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第34話 入会試験

「いきますよ!」


ゼスはまっすぐシュオに向かって走ってきた。

剣を振り被るとシュオ目掛けて振り下ろす。

シュオはそれを2本の短剣で受け止める。


「力はあるね...でも直線的な動きすぎるよ。」


シュオは剣を受けながら左足でゼスを蹴り飛ばした。

「うぐっ!」と声を漏らしながら横に転がるゼス。

シュオは走り出すと転がっているゼス目掛け短剣を振り下ろす。

「うわあぁ!」と慌ててゼスは転がってかわして立ち上がる。


「しゅ、シュオ先輩...これって試験ですよね?」

「そうだよ。だけど命を真剣勝負をしないと試験にならないと思うんだ。」

「な、なるほど...じゃあ僕も真剣に行きます!」


ゼスは再び剣を構えるとシュオに向かってくる。


「うん、今度はさっきより直線的ではないね。」


ゼスはシュオの直前で直角に左に曲がると剣を振る。

ただ、シュオはそれを片方の短剣で受けると、ゼスの剣を跳ね上げた。

剣が宙を舞い、地面に転がり落ちる。


「今のはいい動きだったよ。悪くはなかった。」

「いや、まるで遊ばれてた感じでした...」

「最初はそうだよ。これから一生懸命練習して強くなっていこう。」


ゼスは転がった剣を拾うとトボトボと舞台を降りた。


「さあ、じゃあ次はタニアさんだ。やろうか。」


呼ばれたタニアは「はい!」と裏返った声で返事をしながら舞台に上がる。

シュオの第一印象としては緊張はしているもののゼスよりもやりそうな感は受けた。


『おい、シュオ。あのお嬢さんとは俺とやらせろよ。』


突然ラムジュが言ってくる。


「ダメだよ。ラムジュがやったら本気で殺し合いになっちゃうよ。」

『そうは言ってもあの子が本気を出したら今のお前じゃ厳しいかもしれないぞ。』

「え?」

『まあとりあえずやってみろよ。俺はいつでも交代できるようにしておくから。』

「分かった.......」


シュオは舞台に上がってきたタニアの様子を注意深く見つめていた。

タニアが抜いた剣は普通の長剣ではなく曲剣(シミター)だった。


「珍しい武器を使うね。」

「はい。これお母さんから譲り受けたものなんです。」


タニアはシミターを構える。その構えは通常の構えとは違う独特の構えだった。

左足1本で立ち、左手は相手に向けて伸ばし、右手でシミターを頭上に構える。

初めて見るこの構えにシュオは若干戸惑った。


「じゃあ...いきます!」


タニアは独特の動きでシュオに近寄ってくる。

シミターの動きは独特で短剣でも受けづらい。

そして回転し、円舞を踊るような動きにシュオは翻弄される。


「くっ...!」


シュオはなんとか距離を取ろうとするがタニアの舞は止まらない。

これを止めるにはあの剣を折るしかないのだが、今のシュオの装備ではそれは不可能だ。

短剣でシミターをなんとか止めると回転しながら蹴りが飛んでくる。


(確かに...これは僕じゃ無理かもしれない...)


「ちょっと待って!」


シュオはタニアに声をかけた。その声にタニアは円舞を止める。


「どうされましたか。まさか怪我でもさせてしまいましたか!?」

「違う違う。ちょっと僕だけでは対応できなさそうだから、ちょっと援軍をね。」


シュオはそう言うと目を瞑る。

突然の事にタニアも円舞の体勢を崩しシュオを見つめる。


「.........いくよ。」


突然シュオの周りが光に包まれる。

光はだんだんと大きく、色も赤く変わっていく。

光が完全な赤へと変化した時、飛び散るように光が消え去った。

その中心に立っていたシュオは微動だにしていない。だが、雰囲気が明らかに先ほどまでとは変わっている事はタニアにもゼスにも分かった。

そしてシュオが目を開ける。

その目の強さはこれまでのシュオの物とは違っていた。


「面白い武術を使うお姉ちゃんだ。今度は俺がその力を確かめてやるよ。」


声は完全にシュオのものではある。だがその迫力は今までとはまったく違っていた。

そして先ほどまでのシュオとはまったく違う殺気。

手を抜いたら完全に殺される、タニアは恐怖を感じていた。


「さあラウンド2だ。来いよお嬢ちゃん。」


シュオの挑発にタニアは再び向かっていく。

全身を回転させながらシュオ目掛けシミターを振る。だが、シュオはそれをあっさりと横に避ける。

そしてシュオはかがむとタニアの足を払おうとする。タニアはそれに気づき左足のみで跳躍してかわす。

だがシュオの狙いは跳躍した彼女だった。

華麗な動きができない所にシュオが起き上がりつつ回し蹴りをくらわす。

タニアは回避の動きができないまま無様に舞台を転がった。


「動きはいい。だけど相手の次の動きまで読めてないから俺の反撃をもらう。言ってる事分かるか?」

「は、はい!」


タニアは指導をしてもらえたのが嬉しかったのか笑顔で返事をする。


「どうする、まだやるか?」

「い、いえ! 今指摘いただいた事をまずは注意して戦闘できるように特訓します!」

「そうかい。それじゃあここまでだな。」


シュオが短剣をしまおうとした時


「すいません! もう1度お願いします!」


舞台の下でゼスが大声でお願いをしてきた。


「お前はタニア以下だ。まずはシュオとまともにやれるようにならないとな。」

「シュオと...ってシュオさん何を言ってるんですか?」

「あー......気にするな。とりあえずお前は基礎からやり直し。しっかり授業でくれんを積んだら相手をしてやる。」

「は、はい......分かりました......」


ゼスは捨てられた犬のようにシュンとなってしまった。


(面倒くさい奴だな...まあシュオがうまくやるだろう。)


シュオが目を閉じると再び光がシュオを纏う。

光が消えた時、シュオの雰囲気は元の状態に戻っていた。


「さて2人とも、実力は見せてもらったよ。」

「どどど、どうでしたか? わわわ、私達合格ですか?」


シュオは笑顔を見せ、


「うん、合格。これから一緒に頑張っていこうね。」

「やった!」

「よっしゃ!」


2人は大はしゃぎで喜びを隠せないでいた。


「さあ生徒会室に戻ろうか。みんなが待ってるから。」


新しい仲間が加わる生徒会、先輩の立場として今までよりもしっかりとしないといけないな、とシュオは感じていた。

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