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〜Doragoon Life〜 最強種族の王子、転生して学園生活を謳歌する  作者: かみやまあおい
第3部

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第68話 封印の解放

ラムジュがシュオの体に戻ってから1週間が経とうとしていた。

この1週間、ラムジュは学院を休み部屋に籠ってひたすらにシュオの魂の封印を解こうと努力をしていた。

だが天使の封印は普通のものとは違い、解除魔法では簡単に解く事ができないぐらいに複雑なものになっていた。

ラムジュの知識にあるあらゆる解除魔法を試しても封印を解く事はできない。

ラムジュはそれに焦りを感じていた。


自分の知識でなんともならない以上、誰かの知恵を借りなければならない。

だが、天使の封印を解く方法を知っている者など第四世界にいる訳がない。

せめて自分の魂だけでも第三世界に戻れれば可能性はあるのだが...


自身の魔力の限界を感じたラムジュは解除をいったんやめてベッドに寝転がった。

どうにかしてこの状況を打破しなければならない。

強力な魔族と戦う事になった場合、シュオの力は絶対に必要になる。

また以前にやられて痛感した絶対的な実力差。

これを縮めるためには魂だけの自分ではなくシュオ自身の魔力と肉体を鍛えなければならない。

そのためにはなんとしてもシュオの魂の封印を解かなければならないのだがそれが自分ではできない。


「八方塞がりだな......」


ラムジュはこのどうしようもできない状況についぼやいてしまう。

誰か詳しい人間はいないだろうか。

魂について詳しく、そこに何かをできるような人間......


