからいざってときに信じてもらえない。
有馬は信じる。遠い宇宙の彼方に人間がそのまま住める惑星はきっと存在するだろうし、宇宙人は実在するし、集合無意識もダークマターも宇宙の意志もいつか正体がはっきりする。するったらするのである。
だってその方が面白いから。
嘘なのに、面白くもないのに、宇宙基地や移民船が造られたりするもんか。
そう思うのだ。
「これ持論。世界はロマンを求めてる」
基地に集まった子供たちに有馬は演説をぶっていた。
格納庫にいたのはまず現メンバーの全員。ジジイ勢と俊郎とセリナと有馬とチャイにキバリー。手伝ってもらった基地職員の方々。近所の子供たち。それに電気工事関係者、自ら後援に名乗りをあげた(るように仕向けた)町会役員の方々。重要施設管理人。
いよいよ計画が人目に触れ始めたのである。
この人たちヒマなんだなぁ、と身も蓋も無い感想。
「すいませーんおくれましたー」
印刷屋さんの息子と嫁が荷台を引いてやってきた。
「それじゃーこれ伝票なんでーありがざっしたー」
置かれていったダンボールを有馬とチャイがほどきにかかる。雷電の操縦席にトールジイは梯子をかけ、座席が外され、その奥に積荷スペースが開いた。レシプロ戦闘機なんてブリキ製風船みたいなものなので、胴体はほぼ空っぽだ。人一人くらい余裕で積める。印刷物五十キロくらい朝飯前である。
せっせと積み込み作業が進められるなか、人だかりから抜け出してくる影。
「あ、有馬っ!」
珠樹だ。有馬は作業の手を止めた。
「ごめん! 今まで謝れなくてごめん!」
「え、なんのこと?」
「だからさ、夏休み最初の日に約束すっぽかして」
「……忘れてた」
今さらだ。
「だからさっ、おれも仲間に入れてくれよっ! こんな面白そうなことやってるなんて知らなかったんだよ! 親友だろ?」
「えー、どうすっかなー」
「おぉい心の友よぉー!」
十年来の友Tにひっつくな気色悪いと容赦ない蹴りをくれまくる。まったく、もっと早く来れば良かったのに。
人だかりの中、キバリーが強引に誰かを引っ張り出してきた。「や、やめ、ちょ」と嫌がるのは深窓の似非令嬢ヤーコ。有馬に見つけられるなり、キバリーを払いのけふんと斜に構えて、
「見世物があるっていうから、わざわざ来てやったわ」
「頼んでないし」
「うるっさいわね。珠樹がどうしてもって言うからついてきたの! じゃなきゃこんなとこ誰が」
「こいつらねーこいつらねー! オレっちが誘ったんだぜー! ときどき基地に来てたから!」
さすがに有馬は少し固まる。
「…………友達?」
「そー!」「まあ」「友達じゃないわよ!」
驚いた。キバリーが知らぬ間に、知り合いを作っていたとは。
「それで、見世物ってなんなのよ」
「雷電が直ったからそのお披露目。ちょっと飛ばして、他の町に宣伝しに行く。今年の流星祭りでうちはこんな出し物するよって、ビラで」
「へえ……地味なことするのね」
「はあ? 地味じゃないって! ちょっと考えてみろよ空からバラまくんだよ!」
「何か意味あるの?」
かぁーこれだから。有馬はぺしっとおでこを叩いた。ヤーコの「なにこいつ」という視線。
「見上げる空! そこに飛行機! なんかバラまいてる祭りの告知? 楽しそうだ行くしかない! この夏はこれに決まりだね!」
大げさな身振り手振りでもって表現してやった。もちろん引かれていた。
「……で、誰が操縦するの? まさかあんたじゃないわよね?」
有馬も自分で操縦できたらどんなにいいかと思う。
「──準備できたぞ有馬。先に乗ってろ」
お声がかかった。
キバリーはにししと笑い、珠樹はまるで金銀財宝を見るときの目つき。
「じゃ、ビラを配る仕事がありますから」
ちゃっと二本指を切り軽やかに離れていく。
