表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/14

少女の過去 ⑤

少女の過去を知ったおじさん。


少女に一体何を思うのか。


おじさんの決意はどうなるのか。

 刺されたミラちゃんが後ろに倒れていく姿が、俺にとってはとても長い時間に感じた。

 俺は必死に手を伸ばして、倒れていくミラちゃんの手を掴もうとする。しかし、その手はすり抜けてしまって、そのまま彼女は雨でぬかるんだ地面へと倒れ込んだ。

 俺は血まみれで倒れているミラちゃんを、上から見つめることしかできなかった。


 俺はただただ見てるしか出来なかった。何も出来ない、木偶(でく)(ぼう)にしか過ぎない。

 こんなにも苦しい思いは、今まで生きてきた中でした事がない。

 行き場のない悲しみを怒りをどこに向けたら良いのか、今の俺には理解もできるわけなかった。


 拳を握りしめてミラちゃんを見ていると、急に周りが黒くなり始めて、夜空の中にいるような場所へ変化した。

 ここがどこか分からないが、とても暗くても星の光で明るく、(あたた)かい空気が流れていた。


 ここは一体どこなのだろう。

 しかし、ここにいると心が安らぐ。一回ここにいたような感覚がした。もしかして、俺はここにきた事があるのだろうか?


 そう思いながら、ふらふらと(ただよ)っていると、向こうの方で(うす)い人形の光が見える。

 光の方に近づいて行くと、足を抱えて丸くなっている子が居た。


(もしかして、ミラちゃんか…?)


 よく顔が見えるように正面の方へ回ってみると、やはりミラちゃんだった。まるで自分を守るように、体を丸めている。


『あんな思いをしたんだ、自分の事を守りたくなるよな…。』


 悲しい想いに()られていると、目を覚ましたようでミラちゃんが体を広げていく。


「あれ…?ここは、どこだろう…。」


 ミラちゃんは辺りを見渡しながら小さく呟いた。俺でもそうなるだろうなと思いながら見つめていた。

 すると、ミラちゃんがそっと呟く。


「私…やっぱり、あの時に死んじゃったのかな…。」

『ミラちゃん…。』


 悲しそうに笑いながら、自分の手をミラちゃんは見つめている。

 悲痛な顔に俺も顔をしかめてしまう。

 そのまま俺が最初にしたように辺りを見渡していた。ミラちゃんもどこか分からないのだろう。ミラちゃんにも分からないのだから、俺に分かるはずもない。


 すると、フラッと小さな光がミラちゃんに寄ってきた。

 なんだか、俺はその光に覚えがある気がした。なんだか、既視感(きしかん)を覚える。


(俺は…あの光を知っている気がする…。)


