好きな人が私とは無関係な美少女に告白してるのを目撃しちゃいました。
こんにちは!美甘です(^^)
私・由花には好きな人がいる。
それは、美男子で有名な夏葉くん。
「重たそうだよ。一緒に持って行ってあげるよ」
「由花ちゃんは笑顔が素敵だね」
「補習?勉強教えてあげようか?」
優しい夏葉くんが私は好きだった。
「由花ちゃん、一緒に帰ろう」
「うん、帰ろう」
最近、家が近いのもあって一緒に帰ることもあり、そろそろ告白しようかなと思っていたのだけど……。
「好きです。付き合ってほしいです」
私は、黒髪の美少女に彼が告白しているのを目撃してしまったのだ。
「はい」
美少女がばっちり返事をするところまで。
♡♡♡
「好きです。付き合ってほしいです」
「はい」
好きな人が自分ではない誰かに告白しているのを目撃してしまい、私は慌ててその場から離れた。
「夏葉くんが告白……!?」
誰もいないところまで行き、思わず私は声を漏らした。
知ってる。夏葉くんが告白していたあの子、美少女で有名な莉里ちゃんだ。
さらさらな黒髪を束ねて、運動もできる可憐な子。
茶髪で運動もできない私とは真逆の。
ーーそっか。ああいう子が好みなのか。
ちょっと悲しいな。
ずっと好きだったから。
まあ、美男美女でお似合いか……。
なんでだろう。視界がぼやけてくる……。
私、泣いてるのか。
笑っちゃうな。
私の恋は終わったのだ。
今日は眠れなさそう。
私は、目が赤くなった後に家へ帰った。
♡♡
「由花ちゃん、おはよう」
いつもだったら、嬉しい夏葉くんの挨拶。
でも今日は少し悲しくなった。
ーー昨日の事を思い出してしまったから。
「おはよう」
私、笑えてるかな?
うん、多分笑えてる。
そう思ったのだけど……。
「由花ちゃん、今日元気ないね?どうしたの」
彼がそう言ってくれたから、笑えていなかったのだと自分も気づいてしまった。
「そう?私は元気だよ!」
慌てて誤魔化したけれど。
ーー楽しくないな。
その日、私はテンションが低かった。
休み時間、ふと彼に目をやると廊下で莉里ちゃんと話している姿。
授業中、眠そうにあくびをしながら、でもノートをきちんととっている姿。
……いつでも嫌なほど夏葉くんが目に入ってくる。
そして、莉里ちゃんと話しているのを見た後の私は……
……楽しそうだな。
隣にいるのは、私が良かったな……。
まあ、そんなこと言っても仕方ないか。
特に気分が落ちていた。
「ねえ、由花ちゃん」
「何?」
帰り道、いつも以上に真剣な表情で彼にそう言われたことで、全てが吹き飛んだのだけど。
「ずっと好きだったんだ。付き合ってほしい」
……え?
私は耳を疑った。
「え……。夏葉くん、莉里ちゃんが好きなんじゃ……?」
「どういう事?」
夏葉くんは驚いたような表情を浮かべる。
……どういう事?私が言いたい。
「私も、好きだったよ。昨日までは……」
「えっ……?」
ポロポロと涙がこぼれてくる。
……ああ。まだ私、夏葉くんのことが好きなんだな。
「莉里ちゃんに告白してたじゃない」
少し乱暴に私はそう言う。
好きです。付き合ってほしいです。って……
あれは聞き間違いじゃないと思うし……
泣いていると、私が言った言葉を理解したように夏葉くんは頭を抱えた。
「ごめん由花ちゃん、誤解だよ……」
そして彼は私を抱きしめてそう言った。
♡♡♡
「おはよう、由花ちゃん」
いつも通り、俺・夏葉は好きな子に微笑んでそう言ったのだけれど……。
「おはよう」
今日の彼女はいつもより元気がないように見えた。
「由花ちゃん、今日元気ないね?どうしたの」
心配してそう言うと、
「そう?私は元気だよ!」
顔をあげていつも通りに笑う彼女を見ると、気のせいだったのだと思った。
よし!今日は頑張るんだ。
何しろ今日は、由花ちゃんに告白するから。
昨日は、従兄妹の莉里に告白チェックを受けたから大丈夫なはず。
「好きです。付き合ってほしいです」
「はい…………………ってそんなに上手くいくかー!!」
「え」
そう練習の時に莉里が由花ちゃん役として俺の前に立っていたら、少し怒ったように言った。
「それ、由花さんに言うのよね?」
「うん」
「他人行儀すぎるわ」
モテ女である莉里の意見は的確だった。
「もっとなんかあるでしょ!?笑顔が素敵だとか、優しいところに惹かれたとか」
「それならいっぱいあるよ」
「言ってみなさいよ」
莉里に言われ、俺はうなづきながら言った。
「いつもかわいいところが好き。俺のこと見ながら微笑んでいるのが好き。いつも眠そうに授業受けているところが好き。泣きたいのに涙堪えているところ好き。いつも周り見ているところ好き。それから……」
「もう良いわ。好きなのは伝わるけど、逆に引いちゃわ」
「えっ」
まだまだ好きなところ言えるのに、それを言うのはちょっと重いと莉里に指摘された。
「重いのは仕方ないとして、ちゃんと想いが伝わる言葉の方がいいわね。ずっと好きだったんでしょう?それを伝えれば良いのよ!」
莉里はビシッとそう言った。
「たとえば?」
俺が言うと莉里は自信満々に言った。
「ずっと好きだったんだ。付き合ってほしい、とか!」
「それ最初俺が言ってたのと変わんなくない?」
「全然違うわよ!今の夏葉にピッタリの言葉よ?……重いのもバレないし」
「最後何か言った?」
「なにもー?」
でも、莉里の言う通りかもしれない。
ずっと好きだった気持ちが由花ちゃんに届いてほしいのは本当だし。
「ありがとう莉里。頑張るよ」
「ええ、頑張りなさいよ」
そう言って今日の日を迎えたのに。
「ずっと好きだったんだ。付き合ってほしい」
そう言うと由花ちゃんは驚いた顔をした。
「え……。夏葉くん、莉里ちゃんが好きなんじゃ……?」
え?