「あっ!!」


そういえば1人だけ魂に詳しい人間がいた。

エア・グリニス。

学院でそういう研究をしている講師だ。

以前、シュオとラムジュの魂を入れ替える『魔力混合』を提案してきた人物だ。


「あいつに話せば何かヒントが得られるかもしれない......」


ラムジュは起き上がると、学院の制服へと着替え始めた。


――――――――


学院に登校した時はだいぶ夕方に近づいており、帰宅する生徒が多かった。

その波に反するように歩くラムジュ。


「あれ、シュオじゃないか?」


校舎に向かうラムジュに声をかけてきたのはカイルだった。


「おう、カイルか。何か用か?」

「あ、そうか。今のお前はラムジュなのか...1週間も学校を休んでたやつがこんな時間に学校に来たなんて何かあったか気になるじゃないか。」

「ちょっとシュオの封印を解くためのヒントが欲しくてな。エア・グリニスに話を聞きに来た。」

「あー......あの先生か......」


カイルは初めてエアの研究室を訪ねた事を思い出す。

まだ1年生だった頃だ。


「あの先生、研究室から出てこないからいるのかどうかも分からないんだよな...」

「いてもらわなくては困る。今の俺にはちょっとした情報でも大事なんだ。」

「そりゃそうだよな...よし、俺も一緒に行くわ。」


話が上手いカイルならこちらの欲しい情報をうまく聞き出してくれるか。

ならば一緒に来てもらった方がありがたいな。


「分かった。じゃあ一緒に行こう。」


ラムジュとカイルは2人で校舎の中へと入っていった。


エア・グリニスの研究室は校舎内のかなり隅にある。

それだけ異質な研究者として扱われているのだろう。

部屋の扉は相変わらず汚れており、掃除をした気配もない。


「ここに来るとなんか緊張しちゃうんだよなぁ。」


カイルの言葉もなんとなく分かる。

初めて来た時はシュオの体の中から見ていたが、あの講師は独特なのだ。

そして見た事もないような謎の装置を使って実験をしてくる。

正直ラムジュもあまり来たくはない場所だった。


「じゃあノックするぞ。」


カイルは慎重にドアをノックする。

中から前にも聞いた返事が聞こえてくる。


「失礼しまーす......うわっ!」


カイルはドアを開けると中の散らかり方に驚愕する。

2年前に見た時よりも散らかり方がひどい事になってた。一時期シュオが通っていた事で綺麗になっていたはずなのだが。


「あら、久しぶりにカイル君じゃない。それにシュオ君も一緒なのね。」


エアは奥の棚から顔をだすと久しぶりに見る生徒の姿に笑顔になる。


「悪いが今はシュオじゃない。」

「あら、そしたらラムジュ君...だっけ? 今日はいったいどうしたの?」

「先生、ラムジュが先生に相談したい事があるって言うんです。」

「ほほう、久しぶりに私を頼ってきたって事はまたシュオ君との魂絡み?」

「さすが先生だ。まったくもってその通りだ。」


ラムジュは近くにある椅子にドカッと座る。


「今シュオの魂が厄介なもので封印されてしまっているんだ。それをなんとかして解きたいんだが俺の魔力でも解けないんだ。」


「なるほど...」と言うとエアは奥から出てきて椅子に座る。


「魂の封印とは聞いた事ない話ね。少なくとも第四世界の魔術ではないわね。」

「ああ、第三世界の天使が使った魔法だ。俺が第三世界に戻れれば何とかなるんだろうが、今の状態じゃ何もできないんでな。」

「第三世界!? 天使!? ちょっとあり得ない言葉ばかり出てきて驚きしかないんだけど...」


エアは額に手を付けて考える。


「なあ先生、なんとかいい方法ねえかな?」

「そうは言われてもねぇ......聞いた事もない封印を解く方法なんて......」


エア立ち上がると唸りながら部屋の中をウロウロと歩き回る。

カイルとラムジュはそれをただ見続ける。


「そうか......!」


2周ほど部屋の中を歩き回ったところで突然エアが声を上げる。


「なんだ先生! なんか思いついたのか!?」

「封印を解こう解こうと考えるからいけないのよ。だったら壊しちゃえばいいのよ。」

「壊す?」

「例えば鍵のかかったドアがあるとする。鍵はどうやっても開ける事が出来ない。でもそのドアの先にどうしても行かないといけない。どうすればいい?」

「ドアを蹴破ればいいって事か。」


ラムジュの回答にエアは「正解」と指を鳴らす。


「シュオ君の封印にラムジュ君の魔力をぶつける。それも全力の魔力よ。天使の封印がどんなもんか知らないけどかなりの人の魔力を集めればいけるんじゃない?」

「なるほど、他のやつの魔力も集めてぶつけてやりゃいいのか...」


ラムジュは立ち上がると「ありがと先生」と言って部屋を出ていった。カイルも慌てて後を追う。


「どうすんだよ、ラムジュ?」

「生徒会室に行く。あそこにいるメンツなら魔力はみんな高いだろ。それをすべて集める。」

「なるほど、その手があったか。」


2人は急ぎ生徒会室に向かう。

部屋の中に入るとリーザ、マリア、2年生のゼス、ルア、タニアの5人が残っていた。


「シュオさん! ずっと休んでたから心配しましたよ!」


寄ってくるゼスを払い、ラムジュはリーザの元に行く。


「お前達全員の力を借りたい。手を貸してくれ。」

「え? 一体何をするの?」

「シュオを助けるんだよ。」


――――――――


ソファの周りに7人が円を組み手をつないで立つ。


「いいか。全員魔力を全力まで高めてくれ。それを俺に集める。その集まった魔力でシュオの封印を解くんだ。」


訳の分かっていない2年生3人を置いておきリーザとマリアは頷く。


「頼むぞ。お前たちの力が必要なんだ。じゃあ全員魔力を高めてくれ!」


ラムジュの合図で全員が自身の中の魔力を最大限にまで高める。

その魔力がそれぞれの体を通って集まりラムジュに集約されていく。


「もっとだ! もっと魔力を高めろ!」


ラムジュに集まり始める魔力を感じ、さらに発破をかける。


「これで...全力だ...!」

「ラムジュ...なんとかなりそう...?」


どんどん魔力がラムジュに集まってくる。その魔力をラムジュ自身の魔力に混ぜ合わせる。


「これなら...いけるかもしれん!」


皆の魔力に合わせてラムジュの魔力も最大限にまで高める。

狙いは封印されているシュオの魂。

自分の中に自分の魔力をぶつけるなんて事はやった事はないが、解除魔法を唱えるのと理屈は同じはず。

集まった魔力の塊をラムジュはシュオの魂目掛けて投げつけた。

魂の周りに封印のバリアが現れ魔力の塊とぶつかり合う。


「うぉおりゃあああああああ!!」


ラムジュから竜の力が放たれ、魔力の塊を後押しする。

魔力の塊は更なる力を増して大爆発を起こした。

その威力にラムジュ自身はその場に倒れる。


「ラムジュ!」

「おい、大丈夫か!?」


リーザとカイルが倒れたラムジュに駆け寄る。


「しっかりしなさい! 目を開けて!」


マリアも駆け寄ってラムジュの頬をはたく。


「.........い、痛いよ、マリィ.........」


目を覚ましたその声はシュオ・セーレンだった。

表情もラムジュのようではなく穏やかな顔になっている。


「シュオ様!!」


マリアは思わずシュオに飛びついた。


「よかった......よかった......寂しかったんですよ......」


マリアは抱き着きながら涙を流す。

カイルは涙を浮かべるリーザを抱き寄せる。

2年生の3人だけが訳も分からず完全に置いてきぼりだった。


「...僕、何も覚えてないんだけど...今度はどれぐらい経ったの...?」


シュオの質問にカイル達は笑みを浮かべた。

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