操縦席に背中合わせの座席と広げられた後ろの風防。
雷電は後方視界がほとんど取れない。ガラスにへばりついてやっと尾翼が見えるくらいになる。開放された格納庫のシャッターからぽろぽろ人が溢れて、駐機場の端で並んでいた。
弁当は持った。水筒も。お金はいらない。地図はある。ハンカチもティッシュも。トイレ済。テントも無いし寝袋も無い。落下傘なんかもちろん無いから、エンジントラブルがあったらそれまで。
準備は万端なのだった。
「心残りはないか?」
変なことを聞く。
「あっても遅いがな」
操縦席で彼はニタニタ笑っていることだろう。
はいはい。驚かされましたよ。
トールジイはれっきとした事業免許持ちの操縦士だったのだ。
「いいから出せ! はやくはやく!」
がたんごとん座席を揺らした。直前になってどばーんと証明書を突きつけられたときの恨みは忘れない。
「わーったわーった。揺らすなたわけ!」
エンジンはもう回っている。腹に力を込めないと声も届かない騒音の中、雷電は誘導路から滑走路に出ようとしていた。
後ろ向きに座っているから、風景は前に流れる。
──親父は来てるかな。
何の気なしに探してみる。別に来てもらわなくたっていいけど。いたって変わらないし、何か言うたびやめろ無理だと嫌そうな顔ばかりするし、やったらやったでむすっと黙ってしばらく口を聞かなくなるし、あんなやつ、あんな、
いた。
観客の中で、憮然と腕を組んでいた。
いまだにうちの人間がここにいる事を許せない、そんな不機嫌丸出しの顔だ。対照的に、横では里子がにこやかに微笑んでいる。
悔しいなら来なけりゃいいのに。
「手でも振ってやったらどうだ」
迷う。
すこし考えてから、手は振らず敬礼してやった。
「かっこつけだな、お前は」
「トールジイに言われたくないんだけど」
「格好をつけるのはいい。何せかっこいいからな。世の中みんな格好つければいいんだ」
「それはそれでヤダなぁ」
滑走路に正中線が揃えられた。いよいよ離陸だ。
「行くぞ。ハーネスを確認」
引く。OK。締まりすぎて動けないくらい。後方銃手視点だと座席に収まるというより、身体中がんじがらめにされている感じ。ビラ撒き用の特別席なので乗り心地は期待できないとの事。
それでもぐっと親指を立てた。
急激な加速とともに上体が前へ押しやられる。
速度の増加が身体へ伝わってくる。息を止め、胸に力を入れた。尾翼、離床。地面に平行を保ったまま、雷電はさらなる加速。唸るような轟音。後ろから前へ吹き飛ぶ景色。容赦なく操縦席に入り込んでくる排気煙。
なだらかな斜面を登るように、
雷電は離陸した。
数日後、他のパイロットが到着した。
真っ昼間、基地を轟音に包み、大型テイルト機からよろぼい降りてきたのは、これまた漬物のような爺様方ばかりだった。
その中でもいっとう若い初老の男がハキハキした日本語で挨拶しに来る。
「トール! 久しぶりだな!」
「ヘルマン! どうだ宇宙基地の様子は?」
「孫に任せたって何も変わらない。人より機材が優秀すぎるんだ。ところでフォッケヴルフくれるって言うから飛んで来たけど、本当なのか?」
「エンジン持ってきたろうな」
「博物館に貸してもらったよ。機体は全部接収されてしまったからね」
お互い肩を叩いて笑い合う。トールジイがちゃっちゃと手招きするので、おずおずと出て行った。
「トールのお孫さんかい?」
「孫の旦那だ。この祭りの発案者でもある」
めんどくさいので否定しない。
「……長旅お疲れさまです」
「若いのに気骨ある坊やじゃないか。私はヘルマン・ラルというものだ。レッドラインの宇宙開発基地で働いているが、今は休暇でね。是非このお祭りに参加させてもらうよ」
親しみやすい笑顔でがっちり握手された。溌剌としたじーさまである。