 ふわふわしている光を、ミラちゃんがそっと手で包むこむ。

 手につかんだ光を大事そうに抱えて、そっと呟く。


「なんだか…とっても暖かい。」


 そう言いながら、ミラちゃんは大事そうに光を抱きしめる。

 すると、手の中から光がれ出してくる。

 ミラちゃんは驚きながらも、ゆっくり手を広げていくと、少し光が明るくなっているのと同時に上へと登っていく。


 すると、そのまま光が(はじ)けたと思った瞬間に、消えていくと同時にどこかに四角の黒いものがミラちゃんの目の前に(あらわ)れる。

 唐突に現れた四角い中に何かが見える。


 映像には倒れてるミラちゃんの姿が映し出されていた。なんでこんな状態の姿を本人に見せるのだろうか。あまりにも(こく)ではないか。

 ミラちゃん自身も困惑している様子だった。


 見た感じは死んでいるように見えた姿だったが、急にミラちゃんの体が動き出した。

 俺もミラちゃんも驚く。


「な、なんで動いているの…?」

『どうして…って、まさか…!』


 ミラちゃんから見ると、自分の体が勝手に動いているように見えて、とても怖いだろう。

 でも、俺は知っている。


 立ちあがろうとして、転けて、そのままふらつきながら湖へと向かっていって、顔を見た瞬間に叫ぶ。


『ここ、どこなにょおぉぉぉ!!』


 そうだ。叫んでいるのは、俺だ。

 このシーンを俺は覚えている。なんでって、俺が()()()()()()所だから。


 やはり、ミラちゃんが触った光は俺だったのか。と言うことは、あれは俺の魂だったってことになるな。

 どこで死んだんだ。覚えてないが。


 ミラちゃんを見ると、青ざめて驚愕(きょうがく)の表情を浮かべていた。なんでだ、と思ったが、それもそうだと思う。

 俺も、もし死んだ後に誰かが自分の中に魂が入ってしまったら、怖いだろうし、気持ち悪いだろう。


 すると、また映像が変わる。

 次に映し出されたのは、会社で仕事をしている俺の姿だった。

 まさか自分の姿が映し出されているけど、これで一体俺の身に何が起こってるのかわかってないから、ちょうど良い。


 ただ仕事をしているだけだったが、普通にしているが何故か頭から白いものが飛び出している。あれはなんだよ。白いものが出ても、仕事はできている。なんで、仕事はできているんだ。


 でも、ある瞬間にばたりと倒れてしまう。なんでかと思っていると、二つの映像が並べられる。

 そこには、白い玉をミラちゃんが取った瞬間に俺が倒れた。


 あぁと、俺は思った。あれは体から離れた、俺の小さい魂だったのかもしれないな。

 うんうんと(うなず)きながら淡々(たんたん)と見ている俺とは違い、ミラちゃんの顔は真っ青だった。

 なるほど、わかったぞ。この映像を見て、俺のことを殺したといっていたんだろう。


 考えが色々とまとまると同じくらいに、白い空間に帰ってくる。


 ゆっくりと目を開けてみると、泣きそうで不安そうなミラちゃんの顔が見えた。

 恐々(こわごわ)としているミラちゃんと、目線を合わせるようにしゃがみ込む。


「ミラちゃん。」

『っ!』


 俺が話しかけたら、ぎゅっと体を縮めて、強く目をつむる。怖くて仕方ないのだろうな。

 そんなミラちゃんに、俺はそっと手を伸ばして、手のひらを頭に乗せる。驚きで体がびくついていた、そっと声をかける。


「なぁ、ミラちゃん。」

『…はい。』

「俺は、なんとも思ってない。」

『え…?』

「俺はね、どうも思ってないんだよ。あの映像を見ても。」

『で、でも!私があの時、あの光を持たなかったら、おじさんは生きてられたのに…!』


 確かにそうだ。掴んでなかったら、俺は死ななかったかもしれない。

 それでも俺は。


「俺は君に会えて、本当に嬉しいんだ。」

『嬉しい…?』

「そうだよ。こんなに可愛い子と出会えて嬉しいに決まってる!…待て、違うな。出会えた事が良かったって思える。うん、この言い方だ。」

『おじさん…。』

「だから、罪悪感を覚えなくていい。それよりも大事な事がある。」

『…はい。』


「もう、泣いても良いんだよ。」


『え?』


 俺の言葉に、本当に驚いた顔をしていた。

 可愛らしいなと思う。

 まだまだ俺よりも若い女の子で、もっと楽しい事が待っている女の子。


「よく頑張ったんだよ。辛いこと事も苦しい事にも耐えてきた。もう怖いものはない。俺が守るからね。」

『まも、る…?』

「そう。だから、いっぱい泣いていい。これまで泣けなかった分を合わせて。」

『私、泣いても…いいの…?』

「もちろんだよ!…おいで。」


 俺が手を広げると、躊躇(ためら)いながらもミラちゃんが腕の中に入ってきてくれる。

 そんな彼女を優しく抱き留めた。


 しばらくの間、ただ抱きしめていただけだったが、小さい声で泣くような声が聞こえてきた。

 大きな声で泣けないくらいに追い詰められていたのだ。

 腹が立つが、それ以上にミラちゃんが泣けて良かったとホッとする。


 このままもう少し居たかったが、そういう訳にもいかないから、ミラちゃんをそっと離す。

 少し泣きながら、こちらを見つめて、照れくさそうにしているのを見てほほえましなるが、言わなきゃいけない事がある。


「なぁ、ミラちゃん。」

『はい…。』

「このまま、ミラちゃんは消えちゃうの?」

『分からないです…。』

「多分だけど、今の感じだと一緒にいられると思う。」

『え?』

「だからさ、


 俺と一緒に



 旅に出よう!!」


少女の過去が終わりました。


おじさん衝撃のことを少女に伝える。

少女は彼にどう思うのか。


やっとこさここまで編集し終わりました。

あとはもうちょっといじります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