おじさん、謎の猫と出会う
猫から告げられた衝撃の事実。
おじさんは驚愕しつつも受け入れる。
この先に何が待ち受けているのかと、おじさんと少女は楽しみにしていた。
そんな時にまたも衝撃な展開が待ち受けている。
今、この猫に何を言われたのか分からなかった。
どうやって俺の名前がミラちゃんじゃないって知ったんだ。おかしい。
俺はこいつに名乗った事もないし、体はどう見ても少女の姿だから、俺がミラちゃんじゃないなんて証拠があるわけではない。
でもこいつは、確信している。俺がミラちゃんではないことを。
どんな生物かは知らないが、これ以上ここにいれば、ミラちゃんに影響ができるかもしれない。
逃げる準備をしなくては。俺はゆっくりと話をしながら、逃げれるように体制を整えていく。
「そんな証拠がどこに…。」
【待て、そう警戒するでない。吾輩はただ単に、分かっただけの話だ。】
「警戒するに決まっているわ…。そんなの分かる訳無いじゃない。」
【今更、口調を取り繕ったところで意味がないと言っただろう。そのままで話すがいい。】
「…分かった。でも俺は正真正銘のミラだ。口調がちょっと荒いだけ。」
【はぁ…まだ認めぬか。】
「当たり前だ。何でそんな事が言える。」
【簡単な事だ。貴様の中には魂が2つあることが視えただけの事だ。】
「見えた…だって…?」
見えるとはどう言う事だろう。
いや、そもそも意味が違うのか。俺たちが何かを見る、と言う意味ではなく、何かが視えると言う意味ではないのか。
それだろわかるのだが、でも、納得できない節がある。
「お前が言う通り、2つの魂が視えたと仮定しよう。何故、どうやって、二つの魂が視えた。それをお前はあえて言ってない。この状態で、どうやって信じろと?」
【…ふん、中々いい勘をしているではないか。そうだ、吾輩は其方の体の中を視る事が出来るのだ。これはどの生き物でも可能だ。】
「どんな生き物…。でも、魂まで視れるものなのか?」
【そうだ。その者の奥深いところまで視る事ができる。】
「奥深く…。」
なるほど。それでこの体の中に魂が2つあると言う事が分かったのか。それなら納得だが、中に居るのがミラちゃんだと知られてもいいのだろうか。
知られてしまってると、何か悪い事が起こってしまう事があり得る。しかも、この感じだと、他にもこんな風に知られてしまう可能性だって考えられるんだ。
この可能性は、ミラちゃんにとって、致命的なことだ。俺が死ぬということは、ミラちゃんが死ぬという事に繋がる。
どうしたらいいのかと考えて居ると、影ができたから上を見たら、猫が上から見下ろして来ていた。
「うわ!びっくりした!」
【いいか、人間。】
「何だよ…。」
【吾輩のようなのは、そうそう居ない。だが、いないとも限らん。】
そうだ。いないとも限らない。だったら、どうしたらいいんだよ。
俺は無力なのは、いつも痛感させられている。この世界に来てからずっと。
悩んでいると、また猫が話しかけてきた。
【そんなに共に存在している者が大事か。】
「当たり前だ。俺の家族だからな。」
【本当に血が繋がってなくてもか?】
「何と言われようと、ミラちゃんは俺の家族であることに変わりない。」
【そうか…。ならば吾輩が協力してやらんこともない。】
「は…?」
協力をすると言ったのか。
何でこの猫は、俺たちに協力すると言い出したんだ。こいつがそんな事をする意味があると言うのか。
そう考えても、利益があるとは思えない。もちろん、俺たちには利益がある。
なのに、こんな提案をしてきた。何か裏があるのではないかと、思ってしまう。
疑問が出てきて止まらない。
【疑心暗鬼になるのも、分からんでもない。しかし、吾輩は人間が嫌いだが、この人間の事は嫌いではない。】
「この人間…?それはどう言うことだ?」