それより気になって、訊ねた。
「フォッケウルフもってちゃうんですか?」
「ダー。トールの申し出はとてもありがたいものだった。私財を投げて燃料代をつぎ込む価値のあるものだ。前からとても欲しかったのだよ」
もう待ちきれんとばかりに現物を探し始めるヘルマン。もしかして、それだけで化石のようなクルー達を引き連れて垂直離着陸機をチャーターしてまではるばる赤道から渡ってきたというのだろうか。
間違いなくトールジイと同じ人種だった。
同日、午後になると今度はどでかい輸送機がやってきた。アメリカの国籍マークをでかでかと付けた機体だ。
着陸してすぐ武装したマッチョな軍人さん方が次々と吐き出されていき、尻のカーゴベイが開くと銀色の戦闘機がぞろぞろ三機も降りてくる。どれも世界大戦時代のファイター。ヘルキャット、コルセア、マスタング。
やがて代表者らしきグラサン男がずんずん歩み寄ってきた。
「来てやったぞトールぅ!」
「相変わらず派手好きだなゲイリー」
「我が国の力を誇示するためのエアショーがあると聞いて、文字通り飛んできたぞ! 今度こそこてんぱんに叩きのめしてやる!」
その姿はまさに筋肉ダルマ。世が世なら怪物とジャングルで死闘を繰り広げたり、未来からの追っ手だったりしただろう。見るからに血の気の多いおっさんである。
「おじさんもパイロットなの?」
「なんだこの少年は、さっきから私のことをプレジデントを眺めるような目つきで見つめてきやがる。トールの息子か?」
「有馬だ。孫の旦那だよ」
あんまり知らない人にダンナダンナ触れ回らないでほしい。
目線の高さまでしゃがみ込まれて、グラサンを取った彼は、白い歯をキラっと光らせた。
「そうか。私はゲイリー・マックイーン。空軍の大佐だが、将来は大統領になる男だ。キミがアメリカ国籍を手に入れたときは、ぜひとも選挙権を有効活用してくれたまえ」
傲岸と不遜が服を着て歩いてるような人だなー、とむしろ感心する。
「トール! ジョージとジャックを復元したらしいが、我が隊の敵ではない! 貴様には私の輝かしい未来を彩るための、立役者になってもらおうか!」
「けっこう。ハンガーはこっちだ。ところでメシは食ったか?」
「カツドンが食べたい! これが楽しみで仕方なかったんだ!」
扱い方がこなれていた。
古い知り合いなのだろうが、トールジイの交流関係の広さを思い知らされた出来事だった。
目に見えて忙しくなってくる。
立駒基地を拠点に、大人たちが段取りするようになってからは、逆に有馬の仕事は少なくなった。手伝いを申し出たりしたけれど、運営委員の配役はすでにかっちり決まっていて、基地の使用できる設備や連絡事項の通達などは元からいる職員に集中してしまい、有馬の出る幕が無かったのだ。
ここまで事態が動き出すと、何もしなくても勝手に進んでしまうのだろう。
やりたかった計画はすべて組み込まれてしまい、あとは全部大人の仕事で、有馬はそのへんにいる子供たちと遊んでいれば良かった。時の流れにぽっかりと穴が空いて、一人だけ取り残されたみたいになる。
でも、悪い気はしない。
基地では、格納庫が有馬の居場所だ。
夜になってもそこには人がいた。
戦闘機が三機増えても、テニスがあと三試合は同時にできそうな広い格納庫。この時間まで整備作業はしていないけれど、戦闘機の近くに集まって何人かが談笑している。アメリカチーム、ドイツチーム、日本チームの三グループ。
若い整備士らしい何人かが、他グループの機体を差して何か話していた。若者がいるのはアメリカチームだけだが、寄り集まってる場所はフォッケウルフの下だ。ヨボヨボのじーさんに、身振り手振りで何かを伝えようとしてる。
