第8話 ランク
翌日の早朝、俺は学園の研究棟、芽衣先生の部屋に来ていた。
先生は優しく出迎えてくれて、お茶とお菓子を出してくれた。
「こんな朝早くにごめんね。でも、今日のホームルームより前に君に伝えておきたかったの。」
「それで話ってなんでしょうか。」
ちょっと語気が強かったかもしれない。
でも、それぐらい眠かったのだ。
「そうね、率直に言おうかしら。今回の検査であなたのランクが決まりました。それがちょっと例外的でね。先に伝えておく必要があると思ったのよ。これは山形先生とも話し合った結果です。」
山形先生とも話し合った上でのことなのか。
「それであなたのランクについてですけれどね。あなたのランクはSです。これがどういうことかをお話しします。」
それから芽衣先生はゆっくりとランクについての話をしてくれた。
「まず、ランクというのは十二宮学園全てに共通する指標のようなものです。己の強さを自覚してもらい、それに応じた行動をしてもらうために存在します。ランクは全部で六段階。Eから始まりAまで、そして一番上にSが来ます。とはいっても、一般はAランクが一番上と考えてもらって構いません。SランクというのはAランクの生徒が著しい成長を見せた時の臨時措置のようなものです。Aの枠に収まらない。だからその上を作ったそういう話だと思ってください。そこで、あなたのランクです。最初からSランク。これではこの話が瓦解していると思うかもしれませんが仕方のないことなのです。あなたはAランクにしておくには規格外すぎるとこの学園島が判断したものと思ってください。ちなみにこの学園のSランクは三人。うち、一人はあなたもよく知る高松美桜生徒会長です。」
二十分ほどかかっただろうか。
芽衣先生からの話が終わった。
要は、お前は規格外だから今までの常識は通用しないぞ。
色眼鏡などで見られることになるぞ。
という話だろう。
話が終わった頃にはそろそろ朝のホームルームが始まる頃になっていた。
「長話をしてしまったわね。ごめんなさい。ホームルームが始まる前に行ってらっしゃい。」
俺は早急にクラスへと帰った。
クラスに帰ると三人が待っていた。
三人は会話を途中でやめてこちらの方へやってきた。
「三人はなんの話をしていたの?」
「私たち?私たちは自分たちのランクがどうなるか、気になるねって話していたの。」
「ああ、そういうことか。みんなの予想は?」
みんながどういう予想を立てたのかは少し気になる。
「俺はまぁ低いんじゃないんかな。結果も平均よりちょっと低いって感じだったし。」
「氷焔くんでそれなら私はもっと低いんじゃないかな。」
好美さんが悔しそうな声で言う。
「私はBランクとかかな。もしかしたらCかもしれないけど。雪菜くんはどう思う?」
凛さんがこちらに話を振ってくる。
「実はその話で今日は遅れたんだ。何やら俺の数値が異常だったらしくてね。それで俺のランクがSになるそうなんだよ。」
「Sってことは美桜先輩と一緒ってことですか?しかも、美桜先輩たちはAランクから始まったんだよね。」
よく知っているな。
俺なんてさっき聞いて知ったと言うのに。
「それを初期からSランクっていうのは規格外なのでは?」
「だから異常だったんだよ。そんな話をしてきたよ。」
そう話していると不知火先生が入ってきた。
先生が一声かけるとクラスメイトは全員着席した。
それから先生はホームルームとして、軽い話をした後でみんなが期待していたランク選別の結果を発表していった。
後で聞いた話では凛さんはBランク、氷焔と好美さんはCランクということだった。
特に、凛さんと氷焔はもうちょっとで上のランクに上がれたのかもしれないという話だった。
そのあとでギルドの説明があった。
俺らは好美さんたちから説明を受けていたのであまり聞くこともなかった。
今日はここで終わり、みんなはギルドの見学していくらしい。
先生が終わりの挨拶を済ませると、みんなはワイワイとそれぞれのグループで動いている。