【昔、貴様の中にいる者がまだ幼い頃にこの森に来たのだ。その時に、モンスターが怪我をしていて、近づいたら危ないと言うのに、何も考える事なく近づいて、威嚇されても怪我を治療をしていた。自分が怪我をしていても。】
「怪我…?噛まれたってことか!?」
【そうだ。その光景を吾輩は見ていた。】
「見ていたのか?ってか、今もミラちゃんは幼いわ!…いやそうじゃない。大事なことが…。」
なぜ、ミラちゃんの記憶を覗いた時に、何でその記憶が出てこなかったんだろう。
今更だが、出てきてない記憶もあるんではない気がする。どうして出てこなかったんだろうか。
【何を考えている。】
「…ミラちゃんの過去を見たんだ。なのに、今の話は出てこなかったから見れなかった…。何でだ?と思ってたんだよ。」
【ふん、そんなの簡単なことだ。】
「何だよ。理由を教えろよ。」
【貴様に見せる事に関係のない事だからだ。】
「あ…。」
なるほど…確かにそうかもしれない。俺はミラちゃんに何が起こったのかを見たけど、小さな出来事とかは全く見なかった。
あくまで大きな出来事を見せられていたんだと思う。
【それだけではない。】
「それだけではないって?どういうことだ?」
【こやつが無意識にしている事だからこそ、貴様に見せることがなかったのだ。】
「無意識…、そうか、そういうことか!」
猫の言葉でわかった事がある。
ミラちゃんが見せたかったことは、俺に起きてしまった流れ。でも、この出来事はミラちゃん自身が覚えてないばかりではなく、見せようとした事じゃないから。
だから、俺が見る事がなかったんだな。
一応、覚えてないかどうかを確認だけしておくか。
「ミラちゃん、この出来事を覚えてる?」
『えっと…、ごめんなさい。覚えてないです。』
「なるほど。本当に覚えてないらしい。って事は、もっと知らない何かがあるのかもしれないな。」
【あるかもしれんな。】
「それで魔物の話があったってわけか。」
【あぁ。吾輩はその光景を見ていた。怖いと思いながらも、負傷しながらも、怪我を治そうとしていた姿が吾輩の記憶に残っているのだ。】
「もしかして、それでミラちゃんの為に、手を貸そうと思ったって事か?」
【そういう事だ。】
納得した。
ミラちゃんは本当に優しい子だ。だからこそ、本人は覚えていないが、こうして繋がりを作っていってたという事か。
「優しいからな。ミラちゃんは!」
『お、お兄さん…!恥ずかしいです!』
【…何で貴様が偉そうにしているのだ。】
「まぁまぁ、そんな事は置いといて、だ。これから、お前の力を借りて、ミラちゃんと旅ができるって事だな!」
【そういう事になる。】
「よし!これから、もっと楽しくなるな、ミラちゃん。」
『はい!楽しみです!』
楽しそうな声を出すミラちゃんに嬉しくなる。
最初に会った時よりも、今の方がすごくいい。
もっと、こういう風にたくさん、色んな感情を出していってほしい。
「んで、どうやって、ミラちゃんを隠すんだ?」
【吾輩の加護を渡すのだ。】
「加護か…って、お前そんなにすごいやつだったのか。」
【最初からそう言っておろうが!】
「すまん、ミラちゃんの事で頭がいっぱいだったからな。」
【この…っ!腹立たしいが、今は気にしない事にする。それでは加護を授けるぞ。】
そう言って、俺の方に向かう為か、ゆっくり立ち上がる猫。
名前を聞くのを忘れていたのに今気がつくが、後で聞けば十分だ。
どんな猫だろうか、綺麗な猫だろうか。いや、少し丸みを帯びているから違うな。しかし、足元は違う感じになっているかもしれない。
そうワクワクしていると、立ち上がった姿を見て、思わず叫んでしまった。
「いや、羽の生えたマンチカンじゃねーか!!」
おじさんと少女の旅日記 第9話です!
やっとここまできたけども、序盤も序盤…
旅にも出れてない…。
早く旅に出てほしいけども、次で出れるかも分からない。
早く旅に出したい…!
頑張って書きます!
感想等、お待ちしております。
よろしくお願いします。