見ると、日本チームの方にも三人ほど集まっていた。対する憲ジイは厄介者を払うようにそっけない。
「憲ジイ、なにおこってんの?」
「あッ? ……なんじゃ有馬かい」
老人特有の梅干みたいな渋面。
「なんでもないわ……遅いぞ。けえれけえれ」
「母さん待ってるんだ。食堂で働かされてるから、終わるまでヒマでさ」
引き際を見失って立ちんぼする若者たち。その正面に「とお!」と軽快な掛け声でキバリーが落っこちてきた。紫電改の操縦席で遊んでいたようだ。
「はろはろ。どうもすいませんね。偏屈なじいさんで。オレっちが言っときますんで」
ここ数日で著しいコミュニケーション能力の向上を見せるキバリーを、話せる相手と見たのか、若者三人は果敢にも再戦を試みてきた。日本語いっさいナシ。キバリーがうんうんそれでーと思いっきり日本語で対応している。
憲ジイはどっこいしょとビールケースに腰を下ろした。
「日本に来たら日本語話さんかい……これだから毛唐のワカモンは」
ワカモンは関係ないだろとか言ったらゲンコツが降ってきそう。
「嫌いなの?」
「そういうんじゃねえ」
「じゃあなんだよ」
「……どうにもやるせなくてな」
「?」
「逃亡兵だったんだよ、儂は」
淡い目線を中空に投げる。
「相手もこっちもバカみてえにやったのやられたの、ほとほと嫌気がさしてなぁ、最後の戦で落っことされたフリして、逃げ帰った。ジローもそうだ」
重々しい語り口。
大戦末期は、泥沼だったという。
度重なる戦線放棄。士気の低下。大量発生した逃亡兵。隕石危機の始まりと重なった資源の奪い合い。本当は戦争なんかしてる場合じゃなかった、世界的愚行。歴史の授業そのまま。
勝ち負けなんて無かった。憲ジイも祖父も、その一人だったのだ。
「村も丸ごと無くなっててな、やれっこともなくて不貞腐れてとった。そんときジローが色んなこと見つけてきた。このへんは前に話したな」
うんうん頷く。
祖父は、飛行機で落ちて死んだらしい。
悔恨いっぱいの表情だった。憲ジイは祖父の死んだ原因が、自分にあると思い込んでいるのかもしれない。そのとき機体を整備していたのは彼だったらしいから。
そんなの、憲ジイが悪いはずない。
冒険者の死はいつだって自己責任だ。
でも、
もしかしたらこの計画を、二つ返事で協力してくれたのは、その責任を取ろうと──
お客さんと話していたキバリーが向き直った。
「こいつらパイロット候補生なんだってさ。憲ジイのこと話したら、戦争のときの話聞かせてくれって。ビールくれるってよ」
有馬は咳き込む。
「キバリー。その話はちょっと」
「ん? いいじゃん減るもんじゃないし」
ていうか普通に話通じてるし。
人の心配をよそに回されてきたビールを受け取り、憲ジイは迷う事無く一気飲みした。
瓶を空にして、再び開いた目には、闘志の炎が宿っていた。
「ふん。いいだろう。なるほどな。ジローのやつめ粋なもんを残しおる。死ぬならこいつを晴らしてから死ねっつうことか」
すっくと立ち上がり、
「紫電に乗るのはこの儂だ」
背筋が、伸びていた。
「老兵は死なんぞ。儂も戦おうじゃないか」
「年寄りの冷や水……」
「おーすげー、話してしてー」
キバリーの通訳で、ご自分の武勇譚をさも誇らしげに語っていく。その光景は何とも奇妙で、薪をくべた焚き火のように、不思議と安心感を抱かせた。
この祭りは成功する。
強烈にそう思う。
色んなものが、色んな方向に動き出している。
有馬も、自分ひとりではもう把握できないくらい、このお祭りには、たくさんの人たちが集まっていた。
それぞれの想いを込めて。
それぞれの生き方にそって。
みんなを、ひとつの場所に放り込み、火をかけて、溶かし、混ぜ合わせていく。
想いは混ざり、大きくなる。
私はそれを、たいへん好ましく思う。