俺が莉里を好き?
「どういう事?」
戸惑い、そう聞くと由花ちゃんは大きな目からポロポロと涙をこぼした。
「私も、好きだったよ。昨日までは……」
「えっ……?」
どういう事だ?
昨日まで好きだったって。
「莉里ちゃんに告白してたじゃない」
らしくなく、少し乱暴に由花ちゃんは言う。
その言葉を聞いた俺はハッと気づいた。
莉里に告白してたって、もしかして……!
昨日の練習を見てたのか!?
「ごめん由花ちゃん、誤解だよ……」
理解した俺は彼女を抱きしめてそう言った。
ーー俺は由花しか愛してないよ……っ。
♡♡♡
「由花ちゃん、誤解だよ……」
え……?
そう言って私を抱きしめた彼は、好きと言いながら昨日の出来事を話してくれた。
「莉里ちゃんって、夏葉くんの従兄妹だったの!?」
「そうなんだ。誤解させてごめん」
確かに二人とも美形だし、納得……。
「で、わ……私を好きって本当?」
びっくりしながら聞くと夏葉くんはうなづいた。
「うん。大好き」
う……そ……!?
「付き合ってほしいんだ。由花ちゃん」
彼の目は本気だった。
私は……?
私は夏葉くんのこと……好き?
うん、好き。
自信満々に言えるくらい。
莉里ちゃんと結ばれたと思った時に泣いちゃうくらい。
でも、ずっと考えちゃうくらい。
「私も夏葉くんのこと、好き。付き合ってください!」
また、涙がポロポロと溢れてくる。
その涙を夏葉くんが手で拭ってくれた。
「これからもよろしくね、由花ちゃん」
「うん。夏葉くん」
私達は笑いあった。
♡♡♡
「上手くいったようで、良かったわ」
次の日、私と夏葉くんの前で微笑んでいたのは、黒髪の美少女・莉里ちゃん。
「わあ。やっぱりかわいい……」
私がそう言うと莉里ちゃんはクスッと笑った。
「ありがとう。でも由花ちゃんの方が夏葉にとって、とーってもかわいいはずよ?」
そう言われ、私は夏葉くんの方を見てみると夏葉くんの顔は真っ赤で、こっちまで顔が熱くなってきた。
「あら、初々しいわね」
クスクスと莉里ちゃんは笑う。
「夏葉、由花ちゃんのこと好きすぎて、余計なことしてないか心配だったけど、大丈夫そうで何よりだわー」
ん?好きすぎる?
まじまじと顔を見ると夏葉くんに視線を逸らされた。
「好きすぎたら、ダメなの?」
か、かわいいっ!
夏葉くんがかわいいっ!
「ダメじゃない!」
そう言うと、夏葉くんがさらに顔を赤らめる。
「そう言うこと、簡単に言わないでよ……我慢できないじゃん」
「ん?最後何か言った?」
「知らなくていいよ」
私達が話していると、莉里ちゃんが笑って言った。
「じゃ、私用事あるから行くわ。末永くお幸せにね」
「ありがとう、莉里」
「り、莉里ちゃんっ、ありがとう!」
「ええ」
莉里ちゃんが行った後、夏葉くんは少し照れながら言った。
「あのさ、本当に由花ちゃんのこと好きだから」
「う、うん」
莉里ちゃんが去った後、手を繋がれて抱きしめられたものだから、びっくりしながら返事をすると夏葉くんは幸せそうにしながら頬を緩める。
「これからはずっと一緒にいてね」
「うんっ!私も大好きだよ夏葉くん」
そう言って私も笑った。
「ああ、やっと俺の由花になった」
夏葉くんが愛おしそうに私にキスするまで、あと10秒。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
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微笑ましい二人の物語いかがでしたか?
私は莉里ちゃんが好きです!(と、言っても三人しか登場していませんが……)